あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

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「20年間返済自体は猶予される。でもね、利子は当然年8パーセントかかってくる。それも元本だけでなく利子に対しても利子がつくからね。20年後どうなるかわかる？」
「3,000エランに対して1年目は利子が240エランですよね。2年目は3,240エランに対して8パーセントで3,499エラン。」
「ええ。それが20年間経つと返済額はね元本利息合わせて13,983エランになるの。どう？笑えるでしょう」
「だから、公爵位であるにも関わらず借りれる金額は3,000エランだったのですね」
「ええ。途中の返済能力もないと思われたのでしょうね。上限10,000エランというのも20年後の返済額を見据えてだからね。不足している分は領地も併せて差し押さえてトントンということだと思うわ。もしほかに担保があればもう少し借りれたかもしれないわよ。」
「しかし、返済できなくなった時はどのようになるのでしょうか」
「そうね、公爵位は10,000エラン以上で売買されることになるわね」
「爵位はそんな簡単に手に入るものなのですか？」
「もちろん爵位によって金額以上に求められるものは多くあるわ。例えば男爵位であればお金さえあれば、あとはよほど不味い人柄でもない限り国王の許可はおりやすい。でも、公爵位を買えるのは伯爵位以上と決まっているし、ほかの伯爵位以上の貴族からの推薦状が必要になるわ。国王も許可するにあたってかなり厳しい判断を下すはずよ」
「そうなのですね」
「それでね、話を戻すと20年のうちにお金を用立てることができるなら早めに返してしまった方がいいわ。全体で借りられるのは35年と決まっているから。」
「では21年目からは13,983エランにさらに利子が膨らむ中で残り15年で完済しなければならないと？」
「怖いでしょう。だからね20年の間に生活を立て直して借金を返済できる金額を用意できなかった貴族の多くは大抵その時点で爵位を手放すのよ。でないと残りは無担保でお金を借りているに近いからね。35年で借金を返せなかったら、その時は」
「労働奉仕者になるのですね」

暗い声で続きを引き継いだベスにアリアナははっとしたように言った。

「ごめんなさい。辛いことを思い出させてしまったわね」

アリアナが詫びるとベスは慌てて顔の前で手を振った。

「申し訳ございません。お嬢様にそのようなお顔をさせるつもりは…。それで労働奉仕者をさけるために、爵位を手放すのですね。では、ハンゼ公爵家についてはどのような状況なのでしょう」

場の空気を変えるようにベスはわざと明るい口調でアリアナに聞いた。