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第2章 海を目指して
第29話 ギルド
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「ふらんくふると……だってー! ルミツ、行ってみようよ!」
「フランクフルトがあるのか……! いいね、行こいこ!」
次に向かったのはフランクフルトのお店であった。前世にもあったフランクフルト、ここではどんな味なのかは気になるところだ。
「うわっ、めっちゃいい匂いするー!」
「ちょっと2人とも、あんまり離れすぎないでください……! はぐれたら面倒なことになります……!」
「大丈夫だよ、ほら早く行こ!」
そして私は人混みを駆け抜け、フランクフルトの屋台の前まで辿り着く。
「凄い……!」
「これがふらんくふるととやらか……! 初めて見た……!」
「ん、そこのお嬢さんはこの祭りの通なのかい?」
「私ー? まあ毎年来てるからそこそこは通なんじゃないかな?」
「ほほう、ならばあなたはなかなか見どころがありますな。そう、このフランクフルトはこの祭りで初めて提供する物になっております! 外はパリッと、中はジュワッと……! 香ばしく焦げ目の着いた表面の皮、その中から溢れ出る濃密な肉汁……! さあ、これは買ったでしょう!!」
シルフの目が釘付けになっている。
私も魅力を感じている。あんな匂いと美味しそうな見た目を前に、いや大丈夫と断れるほど私は食欲に乏しくなかった。
「うぅぅ……」
「ほら、買った買った!」
「いやぁ、買いたいのは山々なんだけどぉ……」
そう、私たちは未だに一銭も持っていなかった。
「……一旦諦める? ルミツ」
「そうだね。ごめんなさい店主さん……!」
そして私は顔の前で手のひらを合わせ、店主さんに謝る。
「なんだ嬢さんたち、お金が無いのですかい?」
「あはは……、恥ずかしながら……」
「なら2本無料で売りましょう! 嬢さんたちはいい顔してたから特別ですよ!」
「えっ、……あー」
「ルミツ、どうする……?」
先ほど無料で射的をやらせてもらった挙句、私の技術で何個も商品をぶんどってしまった。その後にまた無料で奢ってもらうのは流石に申し訳がない。
「いやぁ、嬉しい提案だけど……ごめんなさい! ちゃんと自分たちのお金で払って食べたいんです!」
「……へぇ、いい心構えじゃないか! 可愛い顔して中身はなかなか渋いなぁ、嬢さんたち!」
「いやぁ、へへ」
そうして私は無料のフランクフルトを断って、その場を後にする。
しばらく歩いた後、人混みの中からサラマンダーがぴょこっと出てきた。
「ちょ、主様……。人混みを抜けるの速すぎます……」
「あっ、サラマンダー。私お金稼ぎたいからギルドに向かおうと思ってるんだけど、どうする?」
「ひゃ~~~、自分もう……疲れました……」
「あはは、ごめんごめん、じゃあちょっと休憩してから向かおっか。モースとウンディーネは?」
「え? 2人と一緒にいたんじゃ無いんですか?」
「違うけど?」
「でも僕より先に行ったはずなのに……?」
「……え?」
「……え?」
「……」
「ルミツ、これって……」
「……うん」
はぐれてしまったぁぁぁ!!
