あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

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「それよりも式の支度の最中に申し訳ありませんでした。とてもお美しいです」

顔をさっと朱に染めながら、思い出したように告げるケイビスにアリアナまでつられて照れてしまう。

「ありがとうございます…お気に召したなら嬉しいです」
「その色のドレスもとてもお似合いです」

放っておけばまだまだ続きそうなケイビスの賛辞に、アリアナは微笑んで答えた。

「嬉しいですわ。あの、ケイビス様。そろそろお戻りになられませんと」
「あ、ああ。」

やんわりと退室を促され、ケイビスは若干肩を落とした。

「ではケイビス様、後ほど式でお会いしましょう。」

そう言うとケイビスに近寄って、背伸びをしたアリアナはケイビスの頬に柔らかなキスをした。
驚いた表情をしたケイビスだったが、すぐに柔らかな微笑みを浮かべた。

ケイビスの出て行った扉をいつまでも名残惜しそうに見つめるアリアナに、ベスはすっと近寄るとからかいを含んだ笑みでにこやかに告げた。

「すぐにお会いできますから」
「私は別に…」
「ふふ。分かりました。さあ、どうぞ。式中はろくに召し上がれないと思いますから。」

アリアナの言い訳を途中で遮って、ベスはアリアナの前に一口サイズの可愛らしいサンドイッチを置いた。

「あら、美味しそう」
「よかったですわ。これを召し上がって式まではゆっくりお過ごしください。それでは私はしばらく席を外しますね」
「どこに行くの」

てっきりずっと側にいてくれると思っていたアリアナが不思議そうに尋ねる。

「先ほど出て行かれたクレメント様の動向が気になります。おそらく大丈夫かとは思いますが、確実に養子になられるか確認しませんと」
「…よろしくね」

幸せな雰囲気に水を差されたことを余程腹に据えかねたらしいベスが淡々と告げた。その様子にアリアナは苦笑しながら返事した。

「それでは失礼いたします」

一礼して出て行ったベスを、アリアナが少し心配そうに見つめているとアリアナ付きのメイドの一人が微笑んで告げた。

「ベス様は本当にアリアナ様のことを大切に思っておいでなのですね。それにしても全くクレメント様は…私達もすぐに気づくべきでした。二人きりになられている間、さぞ恐ろしい思いをなさったでしょう。申し訳ございません」
「あら、そんなこと気にしないで。それよりもみんなでお茶にしましょう。式までまだ時間があるし…でも一人で食べようにも緊張で喉を通りそうにないわ」

戯けてアリアナが言うと、メイド達は微笑みながらお茶の支度を始めた。