婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する

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03.精霊の加護

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03.精霊の加護




 この北の地にやってきてちまちまと依頼をこなし、EランクからDランクへと昇格できた頃、漸く僕はこの世界に馴染む事が出来た。
 運がいいのか、このノアトルの商業地である宿屋に空きが出来て…空きだらけで経営難に陥りそうだからツケでいいから宿に泊まってこの宿の良さをギルドで振りまいてくれと体力自慢の宿の女将さんに頼まれた。
 ちなみに街の外でマスクを外し花と風の精霊の加護を使って“空花浄化(エカアト)”を使い元に戻した。街で警戒されて追い出されるのは得策ではない。
 魔法は滞りなく使え、僕は墨色の髪色と焼けない肌の色を取り戻した。


 魔法は前世で習ったままで使えるし、知識も間違いがない。
 あちこちに精霊は存在しているし、やっぱりこの世界が滅亡の危機だなんて僕にはちっとも理解出来ない。

 今日もぼっちプレイヤーとして存分に腕をふるい、討伐回数100以上、採取回数300以上という依頼をこなしCランクにこぎつけた。
 Cランクになればそれなりの依頼が受けれるし今まで失敗のない経歴も合わせ二倍は多く収入が得られる。
 宿屋も僕が来てから着実に宿泊客が増え、それを越える冒険者が宿屋の下で経営されている食堂に集う。
 女将さんはほくほく顔で僕にいつもおかずを一品多く呉れる。
 男物は僕に合わないだろうと自身が昔着ていた簡易な服も呉れる。
 この世界、男性陣がとにかくガタイがいいから現代のひよっコである僕には服が大きいし、合うのが女性ものでそれを買うのが恥ずかしいあれやそれを汲んでくれた女将さんが服を用意してくれる。 
 随分と可愛がられている自覚はある。
 元の世界に帰ろうにも方法はないし、もともとはここは僕が居た世界でもある。
 この次元では僕は第三殿下の婚約者ではないし、好き勝手できるこの状況に魅力しか感じない。冒険者として腕を鳴らす日々が楽しいからかもしれない。

 街を歩けばあちらこちらにいる精霊が嬉しそうに僕についてくるし、街は長閑そのものだ。

 低級のダンジョンも精霊の力があれば隠し部屋を見つけることが出来てレアな薬草だったり装備だったりが手に入る。
 だから下級の僕の装備が潤っているのは仕方がない。あるものは有難く使う。貴族は優雅であれなんて現代を生きた僕には通じない。生き残ってなんぼだ。

 Bランクになるには討伐回数500以上、採取回数1000以上、そして評価がB以上が100と結構な難易度になる。
 採取に関しては当初、自分の力ギルドで冒険者としてどういったものになるのか判らず最初の数ヶ月は採取しかしていなかったので採取回数は2000を越えている。評価もSとAしかないので討伐回数さえこなせればBランクも目前だろう。
 そして、Bランクになれば信用問題も格段に上がるのでこのノアトルで家を借りる事や、買うことも容易になる。
 今世で大学生の一人暮らしで培った自炊という、魅力的なスキルも手に入れた僕に怖いものはない。
 ノアトルの調味料が豊富で日本のものと大差ないものが多いのも一役買っている。
 肉、魚、野菜、どれもこの地で販売されているし、一人で暮らしても問題なく自炊は出来るだろう。

 前世で知識がなかったからなのか使えなかったインベントリに荷物を仕舞う事や、自分のステータスを見ることを覚えた。
 インベントリは空間魔法で次元の精霊の加護を受ければ使えるし、ステータス画面を見るのは神聖の精霊の加護で見れた。
 この辺は現代のゲームの知識がそのまま使えた感じだ。
 勿論、盾だったり属性と属性の組み合わせだったりも現代知識で合わせることが出来た。現代ゲーム、すごいね。
 このノアトルには色んな所に精霊が居て、僕が通りがかる旅に加護を呉れる。
 街のいたるところに精霊が居るから、この街は精霊に愛されているんだろうな。うん、僕もこの町が大好きだから一緒だね。
 ダンジョンに一日篭り幾つかの依頼を同時にこなし、ギルドで報酬をもらい宿屋に帰る。
 宿屋の食堂に行けば見知った冒険者が声をかけてくれ、女将さんが一日を労わってくれる。前世であんなにムリせず、この地に来たらあの時の僕も幸せだっただろうな。
 ちょっとしんみりして、小さく一つ溜息を零した。



 同時刻、ノアトル検問所にて―…。

「精霊の加護がここまで続いている…」






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