あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

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勘違いに気づいたアリアナは慌てて告げる。

「ケイビス様は有能と評判ですもの。相談に乗ってくださって嬉しゅうございます。」

取りようによってはクレメントを無能だと言っているように聞こえかねない発言だが、ケイビスは気にした様子もなく嬉しそうに微笑んだ。

「ありがとうございます」

人懐っこい笑みに思わずアリアナまで微笑んでしまう。

「ふふ。ところでケイビス様いかがでしょう。」
「そうですね。私も概ねアリアナ殿の意見に賛成です。まず、今の農機具を入れ替えたいと思います。全ての領民達となると大きな金額にはなりますが、手がつけられやすいわりに効果は大きい。」
「ちなみに今使用しているものは…」
「木製です」

言いづらそうに答えるケイビスにアリアナは絶句した。

「なるほど。それで」
「領地のわりに収益が低い、とアリアナ殿も気付かれたのですね。」
「はい。」
「農具や領地経営のあり方のみで言えば兄だけに責を問うべきではないのですが…」
「つまり、公爵家自体が代々領地経営に無関心だったと？」
「はい。父も祖父も自分たちが困らなければ領民が苦しんでいても目を背けておりましたので」

言ってからケイビスはほろ苦く笑って言った。

「いえ。そもそも目にすら入っていなかったのかもしれません」
「なるほど。それでは、まず鉄製の農機具へと入れ替える算段をつけます。私の実家の伝手で相場より安く買入れられるか交渉してみます。」
「ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございます。それで流石に1年では無理ですよね。どこの地域から優先しましょう？」
「そうですね。領地北部のエファント地方を優先的にしたいと思います。逆に南部のカラファン地方は当分なくても困りません」
「と言うのは？」
「エファントは土が湿気を帯びて重たいのです。水捌けも悪いので、本来鉄製の農具で高い畝を作って農作物を育てるのが最善なのですが、木製の農具ではそこまでの畝を作ることができません。逆にカラファンの土は軽く水捌けもよい。木製でも問題はありません」
「どれくらいの金額がかかるでしょうか。エファントの農民、それぞれの家に一式ずつ配布するとして500エラン程度かと」
「500エラン…」

無理をすれば出せない金額ではないと思ったアリアナにケイビスは続けた。

「こちらは私が用意します。ですがハンゼ公爵家として支出をお願いしたいものがあります」