香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫(299)

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金明《ジンミン》妃の侍女

深まる謎

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 金明ジンミン妃は現帝の異母妹だ。先帝が町娘に産ませた子で、現帝とは血が繋がっているため結婚は不可能となっている。それでも貴妃、淑妃、徳妃、賢妃という四夫人の一人という扱いになっていた。
 当然、そのような者を皇后に次ぐ位に置いておくことを快く思っていない人もいる。それは悪意という形で、目の前に現れ始めていた。
 今回の無差別毒草事件、そして、少し前に起きた鯉と妓女の死。これらが、どう絡んでいるのか。それは分からないまま。けれど、これらどちらにも金明ジンミン妃が絡んでいるのは明らかだった。



「俺が直接見たわけじゃないから、詳しくは知らない。けれど、その侍女の死には不明な点が多かったと聞く」

 勤務態度は至って真面目。金明ジンミン妃にも優しく、孤立していた彼女を妹のように可愛がっていた。
 そんな侍女が最後に目撃されたのは夜で、仕事を終えて部屋へと帰宅した姿を見たのが最後だった。翌朝、遅刻も、無難欠席すらしない彼女が出勤してこない。それを不審に思った侍女仲間は起こしに行った。
 そこで見たものは、綺麗な姿のままショウの上で眠る女性の姿だった。起こそうと肩に触れた瞬間、すでに冷たくなっていたという。

「発見された時、死後硬直が始まっていたそうだ。検医によれば、外傷もなし。内臓なども異常なかったそうだ」

 死因はいまだに不明で、どれが原因なのか。
 結果、金明ジンミン妃は呪われているという噂がたってしまった。
 妃候補ではないうえに、先帝によるお情けのようなもので置いてもらっている身だ。最初から肩身が狭かった金明ジンミン妃にとって、今の状況は、さらに少女を追い詰めるかたちとなっている。

「……えっと。今の皇帝は、母親が違うとはいえ兄よね? 何も助けてくれないの?」

 素朴な疑問を投げた。

 曹朱ツァオジュは押し黙り、言いにくそうにため息をつく。スっとまぶたを開け、切れ長の瞳を少しだけ泳がせた。

「何度も助けようとした。だけど金明ジンミン妃は、大丈夫の一点張り。無理強いなど……できるはずがない」

 まるで、我がことのように語る。

 そんな曹朱ツァオジュを見て、香 麗然コウ レイランは何も言えなくなってしまった。
 無言の刻だけが過ぎてゆく。

 (き、気まずい。聞いちゃいけなかったことだったかな? でもどうしてこの人は、自分のことのように語るんだろう? 金明ジンミン妃は現帝の妹でしょ? 曹朱ツァオジュには関係ないはず)

 ついつい、いらぬことを考えてしまった。自らそのことに気づいて首を振る。気合を入れ直すために、軽く自分の頬を叩いた。
 曹朱ツァオジュへと向き直る。
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