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第41話 愛の誓い
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私を狙った襲撃事件は、結果として、犯人グループの捕縛と、公爵邸内部に潜んでいた裏切り者の排除という形で終息した。けれど、その爪痕は、私の心にも、そしてライオネル公爵の心にも、決して浅くはないものを残していた。私たちは、互いの存在がどれほどかけがえのないものか、そして、その存在を失うことの恐怖を、身をもって味わったのだから。
事件から数日後の、月が美しい夜だった。私は、公爵邸のバルコニーで、一人夜風にあたっていた。まだ、あの日の恐怖が完全に消え去ったわけではない。ふとした瞬間に、男たちの殺気立った目や、私を掴んだ荒々しい手が蘇り、心臓が凍りつくような感覚に襲われることもあった。
「……アリアナ」
不意に、背後から優しい声がかかった。振り返ると、そこには月の光を浴びて静かに佇む、ライオネル公爵の姿があった。彼は、私の隣に並ぶと、黙って夜空を見上げた。
「まだ……怖いか?」
彼の問いかけは、私の心の奥底まで見透かしているようだった。私は、素直に頷いた。
「はい……少しだけ。でも、公爵様が助けに来てくださった時のことを思い出すと、勇気が湧いてくるのです」
「そうか……」
彼は、しばらくの間、何かを考えるように沈黙していた。そして、やがて意を決したように、私の手を取り、その黒い瞳でまっすぐに私を見つめた。
「アリアナ。……君に、伝えなければならないことがある」
その真剣な眼差しに、私の心臓がどきりと高鳴る。彼の手は、少しだけ震えているように感じられた。
「今回の事件で、私は改めて思い知らされた。君が、私にとってどれほど大切な存在であるか……そして、君を失うことが、どれほど恐ろしいことであるか、を」
彼の声は、いつものような冷静さはなく、深い感情の揺らぎが感じられた。
「君がガルディアに来てくれてから、私の世界は変わった。君の聡明さ、優しさ、そして何よりもその強い心が、凍てついていた私の心を溶かし、新しい光を与えてくれた。君がいなければ、私は今も、孤独な闇の中を一人で彷徨い続けていただろう」
そんな……そんな大げさな、と私は思った。けれど、彼の瞳は、嘘偽りのない真実を語っているように見えた。
「君といると、私は、ただのヴァルテンベルク公爵ではなく、一人の男として、素直な自分でいられるような気がするのだ。……それは、私が生まれて初めて感じる、温かくて、かけがえのない感情だ」
彼は、一度言葉を切ると、私の手をさらに強く握りしめた。
「アリアナ・フォン・ベルンシュタイン。……いや、アリアナ。私は、君を心から愛している。私の全てを懸けて、君を守り抜きたい。そして、これからの人生を、君と共に歩んでいきたいのだ。……どうか、私の妻になってほしい」
それは、あまりにもストレートで、情熱的な愛の告白だった。月の光の下で、彼の黒い瞳は、燃えるような熱を帯びて私を見つめている。その真摯な想いが、私の心の奥深くまで、温かく染み渡っていく。
涙が、止めどなく溢れ出してきた。それは、悲しみの涙ではない。喜びと、感動と、そして彼への愛しさで胸がいっぱいになり、言葉にならない感情が涙となって流れ落ちるのだ。
「公爵様……ライオネル様……」
私は、震える声で彼の名前を呼んだ。
「私も……私も、あなた様を、心からお慕い申し上げております。エスタードで全てを失ったと思っていた私に、新しい生きる希望と、そして愛する喜びを教えてくださったのは、あなた様です。あなた様の隣にいられるのなら、私は何も怖くありません。……喜んで、あなた様の妻となります」
私の言葉を聞くと、ライオネル様の表情が、ふっと和らいだ。そして、彼はゆっくりと私の顔を両手で包み込み、その唇を、私の唇に優しく重ねた。
それは、初めての口づけだった。甘くて、切なくて、そしてどこまでも優しい、愛の誓いの口づけ。
