あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

じじ

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契約書の件から一週間。アリアナはいよいよ本格的に嫁ぐ準備をし始めた。
塩の販売権の移譲から式当日のドレスに至るまでベスと二人で抜けがないか確認していく。

「お嬢様、ドレスに合わせたブーケや、会場のお花もそろそろ頼みませんと。」
「あら本当ね。クレメント様の意見聞かないといけないわね」

その途端、ベスの顔がすっと真顔になり冷たい声で答えた。

「費用は全てゾーイ家でご負担されるのです。クレメント様のご意見など不要でございましょう。主導権はこちら。あくまであちらはこちらの言いなりになるしかないと言うことをしっかり認識させておくべきでは」

過激なベスの言葉に苦笑しながらアリアナは嗜めた。

「ベス。気持ちは嬉しいのだけどね。一応彼の本心を私が知ってることはまだ彼は知らないんだし。従順な妻が自分に断りもなく式の全てを決めた、ではまずいでしょう。」

ベスはしゅんとして謝った。

「申し訳ありません。つい、頭に血が上ってしまって」
「いいえ、私のことを思ってくれてありがとう。」
「ドレスや宝石はこちらで決めていいのですよね」
「ええ。ウェディングドレスとカラードレスね。カラードレスは真紅にしようと思ってるの」
「真紅ですか」

驚いたようにベスが尋ねてくる。

「確かに着用される方が多い色合いではございますが、お嬢様の髪色と重なってしまうので、違うお色の方が釣り合いが取れるかと思いますが」
「いいえ。宝石もルビーにするの」
「それでは全身が赤一色でございます。流石に周りの方からも奇異に映ってしまわれるかと。」
「そう。だからウェディングドレスは一般的なものにするし、1着目のカラードレスは常識的にネイビーに真珠を合わせるわよ。お色直し後の2着目で、赤い花嫁って言う印象を周りの方につけようと思って。」
「なぜわざわざそのような真似をなさるのです。」
「赤髪の花嫁を娶らざる得ない公爵家と印象付けるためね。自分の髪色が相手に恥をかかすなんて悔しくもあるけれど、彼への意趣返しの始まりよ。利用できるものはなんでもするわよ」
「でも…」
「家族もあなたも、私の髪色を貶したりしないもの。私はこの髪に誇りを持ってる。でも、クレメント様はできるだけ髪が目立たないようにして欲しいと思ってるはずよ?それなら思いっきり印象付けてあげないと。私が従順であると信じてるからドレスの色までは確認しないでしょう。そのドレスが私からクレメント様への反撃の始まりよ」

にこりと笑ったアリアナにベスは引き攣った顔で頷いた。
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