あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

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「ケイビス様、そのことでお話ししておきたいことがございまして」

改まった様子でアリアナが告げると、ケイビスは何かを敏感に察知した様子で居住まいを正した。

「どのようなことでしょうか」
「実は…結婚の前にすでにクレメント様が私のお金だけが目当てというのは存じ上げていました。」
「え」
「ケイビス様に私のことをどのようにお伝えになっておられたかは分かりませんが…たまたまご友人とクレメント様がお話しているところを聞いてしまいまして…赤毛とは金だけのための結婚だ、と」
「そんな…兄はどこまで愚かなんだ」

驚愕の表情の中に失望の色が混じるのを見てアリアナは苦笑した。

「ケイビス様、私はそれを知ったうえで嫁いできました」

冷えたアリアナの瞳を見て、ケイビスはぞくっとする。

「なぜでしょうか。婚約破棄もできたでしょう。あなたなら次の相手にも困らないはずだ」

最後の一言にケイビスの気遣いを感じ取りアリアナは微笑んだ。

「ありがとうございます。ですが、赤毛を気にされる方はやはり多いのです。だからこそ、それを気にせずに私に愛を説いて下さったクレメント様を深くお慕いしたのです。」
「…兄はあなたにとんでもない裏切りをしたのですね」

悔いるようにつぶやくケイビスを見て、アリアナは心が痛んだ。ケイビスを傷つけたいわけではない。

「確かに、聞いた瞬間は驚きましたし、傷つきました。ですが、良くも悪くも私にはその反応の方が慣れたものだったのです」
「そんな…」
「それで私、決めたのです。」

まっすぐに見つめるケイビスの視線を悠然と受け流しながらアリアナはにっこり笑って続けた。

「必ず後悔させる、と。だから私もクレメント様のこと責められませんね。でもやはり許せなかったのです」
「それは当然だと思います」

アリアナの心を慮るように、優しくケイビスは同意する。

「ありがとうございます。それで、この借りは返してもらう、と決めました。だって私は商人の娘です。ただ働きはできないでしょう？」

最後は茶目っけに溢れたアリアナの物言いに、ケイビスはようやく頬を緩ませた。

「そうですね。仰る通りです。それで
どうされるおつもりだったんですか」
「もともとは新しい事業でもしていただいて、借金漬けにしたうえでハンゼ公爵領を担保に頂こうと思っていました」

穏やかな調子で物騒なことを言うアリアナを咎める様子もなく、クレメントは頷いて続きを促す。

「ですが、調べてみるとすでに私が誘うまでもなく多額の借金を抱えていらっしゃいましたので…」

アリアナは苦笑して続けた。