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最終章 木こりと騎士は……
第558話 終止符
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「レクシャ!」
「あなた!」
「サザランス公爵様!」
何人たりとも近づくことを許さなかった透明な魔力の渦が消え、慟哭を上げていたノルベルトと苦しい顔で彼の肩に置いていたレクシャが同時に地面に伏し、見守っていた3人が駆け寄る。
「レクシャ様!!」
(ダメ、逝っちゃダメ!)
泡を吹いて倒れているノルベルトを他所に、泣くのを堪えていたティアーヌは、愛する夫の傍で膝をつくと、腰に巻いているマジックバックから特注のポーションを取り出し、蓋を開けようとした。
その時、ティアーヌの白魚のような美しい細腕を無骨な大きな手が掴んだ。
「あな、た?」
「ティ、アーヌ?」
「あなた!!」
「うおっ!」
夫が目を覚まして喜んだティアーヌは、ポーションを地面に置くと、腕を掴んで弱弱しく笑っているレクシャに人目をはばからず抱き着く。
「全く、あなたって人は!! 本当、どこまで心配させれば気が済むのよ!」
「ハハッ、すまないな。今後は、こんな無茶はしないと誓うよ」
「当たり前よ! 今度、そんな無茶をしたら、ロスペルに超級魔法を撃ってもらいますからね!」
「それは、さすがに怖いな」
「もう! あなたって人は本当に……グスッ」
常に嫋やかな笑みを浮かべながらも公爵夫人らしく社交界を取り仕切り、常に凛々しく他の帰属達に一切隙を見せないティアーヌ。
そんな彼女の泣き顔は、レクシャが最も見たくない表情だった。
抱きついたまま静かに涙を流しているティアーヌに、小さく目を伏せたレクシャは彼女の頭を優しく撫る。
すると、倒れたままのレクシャをティアーヌごと起き上がらせたディロイスが、そっとレクシャに回復用ポーションを差し出す。
「すまないな、ディロイス」
「全く、あなたという方は。この機会に、しっかりと夫人に怒られてください」
「あぁ、そうさせてもらうよ」
レクシャの1つ歳が下であるが、実はレクシャと同級生だったディロイスは、友人の無事な姿を見て思わず涙を浮かべる。
そんな彼にレクシャが微笑みかけた時、レクシャの肩に大きな手が乗る。
「陛下」
「レクシャ、よく頑張った。本当に、よく頑張った」
ディロイスの隣にゆっくりと腰を下ろした国王の紺碧の瞳には、ディロイスと同じく光るものがあり、忠臣であり友人であるレクシャの生還を心の底から喜んだ。
すると、レクシャが深々と頭を下げる。
「陛下。私はただ、自らの過ちを償っただけです」
(そう、私ただ、自らの過ちを償っただけ。だから労いの言葉なんて……)
「そう、だったな。私もそのためにここにいるのだから」
「陛下……」
ゆっくりと顔を上げたレクシャに、優しく微笑んだ国王がそっと立ち上がると、隣で倒れているノルベルトに厳しい目を向ける。
「レクシャ、この者の処分は……」
「えぇ、分かっています」
「ならばよし」
それは、建国祭1週間前のこと。
インホルトを通して国王と密会したレクシャは、最終打ち合わせとしてノルベルトの処罰について決めた。
まずは、ノルベルトの所業について速やかに調査し、終わり次第、国内外に対して公表する。
そして、国内外の情勢が落ち着き次第、ノルベルトとその家族は国家転覆を計った罪として公開処刑をすることを決めた。
ノルベルトに進んで加担した者も、改竄魔法が解けて次第処刑することも決めた。
だが、インベック伯爵家自体は『王国の影』という王国にとって大切な役目を担っているため取り潰しにはせず、インベック家の親戚筋で王国に最も忠誠を誓う者を次期インベック伯爵にすることにした。
もちろん、国民が望めば、国王とレクシャは揃って首を差し出すことも決めている。
小さく頷いたレクシャを見て、僅かに目を伏せた国王は、マジックバックから魔封じの手枷と王国の地下牢に転移できる魔道具を取り出す。
「陛下、それは私が……」
「よい、私がやる。これが、国王としてこの者を野放しにした私への罰だ」
「……かしこまりました」
ディロイスの申し出を断った国王は、泡を吹いて倒れているノルベルトの前にしゃがみ込むと、ノルベルトの手足に手枷を嵌める。
「ノルベルト・インベック。貴様の行い、我が愚行としてしかと心に刻み込もう」
(そして、二度と起きないよう後世に伝える。もう、貴様のような人間が現れないように)
改竄魔法で国家転覆だけでなく、世界征服を計った男を、国王は魔道具を使って地下牢に転移さた。
それを見届けた国王は、立ち上がってレクシャ達を見やる。
「帰ろう、私たちの居場所へ」
「「「仰せのままに」」」
(ようやく、ようやく全てを取り戻したのだな)
「長かったなぁ」
(本当に、長かった)
澄み渡る青空の下、ディロイスとティアーヌの手を借りて立ち上がったレクシャは、長きに渡る戦いに終止符が打てたことに安堵と同時に喜びが込み上げた。
「あなた!」
「サザランス公爵様!」
何人たりとも近づくことを許さなかった透明な魔力の渦が消え、慟哭を上げていたノルベルトと苦しい顔で彼の肩に置いていたレクシャが同時に地面に伏し、見守っていた3人が駆け寄る。
「レクシャ様!!」
(ダメ、逝っちゃダメ!)
