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第2章 海を目指して
第31話 高価な素材
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「さて、親玉は倒した訳だけど、君たちはどうするの?」
残りの何十頭のオークはたじろいでいる。どうやら他の個体たちはそれほど高い知能を持たないようだ。
「ブ、ブガァァァア!!」
「ブギ、ブギャァァア!!」
「「ブギブギャァァア!!!」」
一頭が私に向かってきたことを皮切りに、他の個体たちも私に襲いかかってくる。
丁度いい、全員捻り潰す。
蝶華心得『凛・天舞麒麟』
私は2本の刀を広げ、舞う。舞うと言ってもただの舞ではない。その舞踏の中に斬撃が存在する、そんな技だ。
「ブキャア!」
「ビギィ!」
次々と切り裂かれるオークたち。辺り一面血の海とは正にこの事だ。私はぴちゃぴちゃと音の鳴る地面の上で、紅く顔に降りかかる雨の中で、オークの命を刈り取り続けた。
「ふぅ、これで終わり」
刀から血を振り払った後、鞘に収める。
オークの死体たちは灰のようなものになりかけ、少しずつ身体が欠けていっている。
「早くハルゾラ草を集めないと」
「……なんか騒がしいと思ったら、何してるんですか主様」
「あれ、サラマンダー? どうしたの?」
「どうしたもこうしたも無いですよ。何やらものすごい気配を感じて来てみれば……。まぁ案の定と言えば案の定ですけど」
「いやぁ、手数が必要で大変だったんだから」
「まぁこれだけ多くのオーク相手では……、!? 主様、何か刃物を!」
「えっ、なんで」
とりあえず懐の短剣を手渡す。
「レア素材ですよ! 赤眼のオーク、通称『逆鱗持豚』……! 中々の強さを誇り、その赤い目と喉笛は装飾品、薬の材料として扱われる超高級素材……! しかも一撃で仕留められてるから状態は最高級ときた……!」
「……もしかしてそれって、売ればかなりのお金になる?」
「はい! もちろんです!」
それはもう、薬草採取はしなくて済むってこと……!?
「下手したら一軒家も買えるかもしれません……!」
「じゃあ薬草採取はそこそこの量を取ったら終わっちゃお! 早く祭りに行きたいし!」
「はい、同感です!」
そうして私たちは近くのハルゾラ草を急いで集め、皆を探すことにしたのだった。
「そういえばサラマンダーって、アクセサリーとか好きなの?」
「えっ、なんですか急に」
ふと私は気になったことを聞いてみる。
射的の時もそうだったが、サラマンダーは貴金属類、アクセサリーを見る時の目がキラキラと輝いている。
「いつもキラキラした目でアクセサリーとか見てるからさ。もしかしたらそういうの好きなんじゃないかなって」
「……まぁ結構好きですよ。と言ってもこの趣味は九割がた魔法の師匠の影響ですけどね」
「へぇ、やっぱりサラマンダーにも師匠ってのがいるんだね」
「ほとんどの魔法を使える者は、師匠から魔力を見えるようにしてもらいますからね。だからこそ素で魔力が見える主様はおかしいんですよ」
「へー、そうなんだ……」
「そして私の師匠、金神フレイヤ様はとにかく貴金属類が大好きでして、色々な知識を叩き込まれたんですよ」
そう話すサラマンダーの口角は僅かに上がっていた。憎まれ口こそ叩いているが、本当はそのフレイヤって神様が好きなのだろう。
「あれ、ウンディーネじゃない?」
「ほんとですね」
「あら、2人とも~?」
そんな会話をしながら森をかき分けていると、ウンディーネと出会うことができた。
「どうしたの~? 何かあった~?」
「うん。主様がレア素材を取ってくれたから、もうお金を稼ぐ必要が無くなったんだよ」
「あら、そうなの~。じゃあ私も切り上げちゃおっかな~」
そう言って持っている袋を閉じたウンディーネ。
「他の2人は~?」
「今探してるとこ。とりあえずウンディーネとだけ今は合流出来た感じ」
「分かったわ~」
そうして私たちはウンディーネと合流を果た──
ブワァッ
「!!!」
とてつもなく強い殺気と魔力……!!
「なにこれ……?」
「嫌な予感がします。急ぎましょう」
「うん」
私たちは強い魔力のする方へと急ぎ足を運ぶのであった。
かなり走っていくうち、遠くにモースが見えてきた。
誰か戦闘している……! だいぶ苦戦を強いられている……。
「ぐっ……!」
「モース!!」
「……! 助かった! 援軍を頼む……!」
「……チッ」
電撃魔法『紫電悪魔球』
「死ねぇぇぇぇえ!!」
野球のようなフォームから、紫の雷を纏った魔力球が私に向かって投げられる。
速い……! だけど避けられないこともない……!