「まずい、どうしよっか!?」
「うーん、この人混みで気配察知はあまり良い策じゃないよね……? 魔力も隠してる訳だし……!」
「僕もあの2人は見つけられないです……!」
「うーん、どうしよっかなぁ……?」
正直この人混みの中からあの2人の気配をピンポイントに見つけるのは至難の業だ。出来ないこともないだろうが、動き続ける人混みの中では現実的では無い。
フランクフルトの店に戻ったとして、すれ違えばかなり面倒だ。店主に合わせる顔も今は正直無い。
今は耳を畳んでいるから、声を頼りにするのもあまり良い手段ではない。
「……いずれあの2人もお金が無いという問題に気づくだろうし、先にギルドに行って待つのも1つの手かもしれない」
「あー、確かに。あの2人は頭が良いし、それが最善択かもね」
「まぁそれしかないですね」
そうして私たちはひとまずギルドに向かう。
論理的に頭が回るモースと、人の感情を上手く読み取れるウンディーネなら、ギルドに早かれ遅かれ来るだろう。
◇◇◇
数分後、人混みに揉まれつつ街の看板を何とか読み取りながら、ギルドの近くまでやってきた。
ヒューナ村とは違い、少し豪勢でしっかりとした作りの大きなギルド。
ギルドの周りに屋台は無く、人はあまりいなかった。おそらく警備や緊急出動時の通路確保の為だろう。
「それっぽい人影は無し……か。中にいるかもしれないし、もう入っちゃおうか」
「そうですね」
「わかったー」
そうして私はギルドの扉を開ける。
中には人の姿はほとんど無く、談笑する冒険者が少しいる程度だった。
無論その中にウンディーネやモースの姿も見られなかった。
「……いないね」
「まぁ仕方ないよ、あくまで予想だったんだから」
「一応少し待ってみましょう」
そうして私たちは少しだけギルドに居ることになった。
その間にギルドの依頼でも見てみようか。
そう思い、私はギルドの掲示板へと足を運ぶ。以来のほとんどはここに貼り付けられ、冒険者が受けるのを待っているようだ。
「冒険者さん、もしかしてですが初心者の方でしょうか?」
「えっ、はい」
まずい、急に話しかけられて適当に返事してしまった。
「それでは説明させていただきますね!」
「あっ、ちょ、」
ここから断ることができず、ギルドの説明を受けることになった。まあでも実際初心者ではあるし都合はいいか。
「こちらのギルドでは様々な依頼を受けることができます! 薬草採取から、探し人や探し猫、それから盗賊・魔物討伐など、幅広い依頼が集まってきます! ギルドカードはお持ちでしょうか?」
「はい、ここに」
そして私は自分のギルドカードを懐から取り出す。
「失礼しました、経験者でしたか。これ以上の説明はご必要ですか?」
「あっ、お願いします」
「分かりました。依頼をこなす毎にポイントが貰えます。そのポイントに応じてランクが上がっていきます。今の貴方のランクは……Eランクですね。最高ランクはSSランクとなっております。ランクが上がることで、受けられる依頼の幅が増え、その分の給金もおおきくなっていきます」
なるほど、そんな制度なのか。
モースたちを待っている間に、受ける依頼の目星を付けておこう。
「フランクフルトがあるのか……! いいね、行こいこ!」
次に向かったのはフランクフルトのお店であった。前世にもあったフランクフルト、ここではどんな味なのかは気になるところだ。
「うわっ、めっちゃいい匂いするー!」
「ちょっと2人とも、あんまり離れすぎないでください……! はぐれたら面倒なことになります……!」
「大丈夫だよ、ほら早く行こ!」
そして私は人混みを駆け抜け、フランクフルトの屋台の前まで辿り着く。
「凄い……!」
「これがふらんくふるととやらか……! 初めて見た……!」
「ん、そこのお嬢さんはこの祭りの通なのかい?」
「私ー? まあ毎年来てるからそこそこは通なんじゃないかな?」
「ほほう、ならばあなたはなかなか見どころがありますな。そう、このフランクフルトはこの祭りで初めて提供する物になっております! 外はパリッと、中はジュワッと……! 香ばしく焦げ目の着いた表面の皮、その中から溢れ出る濃密な肉汁……! さあ、これは買ったでしょう!!」
シルフの目が釘付けになっている。
私も魅力を感じている。あんな匂いと美味しそうな見た目を前に、いや大丈夫と断れるほど私は食欲に乏しくなかった。
「うぅぅ……」
「ほら、買った買った!」
「いやぁ、買いたいのは山々なんだけどぉ……」
そう、私たちは未だに一銭も持っていなかった。
「……一旦諦める? ルミツ」
「そうだね。ごめんなさい店主さん……!」
そして私は顔の前で手のひらを合わせ、店主さんに謝る。
「なんだ嬢さんたち、お金が無いのですかい?」
「あはは……、恥ずかしながら……」
「なら2本無料で売りましょう! 嬢さんたちはいい顔してたから特別ですよ!」
「えっ、……あー」
「ルミツ、どうする……?」
先ほど無料で射的をやらせてもらった挙句、私の技術で何個も商品をぶんどってしまった。その後にまた無料で奢ってもらうのは流石に申し訳がない。
「いやぁ、嬉しい提案だけど……ごめんなさい! ちゃんと自分たちのお金で払って食べたいんです!」
「……へぇ、いい心構えじゃないか! 可愛い顔して中身はなかなか渋いなぁ、嬢さんたち!」
「いやぁ、へへ」
そうして私は無料のフランクフルトを断って、その場を後にする。
しばらく歩いた後、人混みの中からサラマンダーがぴょこっと出てきた。
「ちょ、主様……。人混みを抜けるの速すぎます……」
「あっ、サラマンダー。私お金稼ぎたいからギルドに向かおうと思ってるんだけど、どうする?」
「ひゃ~~~、自分もう……疲れました……」
「あはは、ごめんごめん、じゃあちょっと休憩してから向かおっか。モースとウンディーネは?」
「え? 2人と一緒にいたんじゃ無いんですか?」
「違うけど?」
「でも僕より先に行ったはずなのに……?」
「……え?」
「……え?」
「……」
「ルミツ、これって……」
「……うん」
はぐれてしまったぁぁぁ!!
