あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

じじ

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「その紅茶はどちらへ?」

ベスは紅茶を運んでいたメイドに声をかけた。

「あら、ベス様。ユーズル侯爵様がクレメント様とお話がしたいとのことで…まったくアリアナ様のご結婚式を午後から控えているというこの忙しい時に…ケイビス様もわざわざお膳立てなさったとのことですし。殿方には結婚式がどれほど大切なことなのかお分かりにならないのだわ。」
「そうね」
「顔を見たら、腹立ちのあまり熱い紅茶かけてしまいそうです」
「…代わりましょうか?」

ベスがさらりと尋ねると、メイドは驚いた顔をしてベスを見つめた。

「ベス様がアリアナ様のお側を離れられてよろしいのですか」
「実は先ほど、そのクレメント様のお話をケイビス様からお聞きしまして…話の行末が気になっていたのです。公爵家のメイドの皆さんにアリアナ様のことはお任せして様子を伺いに来たのですが、どのようにお部屋に入ろうか考えておりました」

そしてちらりと紅茶の載ったトレイを見る。

「そのお役目、譲って下さいませんか」
「あの…押し付けてしまいましたでしょうか。」

メイドは申し訳なさそうに目を伏せながら、トレイをベスに渡してきた。ベスは柔らかく微笑みながらそれを受け取った。

「まさか。むしろありがたいですわ。」
「ベス様、それでは申し訳ございませんが、よろしくお願いします」
「ええ。」

コンコンと扉をノックすると、中から入室を許可する声がする。

「失礼いたします。紅茶をお持ちしました。」

ユーズル侯爵は壮年のいかめしい風貌をした人物だった。ベスは二人にお茶を配ると部屋の隅で控えた。ベスのことなど気にした様子もなく二人は話し始めた。

「ケイビスがあなたの養子になれと。まったく先の公爵である私になんて言い草だ。だが、辺境の子爵に追いやられるくらいなら、まだそちらの方がマシだ」

吐き捨てるように呟いた後半に、ユーズル侯爵は返事をした。

「ええ。だからこそ私もあなたを我が養子として迎え入れることができないか、ケイビス殿に打診したのです。」
「ふん。家格の低い侯爵家が偉そうに」

横柄なクレメントの態度への不快感を一切見せることなく、ユーズル侯爵は微笑んで答えた。

「もちろん、公爵位とは比べるべくもございませんが…それで、我が侯爵家の養子となる件について仔細はお聞きになっておられますかな」
「ケイビスが自分で聞いてこい、と」
「左様でしたか。それでは少し込み入った話になりますが、よろしいですかな」

ユーズル侯爵が続きを話そうとすると、クレメントはうるさげに手をひらひらとさせた。

「私が知りたいのは一つだけだ。」
「なんでしょう?」
「私は実子と同じ扱いを受けることができるかどうか、だ」

にやりと笑った侯爵は続けた。

「後継にはなれませんが、それ以外の部分に関しては
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