私たちは、しばらくの間、ただ互いを抱きしめ合い、その温もりを確かめ合っていた。もう、言葉は必要なかった。私たちの心は、完全に一つに結ばれていたのだから。
この夜空に輝く月のように、私たちの愛もまた、永遠に変わることなく輝き続けるだろう。そう、確信できる、運命の夜だった。
事件から数日後の、月が美しい夜だった。私は、公爵邸のバルコニーで、一人夜風にあたっていた。まだ、あの日の恐怖が完全に消え去ったわけではない。ふとした瞬間に、男たちの殺気立った目や、私を掴んだ荒々しい手が蘇り、心臓が凍りつくような感覚に襲われることもあった。
「……アリアナ」
不意に、背後から優しい声がかかった。振り返ると、そこには月の光を浴びて静かに佇む、ライオネル公爵の姿があった。彼は、私の隣に並ぶと、黙って夜空を見上げた。
「まだ……怖いか?」
彼の問いかけは、私の心の奥底まで見透かしているようだった。私は、素直に頷いた。
「はい……少しだけ。でも、公爵様が助けに来てくださった時のことを思い出すと、勇気が湧いてくるのです」
「そうか……」
彼は、しばらくの間、何かを考えるように沈黙していた。そして、やがて意を決したように、私の手を取り、その黒い瞳でまっすぐに私を見つめた。
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その真剣な眼差しに、私の心臓がどきりと高鳴る。彼の手は、少しだけ震えているように感じられた。
「今回の事件で、私は改めて思い知らされた。君が、私にとってどれほど大切な存在であるか……そして、君を失うことが、どれほど恐ろしいことであるか、を」
彼の声は、いつものような冷静さはなく、深い感情の揺らぎが感じられた。
「君がガルディアに来てくれてから、私の世界は変わった。君の聡明さ、優しさ、そして何よりもその強い心が、凍てついていた私の心を溶かし、新しい光を与えてくれた。君がいなければ、私は今も、孤独な闇の中を一人で彷徨い続けていただろう」
そんな……そんな大げさな、と私は思った。けれど、彼の瞳は、嘘偽りのない真実を語っているように見えた。
「君といると、私は、ただのヴァルテンベルク公爵ではなく、一人の男として、素直な自分でいられるような気がするのだ。……それは、私が生まれて初めて感じる、温かくて、かけがえのない感情だ」
彼は、一度言葉を切ると、私の手をさらに強く握りしめた。
「アリアナ・フォン・ベルンシュタイン。……いや、アリアナ。私は、君を心から愛している。私の全てを懸けて、君を守り抜きたい。そして、これからの人生を、君と共に歩んでいきたいのだ。……どうか、私の妻になってほしい」
それは、あまりにもストレートで、情熱的な愛の告白だった。月の光の下で、彼の黒い瞳は、燃えるような熱を帯びて私を見つめている。その真摯な想いが、私の心の奥深くまで、温かく染み渡っていく。
涙が、止めどなく溢れ出してきた。それは、悲しみの涙ではない。喜びと、感動と、そして彼への愛しさで胸がいっぱいになり、言葉にならない感情が涙となって流れ落ちるのだ。
「公爵様……ライオネル様……」
私は、震える声で彼の名前を呼んだ。
「私も……私も、あなた様を、心からお慕い申し上げております。エスタードで全てを失ったと思っていた私に、新しい生きる希望と、そして愛する喜びを教えてくださったのは、あなた様です。あなた様の隣にいられるのなら、私は何も怖くありません。……喜んで、あなた様の妻となります」
私の言葉を聞くと、ライオネル様の表情が、ふっと和らいだ。そして、彼はゆっくりと私の顔を両手で包み込み、その唇を、私の唇に優しく重ねた。
それは、初めての口づけだった。甘くて、切なくて、そしてどこまでも優しい、愛の誓いの口づけ。
私たちは、しばらくの間、ただ互いを抱きしめ合い、その温もりを確かめ合っていた。もう、言葉は必要なかった。私たちの心は、完全に一つに結ばれていたのだから。
この夜空に輝く月のように、私たちの愛もまた、永遠に変わることなく輝き続けるだろう。そう、確信できる、運命の夜だった。
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