うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの

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第五章 孫を追いかけ王都を目指す旅で御座います。

5-6 人熊ミックスのルラちゃんで御座います。

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「探偵さんよぅ。こっちの世界のサーカスもなかなか、いいもんじゃのぅ」

 確かに今日のサーカスを、1番楽しんでいたのは、じぃじかもしれません。もちろん探偵さんや、レオンさんも楽しんでいたと思いますが。

「そうですね。楽しかったですね。……それでは帰りましょうか」

 サーカス小屋の裏手を目指すように、探偵さんが歩き始められました。他の観客の方は、皆さん町へ戻って行くのですが、私共の家は町外れで御座います。

 すっかり辺りは真っ暗で、不安になるような夜道ですが、前に探偵さんとじぃじ、後ろにはレオンさんがいらっしゃいますので、安心で御座います。

「……本当、お前はトロくさいんだよ!」

 サーカス小屋の裏手辺りに差し掛かった時。そのような声が聞こえてまいりました。……一体、どなたの声で御座いましょうか? とても荒々しい声で御座います。……あら? あの衣装はピエロさんじゃありませんか。人犬さんで御座いますね。

 あら? まぁ、どう致しましょう。人犬さんの向こうに、赤と白のチェックが見えました。……倒れていらっしゃるのは、人熊さんに間違いありません。

「何をされているんですか?! おやめください!」

 もうこれは、びっくりおったまげ以外の、何ものでも御座いません。気付いたら、私、人犬さんの右足に飛びついておりました。……どうしてかって? それは人犬さんが、人熊さんを思いっきり蹴っていたからです。

「ちぇっ」

 人犬さんの舌打ちです。右足に抱きついたままの私を、ギロリと睨んでいるではありませんか。ですがピエロのメイクのお顔では、迫力が御座いません。

「おい、やめろ! 早くずらかった方がいいぞ!」

 私の姿を見たレオンさんが、人犬さんを追い払ってくださいます。……声を聞きつけた探偵さんとじぃじも戻って来てくださいました。

「……大丈夫ですか? 立てますか?」

 人熊さんに手を差し出しましたが、泣き崩れる人熊さんは立ち上がろうとはしてくれません。そんな姿を見かねた、探偵さんとレオンさんが、人熊さんの脇を支え、立たせてくださいました。

「何があったんですか? 先程、蹴られているように見えましたが」

 人熊さんが、ぐっとお腹を押さえておいでです。きっと何度もお腹を蹴られたのでしょう。

「……私がヘマばっかりするから、いつも叱られるんです。ヘマをするから、ご飯をもらえなくて、いつもお腹が空いていて。いつもお腹が空いているからフラフラで、ヘマばっかりするんです」

 人熊さんの目からは、大きな涙がポタポタと落ちております。ご飯を食べさせてもらえないなんて、気の毒なお話です。舞台の上で見た人熊さんが痩せて見えたのは、そう言う事で御座いますね。

「……じぃじ、いなり寿司はまだ御座いましたわよね?」

「ああ、まだあるぞ。夕飯の後じゃったから、食べ切れんかったわい」

 じぃじから重箱を受け取ると、まだ半分以上残っておりました。

「……今はこれしかないですが、とりあえず召し上がってください」

「えっ? 食べていいんですか?」

「もちろん」

 人熊さんがいない寿司に手を伸ばされています。……食べる気力があると言う事に、少し安心させられます。それにしても、あの人犬ピエロさんは酷すぎます。

「さっきのピエロさんが食べ物をくれないのですか?」

「はい。バクスさんはこのサーカスの副団長なんです。いつも私に意地悪をするんです」

 まぁ、意地悪だなんて。

「……あの方が副団長なら、団長に申し立てるのが、1番いいかもしれませんね」

 何気ないアドバイスのつもりで御座いましたが、人熊さんがまた、わーっと泣き始めました。。……これはどう言う事でしょう? 詳しくお話を聞かないといけないように思います。

「人熊さん。あなた、お名前は何とおっしゃるのでしょう?」

「私の名前ですか? 私はルラと言います。あっ、これご馳走様でした。美味しかったです」

 ルラちゃんは、いなり寿司を全部平らげておりました。よっぽどお腹が空いていたのでしょう。

「ルラちゃんね。とても可愛い名前ですね」

「……ちょっと訳ありのようですね」

 様子を見守ってくれていた探偵さんも、少し気になるようで御座います。……もうこれは、乗りかかった船です。私、今はルラちゃんの面倒を見ようと思います。
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