うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの

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第二章 孫を追いかけパノスの町に到着で御座います。

2-2 夕暮れの市は果報で御座います。

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「探偵さんよぅ。この辺りが町の中心なんじゃろか?」

 細い路地をしばらく歩くと、広場でしょうか? 少し広い所に出てまいりました。広場には市もたっております。夕方だからか、人の出も賑やかで御座います。

 45年前、じぃじとの新婚旅行は、一ヶ月かけてのヨーロッパ周遊でした。何だか可愛らしい町並みを見ていると、恥ずかしながら当時を思い出します。

「そうですね。パノスの町はそれほど大きくありませんから、この小さな広場が町の中心になります。……康夫さん、光江さん。少しこの広場で待っていてください。私は町役場に行って、家を建てる許可をもらって来ます」

 何から何まで探偵さんにお任せで、申し訳なくもなりますが、この広場にたつ市をゆっくり眺めたいと言う気持ちも御座います。ここは、探偵さんに甘えさせていただきましょう。

「探偵さん、ありがとうございます」

「いえ、30分ほどで戻れると思います。では、後ほど」

 じぃじは広場の隅にベンチを見つけ、一目散に走って行きました。ピンガルの実のお陰で疲れていないはずなのに……。

「じぃじ。私、少し市を見たいのですが」

「わしはここに居るから、好きに見て来たらよいじゃろ?」

「私一人では心細いですし、私達が一緒にいないと、探偵さんもお困りになります」

「仕方ないのぅ」

 なんて言いながらも、じぃじはベンチに下ろした腰を上げてくださいました。

 小さな広場です。全ての露店を見て回っても時間は掛かりません。ベンチの脇の露店を覗いてみます。

「あら、こんな所で剣が売っているんですね」

 露店には少し古めかしい、剣や弓が並んでおりました。もちろん私は興味御座いませんが、じぃじが何やら一本の剣を手にしているじゃありませんか。

「……この剣は幾らじゃ?」

「さすが旦那、お目が高い。うちで一番の品ですよ。値段は150ディナになります」

 ディナ? そうでした。ここは異世界、日本円でお支払い出来るはずはありませんでした。さて? 150ディナとは、日本円で一体お幾らでしょう?

「じぃじ、こちらのディナとやらのお金は持っておりませんから、探偵さんが戻られてからにしましょう」

「そうじゃの」

 隣りの屋台には木製の食器やらが、その隣りの屋台には帽子や手袋が並んでおります。あまり興味がそそられる物はありませんでしたが、それはじぃじも同じだったようで、もう次の屋台に足が向かっております。

「おっ! ばぁば。ここは果物の屋台みたいだぞ」

「ええ、そうですね」

 見覚えのある物と言ったら、ピンガルの実だけで御座います。赤い実、黄色の実、青い実、緑に紫。色とりどりの果物が並んでおります。

「お客さん。今日のおすすめはこのランバーだよ」

 店主の女性が赤紫色の実を指しました。

「ランバーですか?」

「今の時季が一番盛りだからね。甘くて美味しいよ。一山ひとやま2ディナだ!」

 盛りと言う事は、旬の果物なんで御座いましょうが、探偵さんを待たずに手に取る訳にはまいりません。

「……一山、2ディナって事は、さっきの剣は75山分って事じゃの」

 じぃじが何やらぶつぶつと計算を始めました。そんな計算をしても、手持ちのお金が無いのですから、何も買えませんが、そんなじぃじが愛らしいので御座います。

「他に気になる物は御座いませんか?」

「わしはさっきの剣を買う。ゴブリン退治に必要じゃからのぅ」

 そう言う事で御座いましたか。確かにゴブリン退治となれば、武器の一つは必要です。

「そうですね。私は先程のランバーの実を買ってみたいです。旬の果物、きっと美味しゅう御座いますわよ」

「そんな安い物でよいんじゃのぅ、ばぁばは」

「ええ」

 市の露店をひと周り見た後、じぃじと並んでベンチに腰を掛けました。気付けば空は夕暮れのオレンジに染まっておりました。

 どこの町かは忘れましたが、新婚旅行の際、こんな風に夕暮れのベンチに腰掛けた事が御座いました。あの時は今以上の幸せはないだろうと、至福の時間を過ごしましたが、またこんな至福の時間を迎えられるなんて、私、本当に果報者で御座います。

  
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