私は半身になり、その魔法を避ける。
「避けてんじゃねえよこのアマァ!!」
金髪でガラの悪い男。この魔力量、さっき感じた殺気と魔力はコイツのもので間違いないだろう。
「女の子に急にボール投げるとか、大した男じゃないのは分かったよ」
「ハァ!? てめぇもういっぺん言ってみろやグズが!! ぶっ殺すぞ!!」
「だから、小さい男だって言ってるんだよ」
「て、テメェ……! 絶対にぶち殺してやる……!!」
電撃魔法『紫電悪魔球』
「さっきよりちょっと速くなった程度じゃ……」
そう言って私は難なくそれを躱す。
だが、その魔力球は網目状に広がり、私に襲いかかる。
「!!」
「死ねぇ!!」
電撃魔法『紫電確殺網』ォ!!
「気をつけろルミツ!! その魔法は……!」
蝶華心得『疾風・鎌鼬』
私はその魔法を切り裂こうと、横薙ぎの一閃を放つ。だが、刃が電気の網に僅かに触れた瞬間、その点の魔力が膨れ上がるのが感じた。
「ッ!!」
私は急いで距離を取るためバックステップを踏む。
「遅せぇよダボが!!」
ドガァァァァァアン!!!
膨れ上がった魔力は刹那、大爆発を引き起こした。
「主様!!」
「ルミツ!!」
大爆発により、辺りに砂塵が舞う。
「へっ、雑魚が」
電撃魔法『紫電爆散罠』
「くっ、砂煙で何も見えん……!」
ルミツ、一体どこに……!?
「……へぇ」
「……危ないなぁ」
「面白えじゃねえか、この俺の爆発を耐えるたぁな」
かなり危なかった。咄嗟に打った光魔法の矢に掴まらなければ、私は今頃肉片だ。
「良いだろう、冥土の土産だぁ、教えてやる。俺は八鬼魔眼が1人。第2の魔眼のラグマラサ様だぁ!!」
「第2の魔眼……!?」
「この前は第1の魔眼のゼグラが世話になった見てえだがなァ、俺はアイツのような最弱の甘ちゃんじゃねえから覚悟しな!!」
八鬼魔眼……、なるほど、噂に聞いていた幹部というのはそういう名称なのか。
話を聞く限り、コイツはこの前戦ったゼグラよりも強そうだ。……どうするべきか。
残りの何十頭のオークはたじろいでいる。どうやら他の個体たちはそれほど高い知能を持たないようだ。
「ブ、ブガァァァア!!」
「ブギ、ブギャァァア!!」
「「ブギブギャァァア!!!」」
一頭が私に向かってきたことを皮切りに、他の個体たちも私に襲いかかってくる。
丁度いい、全員捻り潰す。
蝶華心得『凛・天舞麒麟』
私は2本の刀を広げ、舞う。舞うと言ってもただの舞ではない。その舞踏の中に斬撃が存在する、そんな技だ。
「ブキャア!」
「ビギィ!」
次々と切り裂かれるオークたち。辺り一面血の海とは正にこの事だ。私はぴちゃぴちゃと音の鳴る地面の上で、紅く顔に降りかかる雨の中で、オークの命を刈り取り続けた。
「ふぅ、これで終わり」
刀から血を振り払った後、鞘に収める。
オークの死体たちは灰のようなものになりかけ、少しずつ身体が欠けていっている。
「早くハルゾラ草を集めないと」
「……なんか騒がしいと思ったら、何してるんですか主様」
「あれ、サラマンダー? どうしたの?」
「どうしたもこうしたも無いですよ。何やらものすごい気配を感じて来てみれば……。まぁ案の定と言えば案の定ですけど」
「いやぁ、手数が必要で大変だったんだから」
「まぁこれだけ多くのオーク相手では……、!? 主様、何か刃物を!」
「えっ、なんで」
とりあえず懐の短剣を手渡す。
「レア素材ですよ! 赤眼のオーク、通称『逆鱗持豚』……! 中々の強さを誇り、その赤い目と喉笛は装飾品、薬の材料として扱われる超高級素材……! しかも一撃で仕留められてるから状態は最高級ときた……!」
「……もしかしてそれって、売ればかなりのお金になる?」
「はい! もちろんです!」
それはもう、薬草採取はしなくて済むってこと……!?
