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はっとしたように顔を上げたケイビスは、アリアナの目をしっかり見つめて告げた。
「あなたにとっては私よりも他の方と結婚した方が良いことくらい…承知しております。だから先ほどの告白もすべきでないことは分かっていました。
ですが、それでも…もし、私の言葉をお聞きになれば、少しくらい私でも元義弟ではなく婚約者候補として見ていただけるかもしれない、と愚かなことを考えてしまい…言わずにはいられませんでした。
それなのに結局、私は求婚の一つもせず…兄のことが責められる立場ではありません。アリアナ様の心を乱すだけ乱して逃げようとしたのですから。
それでも、あなたと一緒に生きていきたいと願ったのは本心です。」
熱烈ですわね、と背後でベスが呟くのを聞いて、くすりとアリアナは笑った。
「ケイビス様。私達はお互いに想いあっていながら、運命のせいにして諦めようとしていたのですね。私もこれから先の人生はケイビス様と共に過ごしたいです」
「ですが、私と結婚することで口さがないもの達が何か言うかもしれません」
ケイビスは最も懸念していたことを口にする。
義姉に恋心を抱いて、離縁後に告白。振られたら自分の愚かさが笑われるだけだ。義姉に横恋慕した節操なし、そう思われても気にならないほどアリアナに恋していた。
だが、アリアナが受け入れてくれるとなれば話は別だ。元義弟との婚姻を揶揄する声はアリアナに向かうだろう。婚約者候補として見てほしいと願いながら、その想いが届けば、受ける不利益はアリアナに向かう。
それが分かっていながら、アリアナを求めてしまったのだ。
「あら、そんなこと。私は気にしませんわ」
からりとした口調でアリアナはこともなげに答えた。
「え?」
「私がケイビス様への思いを心に秘めていたのは、ケイビス様に義弟に恋するような愚かな女だと思われたくなかったからです。別に周りからどのように思われても、ケイビス様が気になさらないのであれば私は構いませんわ」
「ですが」
「ケイビス様。私は普通の貴族令嬢とは違うのです。髪が赤い。たったそれだけのことで、それこそ口さがない方達から今まで山ほど聞くに耐えない暴言を浴びせられてきております。」
「…」
「ですから、愛しい方と結ばれるために浴びせられる暴言など、ものの数にも入りません」
「あなたにとっては私よりも他の方と結婚した方が良いことくらい…承知しております。だから先ほどの告白もすべきでないことは分かっていました。
ですが、それでも…もし、私の言葉をお聞きになれば、少しくらい私でも元義弟ではなく婚約者候補として見ていただけるかもしれない、と愚かなことを考えてしまい…言わずにはいられませんでした。
それなのに結局、私は求婚の一つもせず…兄のことが責められる立場ではありません。アリアナ様の心を乱すだけ乱して逃げようとしたのですから。
それでも、あなたと一緒に生きていきたいと願ったのは本心です。」
熱烈ですわね、と背後でベスが呟くのを聞いて、くすりとアリアナは笑った。
「ケイビス様。私達はお互いに想いあっていながら、運命のせいにして諦めようとしていたのですね。私もこれから先の人生はケイビス様と共に過ごしたいです」
「ですが、私と結婚することで口さがないもの達が何か言うかもしれません」
ケイビスは最も懸念していたことを口にする。
義姉に恋心を抱いて、離縁後に告白。振られたら自分の愚かさが笑われるだけだ。義姉に横恋慕した節操なし、そう思われても気にならないほどアリアナに恋していた。
だが、アリアナが受け入れてくれるとなれば話は別だ。元義弟との婚姻を揶揄する声はアリアナに向かうだろう。婚約者候補として見てほしいと願いながら、その想いが届けば、受ける不利益はアリアナに向かう。
それが分かっていながら、アリアナを求めてしまったのだ。
「あら、そんなこと。私は気にしませんわ」
からりとした口調でアリアナはこともなげに答えた。
「え?」
「私がケイビス様への思いを心に秘めていたのは、ケイビス様に義弟に恋するような愚かな女だと思われたくなかったからです。別に周りからどのように思われても、ケイビス様が気になさらないのであれば私は構いませんわ」
「ですが」
「ケイビス様。私は普通の貴族令嬢とは違うのです。髪が赤い。たったそれだけのことで、それこそ口さがない方達から今まで山ほど聞くに耐えない暴言を浴びせられてきております。」
「…」
「ですから、愛しい方と結ばれるために浴びせられる暴言など、ものの数にも入りません」
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