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しおりを挟む「ロベリア付きの侍女たちが?」
侍女たちが何人か体調を崩して休んでいるという報告に、無理もないと王妃ガブリエーレもため息をついた。自分とて休みたかった。
しかし、自分には、替えがない。
この国の頂点たる自分には。
「……構わないわ。しっかりと休ませてあげなさい」
実家に宿下がりも許可を出した。
本当に、無理もない。
彼女たちはこの数日、式の前からもずっとロベリアの側にいたのだ。
式のあと――夜の準備から、あの騒ぎの最中も。心労どころか、本当に体調を悪くしているというのも仕方がないだろう。
疲れからか熱を出していたものもいるらしいが、疲れからならば、うつるようなこともないから城でそのまま休むことも良いだろう。動かす方が、心配でもある。
「体調が良くなっても、しばらくは大事をとるように。手当も出してあげなさい」
城の侍女となるような娘は、身分や後ろ盾もしっかりとしているものたちだ。
お調べが済んでいるならば、疑うことは失礼にあたる。
代わりの侍女やお付きを手配するよう指示をした。これもまた、身分しっかりとしたものたちを。
ロベリアはまだ軽く監禁状態だ。
といっても、彼女自身も憔悴して、出歩くような気分になれないのだろう。
まぁ、ロベリアが元気だとしても何かの役にたつだろうかと、ガブリエーレは小さく嗤う。
「……こんなことなら、もう一人くらい産むのだったわ……」
けれども。出産のあの苦しみをもう一度、というのは自分には無理だった。
そもそも――子作り自体が。
この国には、現在「王」はいなかった。
王ユリアンとその正妃エリーゼは、亡くなった。
ヨアヒムが三歳をむかえた頃に。
けれどもヨアヒムはエリーゼの子ではない。
ユリアンの子であることは間違いないが。
ヨアヒムは、ユリアンとガブリエーレの子だ。
ガブリエーレは――側妃、いや第二の王子妃であった。
正妃エリーゼに子ができなかったことにより、ガブリエーレが城に上がることとなった。
エリーゼには嫁いで三年、子ができなかった。
そこで本来、正妃となるべく長く教育されていたガブリエーレが側妃となることとなったのだ。
そう、元々ユリアンの婚約者であったガブリエーレが。
ガブリエーレは公爵家の娘として、長年王妃となるために様々な教育がなされてきた。
学園を卒業し、成人をむかえたら――ユリアンと結婚するはずだった。
それを、たかが男爵家の小娘が横取りした。
ユリアンが学園で出逢った一輪の花。
それがエリーゼだ。
周りの止める声をユリアンは無視をして、エリーゼを――正妃とした。
ガブリエーレと婚約破棄をして。
それほどまでにエリーゼには価値があるとして。
確かに知識は高かった。
男爵家の娘であるが、成績順で決まる教室では。高成績クラスに配されていたという。
美しく、人を惹きつける魅力もあった。
学園で彼女と――ユリアンのまわりはいつも笑顔であったという。
彼らより二歳年下だったガブリエーレが学園に入学した頃には、ユリアンの心はすっかりとエリーゼのものとなり。
もう、ガブリエーレの入り込む隙はなかった。
ないはずだった。
隙ができてしまったのだ――子ができなかった。
ユリアンの我儘であろうに、何故か当時の王は二人の結婚を許された。
王子に捨てられた娘という屈辱を、ガブリエーレには抱かせながら。
ガブリエーレには多大なる慰謝料を渡されたが。
たかが慰謝料程度で許せるものか。
女として蔑ろにされた。
長年、王妃となるためガブリエーレがどれほどの教育を、努力をしてきたと思っているのか。
――ガブリエーレの愛を、蔑ろにされた。
ガブリエーレに協力するものは、ガブリエーレの生家なるバルグレラ公爵家の他に幾つもあった。
今現在、ヨアヒムの後見をする家々が。
ガブリエーレは卑怯であり――正当な手段をとった。
――男爵家の娘などの血筋を、王家に入れられるものか。
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