あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

じじ

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ユージンが尋ねるとベスは待ってましたと言わんばかりに、途端に瞳を輝かせた。

「ドレスです!」
「ドレス?」

あまりに嬉しそうなベスの様子に、ユージンはきょとんとした。

「ドレスなんて別に珍しくないよね?」

ユージンの不用意な一言でベスの纏う空気がスッと冷えた。
ちらりと冷たい目でユージンをみて、冷ややかな口調で答えた。

「あら、アリアナ様の結婚式のドレスですもの。特別に決まっていますわ」

がたん、と音をさせてユージンは椅子から立ち上がった。驚きのあまり目を見開いたまま、ユージンは尋ねた。

「まさか、もう一度結婚式をするつもりなの?」
「あら、なぜそれほどまでに驚かれるんですか」

至極当然と言った様子で答えるベスに、ユージンは頭痛を感じた。

「姉さんはこの間クレメントに嫁いで盛大に結婚式したばかりだよ。それなのにすぐにその弟に嫁いで、もう一回結婚式するなんて、そいつらじゃないけどわざわざ批判を浴びに行くようなもんだよ」

それを聞いた途端、ベスはにやりと笑って答えた。

「ええ、まさにアリアナ様も同じことをケイビス様に仰いました。」
「ならケイビス様の考えなのか?」
「もちろんです!」
「姉さんのことを本気で大事に思ってるなら、そんな批判を受けるようなことわざわざさせるとは思えない。ケイビス様なら姉さんを任せられると思ったけど僕の思い違いだったみたいだ」

ユージンはそう言うなり、部屋を出ようとした。しかし部屋から出る直前にベスに手を掴まれる。

「なに?まさか、君もその結婚式に賛成なの?」

咎めるように聞かれたベスは柔らかな眼差しのまま答えた。

「もちろんです。」
「…君は姉の幸せを願ってくれる人だと思っていたんだけれど」

皮肉気なユージンの言葉を聞いて、ベスはいたずらっぽく微笑んだ。

「なに?」
「いえ。本当にアリアナ様のことが私達は大好きなんだな、と改めて認識しました。」
「どう言う意味?」
「まさに私も同じことをケイビス様に問い詰めましたので」
「それならなんで賛成なの?」
「まず、結婚式ですが貴族の方を招きつつ、領地で祭りも行います。前回より盛大に行うことで、アリアナ様を公爵家が心から歓迎していることを示すそうです。」
「でも、前回出席した貴族を呼ぶなんて…出席を断られでもしたら姉さんが恥をかくことになる。それに一度出て行った元公爵夫人が再び嫁ぐことを祝う祭りに、民は参加するの?」
「それですが、クレメント様が当主の時ははっきり言って落ちぶれていた公爵家の結婚式に出るのは義理以外の何者でもなかったようです。
ですがアリアナ様が立て直され、ケイビス様が発展に尽力され力を取り戻しつつある公爵家と繋がりを持ちたいと願う貴族は多いようです。おそらく多くの貴族は喜んで出席します。
それに領民からの支持が高いアリアナ様が離縁された時、民から惜しむ声が多く上がったと聞きます。再嫁されるとなれば批判どころか歓喜で溢れることでしょう。彼らの思いを汲むためにも祭りを開催するようですわ。」
「そう」
「それに、アリアナ様が当日着用されるドレスは美しい萌黄色のドレスですから」

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