あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

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「朝から晩まで雑用ばかりなんだ。領地の見回り、食料品の備蓄の確認、領民同士で揉め事が起きた際の詳細な聞き取り。本当にうんざりなんだ。こんなこと
私がしなくてならないことではないはずだ。それなのにあいつと来たら朝から晩まで私を働きづめにして…全くどう言うつもりなんだ！」
「まあ…」

全然大した仕事量じゃないのね、と言おうとした瞬間、クレメントは続けた。

「それに他家への使いにも行かされる…周りから奇異の目で見られて、私がどれほど恥ずかしい思いをするか分かっているはずなのに…頼むアリアナ。もう耐えられないんだ。元に…私の妻に戻ってくれ」

プライドの高いクレメントが一番堪えたのはこれだろうな、と懇願するクレメントを見つめながらアリアナは考えた。
一方クレメントは、何を勘違いしたかアリアナのその自分を見つめる様子に一瞬希望を感じとった。
復縁しましょう、クレメント様お可哀想に…そう返事されるのを期待した。

「とても…」

続く言葉を待ち侘びるようにクレメントが潤んだ瞳でアリアナを見上げる。

「とてもすっきりしました。」

その言葉の意味が一瞬分からず、クレメントはしどろもどろになりながら尋ねる。

「す、すっきり？どう言う意味だ？」
「言葉通りの意味です。ケイビス様に使われている立場のあなたを見てすっきりしました。それでは引き続き頑張ってお仕事励んでくださいね。そうそう、いくら優秀で羨ましいからってケイビス様の足引っ張ったらだめですよ？
それではお帰りください。二度とその顔私に見せないでくださいね」

立ち上がってドアを開けようとアリアナがした瞬間、外からドアが開けられる。
アリアナが驚いていると、焦った様子のユージンが入ってきた。クレメントには目もくれずアリアナに告げた。

「姉さん。今度はケイビス様がこられた」
「…どうぞお通しして」

アリアナがそう答えるや否や、ケイビスがユージンの後ろから顔を見せる。その光景に流石にアリアナも苦笑するしかなかった。

「ようこそケイビス様」
「突然、申し訳ございません。クレメントが勝手にアリアナ様に会いに行ったと伺い…引き取りに参りました。
クレメント帰るぞ。ゾーイ家のお嬢様に失礼なことをするな」

厳しい叱責に肩をびくりと震わせたところをみると、ケイビスに厳しく躾け直されているらしい。やれやれと頭を振ったアリアナにケイビスは真摯な眼差しで、向き直った。

「あの、アリアナ様。クレメントの件とは別件でお話したいことが…ご都合の良い時にお時間いただけませんか」
「今でも大丈夫ですよ」

そう答えた瞬間、ケイビスがさっと赤面した。