「まずい、どうしよっか!?」
「うーん、この人混みで気配察知はあまり良い策じゃないよね……? 魔力も隠してる訳だし……!」
「僕もあの2人は見つけられないです……!」
「うーん、どうしよっかなぁ……?」
正直この人混みの中からあの2人の気配をピンポイントに見つけるのは至難の業だ。出来ないこともないだろうが、動き続ける人混みの中では現実的では無い。
フランクフルトの店に戻ったとして、すれ違えばかなり面倒だ。店主に合わせる顔も今は正直無い。
今は耳を畳んでいるから、声を頼りにするのもあまり良い手段ではない。
「……いずれあの2人もお金が無いという問題に気づくだろうし、先にギルドに行って待つのも1つの手かもしれない」
「あー、確かに。あの2人は頭が良いし、それが最善択かもね」
「まぁそれしかないですね」
そうして私たちはひとまずギルドに向かう。
論理的に頭が回るモースと、人の感情を上手く読み取れるウンディーネなら、ギルドに早かれ遅かれ来るだろう。
◇◇◇
数分後、人混みに揉まれつつ街の看板を何とか読み取りながら、ギルドの近くまでやってきた。
ヒューナ村とは違い、少し豪勢でしっかりとした作りの大きなギルド。
ギルドの周りに屋台は無く、人はあまりいなかった。おそらく警備や緊急出動時の通路確保の為だろう。
「それっぽい人影は無し……か。中にいるかもしれないし、もう入っちゃおうか」
「そうですね」
「わかったー」
そうして私はギルドの扉を開ける。
中には人の姿はほとんど無く、談笑する冒険者が少しいる程度だった。
無論その中にウンディーネやモースの姿も見られなかった。
「……いないね」
「まぁ仕方ないよ、あくまで予想だったんだから」
「一応少し待ってみましょう」
そうして私たちは少しだけギルドに居ることになった。
その間にギルドの依頼でも見てみようか。
そう思い、私はギルドの掲示板へと足を運ぶ。以来のほとんどはここに貼り付けられ、冒険者が受けるのを待っているようだ。
「冒険者さん、もしかしてですが初心者の方でしょうか?」
「えっ、はい」
まずい、急に話しかけられて適当に返事してしまった。
「それでは説明させていただきますね!」
「あっ、ちょ、」
ここから断ることができず、ギルドの説明を受けることになった。まあでも実際初心者ではあるし都合はいいか。
「こちらのギルドでは様々な依頼を受けることができます! 薬草採取から、探し人や探し猫、それから盗賊・魔物討伐など、幅広い依頼が集まってきます! ギルドカードはお持ちでしょうか?」
「はい、ここに」
そして私は自分のギルドカードを懐から取り出す。
「失礼しました、経験者でしたか。これ以上の説明はご必要ですか?」
「あっ、お願いします」
「分かりました。依頼をこなす毎にポイントが貰えます。そのポイントに応じてランクが上がっていきます。今の貴方のランクは……Eランクですね。最高ランクはSSランクとなっております。ランクが上がることで、受けられる依頼の幅が増え、その分の給金もおおきくなっていきます」
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