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「そんなに借金があるんですか」

ようやく口を開いたベスの声は、驚きであふれていた。

「ええ、そうよ」

貴族銀行は、フォレスティア王国の貴族位を持つものであれば、自由に利用することができる。通常の銀行と機能はほとんど変わらないが、唯一異なる点は爵位を担保に金を借りることができるという点だ。
そのため貴族が体面を保つために、爵位を担保に金を借り、挙句破産し爵位の返上ということはよくある。

「年利8パーセントですか。高いですね。」
「ええ。おそらく返せないと思われているからでしょうね」
「どういうことですか。」
「貴族銀行については私も簡単にしか知らないのだけれど…まず、爵位によって基本的に借りられる金額に上限がある。これは純粋に担保が爵位だけでお金を借りる場合に限るんだけどね。もちろん公爵位が一番高くて10,000エラン、侯爵で8,000エランと続くの。一番低い男爵位で多分1,000エランくらいじゃないかしら。」
「ええ。」
「そして無返済で借りられる年月は基本的に最長で20年。これは爵位関係なく一律なの」
「無返済とはどういうことでしょうか。普通は借りた翌月から返済は始まりますよね」
「ええそうね。これも貴族銀行の特徴的なところなのだけれどね。つまり爵位を担保にお金を借りるということは、どういう意味か分かる?」
「そうですね…」
「ふふふ。もし事業のためにまとまった額が必要なら事業計画を貴族銀行に提出したうえでお金を借りるわ。そして貴族と名前がついているくらい、この銀行は貴族に対して積極的にお金を貸すの。私たち商人が最もよく使うマルシャ銀行では貸さないような事業計画でもね。」
「つまり、爵位の担保でお金を借りる貴族は生活費のためが多いということでしょうか」
「ご明察ね。それで生活費のために借りているのに翌月から返済が始まったら生活基盤を整えられないでしょう。20年間返済を猶予するというのは、その期間の間に生活を立て直すようにという意味が含まれているようよ」
「すごく良心的に聞こえるのですが、問題がありますか」

アリアナが呆れたように説明するのを不思議そうに見ながらベスは尋ねた。アリアナはベスの顔を見据えて告げた。

「もちろん、無利子ならね」
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