泡を吹いて倒れているノルベルトを他所に、泣くのを堪えていたティアーヌは、愛する夫の傍で膝をつくと、腰に巻いているマジックバックから特注のポーションを取り出し、蓋を開けようとした。
その時、ティアーヌの白魚のような美しい細腕を無骨な大きな手が掴んだ。
「あな、た?」
「ティ、アーヌ?」
「あなた!!」
「うおっ!」
夫が目を覚まして喜んだティアーヌは、ポーションを地面に置くと、腕を掴んで弱弱しく笑っているレクシャに人目をはばからず抱き着く。
「全く、あなたって人は!! 本当、どこまで心配させれば気が済むのよ!」
「ハハッ、すまないな。今後は、こんな無茶はしないと誓うよ」
「当たり前よ! 今度、そんな無茶をしたら、ロスペルに超級魔法を撃ってもらいますからね!」
「それは、さすがに怖いな」
「もう! あなたって人は本当に……グスッ」
常に嫋やかな笑みを浮かべながらも公爵夫人らしく社交界を取り仕切り、常に凛々しく他の帰属達に一切隙を見せないティアーヌ。
そんな彼女の泣き顔は、レクシャが最も見たくない表情だった。
抱きついたまま静かに涙を流しているティアーヌに、小さく目を伏せたレクシャは彼女の頭を優しく撫る。
すると、倒れたままのレクシャをティアーヌごと起き上がらせたディロイスが、そっとレクシャに回復用ポーションを差し出す。
「すまないな、ディロイス」
「全く、あなたという方は。この機会に、しっかりと夫人に怒られてください」
「あぁ、そうさせてもらうよ」
レクシャの1つ歳が下であるが、実はレクシャと同級生だったディロイスは、友人の無事な姿を見て思わず涙を浮かべる。
そんな彼にレクシャが微笑みかけた時、レクシャの肩に大きな手が乗る。
「陛下」
「レクシャ、よく頑張った。本当に、よく頑張った」
ディロイスの隣にゆっくりと腰を下ろした国王の紺碧の瞳には、ディロイスと同じく光るものがあり、忠臣であり友人であるレクシャの生還を心の底から喜んだ。
すると、レクシャが深々と頭を下げる。
「陛下。私はただ、自らの過ちを償っただけです」
(そう、私ただ、自らの過ちを償っただけ。だから労いの言葉なんて……)
「そう、だったな。私もそのためにここにいるのだから」
「陛下……」
ゆっくりと顔を上げたレクシャに、優しく微笑んだ国王がそっと立ち上がると、隣で倒れているノルベルトに厳しい目を向ける。
「レクシャ、この者の処分は……」
「えぇ、分かっています」
「ならばよし」
それは、建国祭1週間前のこと。
インホルトを通して国王と密会したレクシャは、最終打ち合わせとしてノルベルトの処罰について決めた。
まずは、ノルベルトの所業について速やかに調査し、終わり次第、国内外に対して公表する。
そして、国内外の情勢が落ち着き次第、ノルベルトとその家族は国家転覆を計った罪として公開処刑をすることを決めた。
ノルベルトに進んで加担した者も、改竄魔法が解けて次第処刑することも決めた。
だが、インベック伯爵家自体は『王国の影』という王国にとって大切な役目を担っているため取り潰しにはせず、インベック家の親戚筋で王国に最も忠誠を誓う者を次期インベック伯爵にすることにした。
もちろん、国民が望めば、国王とレクシャは揃って首を差し出すことも決めている。
小さく頷いたレクシャを見て、僅かに目を伏せた国王は、マジックバックから魔封じの手枷と王国の地下牢に転移できる魔道具を取り出す。
「陛下、それは私が……」
「よい、私がやる。これが、国王としてこの者を野放しにした私への罰だ」
「……かしこまりました」
ディロイスの申し出を断った国王は、泡を吹いて倒れているノルベルトの前にしゃがみ込むと、ノルベルトの手足に手枷を嵌める。
「ノルベルト・インベック。貴様の行い、我が愚行としてしかと心に刻み込もう」
(そして、二度と起きないよう後世に伝える。もう、貴様のような人間が現れないように)
改竄魔法で国家転覆だけでなく、世界征服を計った男を、国王は魔道具を使って地下牢に転移さた。
それを見届けた国王は、立ち上がってレクシャ達を見やる。
「帰ろう、私たちの居場所へ」
「「「仰せのままに」」」
(ようやく、ようやく全てを取り戻したのだな)
「長かったなぁ」
(本当に、長かった)
澄み渡る青空の下、ディロイスとティアーヌの手を借りて立ち上がったレクシャは、長きに渡る戦いに終止符が打てたことに安堵と同時に喜びが込み上げた。
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