リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜

ゆずき

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172話 同類

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「びっくりしたぁ……」

「みんなの熱量凄かったね。私もびっくりしちゃった」

 女性使用人達からの質問タイムをなんとか切り抜け、私とカレンは中庭に向かっていた。ジェフェリーさんにお屋敷に飾るお花を分けて貰うためだ。せっかく戻ってきたのだから、数日くらいゆっくりしていたらとモニカさん達にも気遣われたけれど、生憎とそうはいかない。私にとってはここからが本番なのだから。可能な限り普段通りに行動して、さり気なく……怪しまれずに情報を集めるのだ。
 花を貰ってくるよう頼まれたのはカレンだったけれど、それに付き添いがてらジェフェリーさんに挨拶をするのはどこもおかしくはない。私だってジェフェリーさんとは親しくしている。お屋敷に帰っているというのに、全く顔を見せない方が不自然だ。これくらいは大丈夫……だと思う。思うけれど……でも、やっぱりまずはミシェルさん達と合流して指示を仰いだ方がいいのかな。素人判断で勝手な事をしたらまずいかも。すでに中庭に向かって歩を進めていながらも、頭の中はごちゃごちゃと迷っていた。考えごとに没頭していた私を引き戻すように、カレンが話しかけてくる。

「そんなに素敵なんだね。その先生と護衛の人って」

「ルーイ先生とセドリックさん? そりゃもう」

「私はまだお会いしていないの。ちょっとだけ見てみたいかも」

 カレンもやはり女の子……格好良い男性と言われたら気になってしまうようだ。あれだけ皆が騒いでいるのだから興味を引かれてしまうのは仕方ないよね。
 王宮にはおふたりの他にも素敵な殿方がたくさんいること。特にレオン殿下周辺がこれでもかというほど美形揃いなんだと教えてあげた。

「王太子殿下もとても聡明で綺麗な方って聞いたことあるよ。確か、ルーイ先生は王家と親戚だって言ってたよね。おふたりは似てるの?」

「そうだなぁ……雰囲気は似てるかも。でも顔はそこまででもないかな。どっちも美形だけどね。王宮でキラキラした方達を見過ぎて、私の目はもうしょぼしょぼになっちゃった。まだ全然慣れないの」

「ふふっ、なにそれー。リズ面白い」

 とりとめのない会話をしながら、私とカレンはお屋敷の廊下を歩いていく。ミシェルさんはどこにいるのかな。もうすぐ中庭に着いてしまうのに。私はいまだ迷っていた。

「でも、王太子様の先生がどうして突然ジェムラート家のお屋敷に? 公女様のお使いで戻ってきたリズとは別の理由なんでしょ」

「ルーイ先生はね、魔法について調べているの」

「魔法?」

「うん。少し前の話なんだけど、ジェムラートのお屋敷の近くで、外国から来た魔法使いが目撃されたんだって。使用人の中にも見た人がいるかもしれないでしょ? だからみんなに話を聞くために私達に付いてきたそうよ」

 事前に打ち合わせをしていた先生の訪問理由。完全に嘘というわけでもないので、動揺することなくすらすらと言うことができた。

「……先生はその魔法使いを探しているの? なぜ? 見つけてどうするの? 少し前っていつ頃?」

 カレンは歩みを止めて私を凝視した。さっきまでにこやかに会話をしていた彼女と同じ人とは思えない。鋭い目付き……瞳孔が完全に開いている。

「なぜって……魔法使いは珍しいから。それも外国の魔法使いだなんて、見れる機会そう巡ってはこないだろうし……。よその国のことを学ぶためにも必要だと思われたんじゃないかな。えっと……たしか半年くらい前」
 
 怖い。カレンの刺すような視線に恐怖で身がすくんでしまう。私はその場から動けなくなってしまった。しかし、途切れ途切れになりながらも必死に会話を続ける。

「どっ、どうしたの? カレン。私、なにかあなたの気に触るようなことを言っちゃったのかな」

「ううん、なーんにも。驚かせてごめんね。私もその外国の魔法使いさんが気になって……前のめりになり過ぎちゃった」

「そう……なんだ。急に怖い顔で見つめてくるから、知らないうちに何かしたのかと思った」

『失敗、失敗』なんて言いながら、ちゃらけてみせるカレン。さっきまでのひりつくような緊張感は無くなっていた。
 カレンのように、別人ではないかと錯覚をしてしまうくらい突然雰囲気が変わる人を……私は何度か見たことがあった。それは、セドリックさんやミシェルさんを始めとした『とまり木』の方達だ。
 普段は温厚でとても優しい。しかし、彼らが時折見せる射抜くような鋭い視線……凄みを利かせた表情に、幾度となく心臓が縮み上がりそうになった。そして、ひと度剣を握れば、相手がどんな得体の知れない化け物であろうが勇猛果敢に挑んでいくのだ。そう……全ては彼らが主と仰ぐレオン殿下のために――――
 彼らは常日頃から訓練をして鍛えられた軍人。更に『とまり木』の面々は、その中でも選りすぐりの精鋭だと聞いた。その辺の一般人とは違うのだ。

「リズ、早くお花貰いに行こう」

「うん」

 カレンは私よりちょっぴり背が高くて……歳は4つ上の13歳。最初に会った時はおどおどして大人しそうな子って感じだった。でも徐々に慣れていき、向こうからも話をしてくれるようになった。柔らかく微笑みながら私の手を引いてくるカレンは、どう見ても普通の女の子。

 だからきっと……私の考え過ぎなんだ。

 さっきのカレンの様子が……醸し出す空気が……『とまり木』の方達と被って見えたなんて。
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