「やはり鍛えることは、大切だな」

イチイ アキラ

文字の大きさ
4 / 6

04

しおりを挟む

 そうして始まった学園生活。

 本格的に騎士団に入りたい子息には騎士学校があるが。そちらは平民も入れるし、最短で騎士になることも。

 しかし、さすが騎士の国。
 この王立学園も、男子には基本的にそうした授業科目があり。希望すれば女子にも。

 剣盾、騎馬などは騎士学校には負けるが領地経営や歴史や地学、他国の言語やマナーなどの科目を重点的に。しっかりと学んでから騎士学校に編入される方も多い。

 ……ので。
 眼鏡枠だった宰相子息は、眼鏡枠のインテリなままに、なんか大剣を構えているし。貴方、外見からは細身剣とかの方が似合うのに。
 対峙するのは、不思議枠のはずの魔術師の少年。両手に辞書みたいなぶっとい魔術書を構えている。え、盾? もしや武器?

「今日こそその生意気な魔術防壁、突破してみせます」
「ふふふ……防壁は、本人も鍛えると、厚くなる……力こそパワー……これもまた、真理……」

 ちなみに、どちらも良い筋肉。
 まぁ、頭脳労働役や同じく魔術師が、身体を鍛えちゃいけないことはない。
 そしてその対決のその審判は、細マッチョ枠であった――現実は超絶マッチョの騎士団長の息子。


 なんで?


 ロージーは入学して数日で。
 ゲームとの違いに。
 確かにゲームは騎士を目指すというルートもあったが、もうすでに皆、出来上がってる。
 主に身体が。
「め、目眩が……」
 対決の見物の賑わいにやられてふらりとしてしまった。

「おっと、大丈夫か?」

 抱きとめてくれた――今度は抱きとめられた!
 しかも波打つ赤毛が燃える炎のような見事な美形に!
 しかも細マッチョ!
 しっかりとした腕は――比較的に細い。この学園の中では、比較的に。
 もしや隠しキャラ? 隠しキャラですか? 私の知らない追加コンテンツキャラ!?
 やっと!!?? やった!!!
 ロージーが思わず歓喜で身体を震わせる。
「医務室にお連れしましょう?」
 それを具合が悪いからだと思ったのか、燃えるような赤毛の美形はロージーを柔らかく抱き上げた。

 ……柔らかく?

「……おっぱい」
 雄っぱいではないと、悲しいかな初日にぶつかって存じ上げていて。
「おっぱい? ああ、よく間違われます。お気にならさず」
「い、いえ。私こそごめんなさい……」
 ロージーが自分を男性と勘違いしたと、あっさりと彼女は察して、そして許してくださって。
 男物が動きやすくて好きなもので、と……彼女は自分も勘違いされる格好なのが悪いと、逆に。

「君も新入生かな?」
「は、はい」
「大丈夫だ。初日に医務室は確認している」

 だから彼女は間違いなく、ロージーを医務室に連れて行ってくれた。
 抱き上げたまま。
 そんな彼女を見て、キャーキャーと黄色い悲鳴があがるのはむしろ学園では当たり前であったのか。

「あ、あの、お名前を……お礼を……」

 そしてすっかり、ロージーもぽーっとなっていた。
 もうゲームの攻略対象たちはどうだっていい。薔薇は薔薇でも、あの男装の薔薇な作品がいい。そう、革命だ!
「いや気になさらず」
 しかし名乗らないのは同じ新入生として悪いと思ったのだろう。



「クラレンス辺境伯家のリューゼットと申します」


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

何も決めなかった王国は、静かに席を失う』

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、 表には立たず、裏で国を支えてきた公爵令嬢ネフェリア。 だが―― 彼女が追い出されたのは、嫉妬でも陰謀でもなかった。 ただ一つ、「決める役割」を、国が彼女一人に押しつけていたからだ。 婚約破棄の後、ネフェリアを失った王国は変わろうとする。 制度を整え、会議を重ね、慎重に、正しく―― けれどその“正しさ”は、何一つ決断を生まなかった。 一方、帝国は違った。 完璧ではなくとも、期限内に返事をする。 責任を分け、判断を止めない。 その差は、やがて「呼ばれない会議」「残らない席」「知らされない決定」となって現れる。 王国は滅びない。 だが、何も決めない国は、静かに舞台の外へ追いやられていく。 ――そして迎える、最後の選択。 これは、 剣も魔法も振るわない“静かなざまぁ”。 何も決めなかった過去に、国そのものが向き合う物語。

第一王子様が選んだのは、妹ではなく私でした!

睡蓮
恋愛
姉妹であるクレアとミリア、しかしその仲は決していいと言えるものではなかった。妹のミリアはずる賢く、姉のクレアの事を悪者に仕立て上げて自分を可愛く見せる事に必死になっており、二人の両親もまたそんなミリアに味方をし、クレアの事を冷遇していた。そんなある日の事、二人のもとにエバー第一王子からの招待状が届けられる。これは自分に対する好意に違いないと確信したミリアは有頂天になり、それまで以上にクレアの事を攻撃し始める。…しかし、エバー第一王子がその心に決めていたのはミリアではなく、クレアなのだった…!

白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません

鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。 「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」 そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。 ——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。 「最近、おまえが気になるんだ」 「もっと夫婦としての時間を持たないか?」 今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。 愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。 わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。 政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ “白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。

有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。 選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。 涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。 彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。 やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

灯火

松石 愛弓
恋愛
子供のいない男爵家に、幼少時に引き取られたフィーリア。 数年後、義両親に実子が授かり、フィーリアは無用とばかりに男爵令嬢の立場から使用人扱いにされる。 意地悪な義母と義妹の浪費癖のため、無償労働のメイドとしてこき使われる辛い日々。 そんなある日、フィーリアに転機が訪れて・・ 珍しくシリアスな感じのお話を書いてしまいました いつもはこんな感じなのに・・ ^^; https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/122288809/episode/2034446 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/658488266/episode/4191823 新作です。毎週土曜日に更新予定です。興味を持っていただけましたら幸いです。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/910027059/episode/10733961

あなたが恋をしなければ

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を宣言する第一王子。 よくあるシーンだけど、それが馬鹿王子ではなく、優秀だけど人の機微に疎い王子だったら……。

処理中です...