「下手したら一軒家も買えるかもしれません……!」
「じゃあ薬草採取はそこそこの量を取ったら終わっちゃお! 早く祭りに行きたいし!」
「はい、同感です!」
そうして私たちは近くのハルゾラ草を急いで集め、皆を探すことにしたのだった。
「そういえばサラマンダーって、アクセサリーとか好きなの?」
「えっ、なんですか急に」
ふと私は気になったことを聞いてみる。
射的の時もそうだったが、サラマンダーは貴金属類、アクセサリーを見る時の目がキラキラと輝いている。
「いつもキラキラした目でアクセサリーとか見てるからさ。もしかしたらそういうの好きなんじゃないかなって」
「……まぁ結構好きですよ。と言ってもこの趣味は九割がた魔法の師匠の影響ですけどね」
「へぇ、やっぱりサラマンダーにも師匠ってのがいるんだね」
「ほとんどの魔法を使える者は、師匠から魔力を見えるようにしてもらいますからね。だからこそ素で魔力が見える主様はおかしいんですよ」
「へー、そうなんだ……」
「そして私の師匠、金神フレイヤ様はとにかく貴金属類が大好きでして、色々な知識を叩き込まれたんですよ」
そう話すサラマンダーの口角は僅かに上がっていた。憎まれ口こそ叩いているが、本当はそのフレイヤって神様が好きなのだろう。
「あれ、ウンディーネじゃない?」
「ほんとですね」
「あら、2人とも~?」
そんな会話をしながら森をかき分けていると、ウンディーネと出会うことができた。
「どうしたの~? 何かあった~?」
「うん。主様がレア素材を取ってくれたから、もうお金を稼ぐ必要が無くなったんだよ」
「あら、そうなの~。じゃあ私も切り上げちゃおっかな~」
そう言って持っている袋を閉じたウンディーネ。
「他の2人は~?」
「今探してるとこ。とりあえずウンディーネとだけ今は合流出来た感じ」
「分かったわ~」
そうして私たちはウンディーネと合流を果た──
ブワァッ
「!!!」
とてつもなく強い殺気と魔力……!!
「なにこれ……?」
「嫌な予感がします。急ぎましょう」
「うん」
私たちは強い魔力のする方へと急ぎ足を運ぶのであった。
かなり走っていくうち、遠くにモースが見えてきた。
誰か戦闘している……! だいぶ苦戦を強いられている……。
「ぐっ……!」
「モース!!」
「……! 助かった! 援軍を頼む……!」
「……チッ」
電撃魔法『紫電悪魔球』
「死ねぇぇぇぇえ!!」
野球のようなフォームから、紫の雷を纏った魔力球が私に向かって投げられる。
速い……! だけど避けられないこともない……!
私は半身になり、その魔法を避ける。
「避けてんじゃねえよこのアマァ!!」
金髪でガラの悪い男。この魔力量、さっき感じた殺気と魔力はコイツのもので間違いないだろう。
「女の子に急にボール投げるとか、大した男じゃないのは分かったよ」
「ハァ!? てめぇもういっぺん言ってみろやグズが!! ぶっ殺すぞ!!」
「だから、小さい男だって言ってるんだよ」
「て、テメェ……! 絶対にぶち殺してやる……!!」
電撃魔法『紫電悪魔球』
「さっきよりちょっと速くなった程度じゃ……」
そう言って私は難なくそれを躱す。
だが、その魔力球は網目状に広がり、私に襲いかかる。
「!!」
「死ねぇ!!」
電撃魔法『紫電確殺網』ォ!!
「気をつけろルミツ!! その魔法は……!」
蝶華心得『疾風・鎌鼬』
私はその魔法を切り裂こうと、横薙ぎの一閃を放つ。だが、刃が電気の網に僅かに触れた瞬間、その点の魔力が膨れ上がるのが感じた。
「ッ!!」
私は急いで距離を取るためバックステップを踏む。
「遅せぇよダボが!!」
ドガァァァァァアン!!!
膨れ上がった魔力は刹那、大爆発を引き起こした。
「主様!!」
「ルミツ!!」
大爆発により、辺りに砂塵が舞う。
「へっ、雑魚が」
電撃魔法『紫電爆散罠』
「くっ、砂煙で何も見えん……!」
ルミツ、一体どこに……!?
「……へぇ」
「……危ないなぁ」
「面白えじゃねえか、この俺の爆発を耐えるたぁな」
かなり危なかった。咄嗟に打った光魔法の矢に掴まらなければ、私は今頃肉片だ。
「良いだろう、冥土の土産だぁ、教えてやる。俺は八鬼魔眼が1人。第2の魔眼のラグマラサ様だぁ!!」
「第2の魔眼……!?」
「この前は第1の魔眼のゼグラが世話になった見てえだがなァ、俺はアイツのような最弱の甘ちゃんじゃねえから覚悟しな!!」
八鬼魔眼……、なるほど、噂に聞いていた幹部というのはそういう名称なのか。
話を聞く限り、コイツはこの前戦ったゼグラよりも強そうだ。……どうするべきか。
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