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第1章 木こりと騎士は再会する
第30話 突然の検問
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「それよりもほら、持ってきたリストの魔石を揃えたぞ。それと、この小さい袋はあんたの分な」
「ありがとうございます。こちらが代金です」
懐にリストを入れた木こりは、村人達から預かった硬貨と、財布の中にある硬貨をカウンターに乗せる。
そして、ズボンのポケットに小さな袋を入れると、大量の小袋が詰められた大袋を両手で持った。
「おう、毎度あり。あんた、体が細い割には力持ちなんだな」
「えぇ、これでも毎日、木を切ったり運んだりしていますから」
「そう言えば、そうだったな」
(外見からして、木こりの仕事をやっているとは思えないが)
細身の体格ながら力持ちの木こりを見て、苦笑いを浮かべた店主は、カウンターから出ると両手が塞がっている木こりのために店のドアを開けた。
「店主様、いつもありがとうございます」
「おう、また次もよろしく!」
無表情のまま小さく頭を下げた木こりが店を出ようとした時、不意に木こりの過去話を思い出した店主が声をかける。
「なぁ、あんたが自分のことを『俺』とか『僕』とか使わず『私』っていうのも、貴族の屋敷で働いていたことが関係あんのか?」
店主の問いかけに、木こりは足を止めて振り返る。
「まぁ、そうですね」
「……そうか。悪いな、引き止めちまって。気を付けて帰れよ」
「はい、失礼します」
店を出た木こりを見送った店主は、店のドアを閉じると小さく溜息をつく。
(あいつの先代もそうだったが、あいつも平民にしては礼儀正しすぎる。まるで、貴族様がやるような洗練されたものだ)
「確か、先代も『どこかの貴族の執事を長年務めていた』って言っていたな」
(もしかすると、あいつは先代がいた貴族の屋敷で働いていたのか? そして、その貴族が没落したから先代のところに身を寄せた……)
「いかんな、今のあいつは俺と同じただの平民じゃねぇか」
(それに若い頃、パーティーを組んでいた奴らと調子に乗って貴族の護衛依頼を受けた時、『貴族の現実』ってやつを目の当たりにしたじゃねぇか)
「余計な詮索は、身を滅ぼすだけだ」
苦い思い出が脳裏に蘇った店主は、頭を軽く横に振るとカウンターへと戻った。
「ただいま、ステイン。遅くなってごめん」
荷台に両手に抱えていた袋を乗せた木こりは、大人しく待っていてくれた愛馬を労うと御者台に乗って馬を走らせた。
「さて、次は……」
手綱を引きながら懐に入れていたリストを広げようとしたその時、突然ステインの足が止まった。
「どっ、どうしたの?」
(ステインが、道の往来が激しい場所で止まるなんて珍しいじゃない!)
主人に忠実な愛馬の行動に驚いた木こりがゆっくりと視線を前に戻すと、偉そうな態度で行く手を塞いでいる2人の騎士がいた。
「何ですか? 抜き打ちの検問ですか?」
「まぁ、そんなところだ」
下卑た笑みを浮かべる2人の騎士に、木こりが小さく溜息をつく。
(まぁ、これが初めてのパターンってわけでもないんだけど)
「でしたら、早くしていませんか? 暇なあなた方と違って忙しい身ですので」
検問する気の無さそうな騎士達に辛辣な言葉をかけた木こりは、淡い緑色の瞳で2人の騎士をそれぞれ一瞥する。
(2人とも得物は片手剣のようだけど……果たして、騎士としてどこまで実力があるのやら)
「貴様! 高貴な出である騎士に対してなんと無礼な……!」
「まぁまぁ、そう怒るなって。『騎士殺し』のこいつが、俺たち騎士に対して無礼なのはいつものことだろ?」
激昂した騎士を宥めた騎士の言葉に、木こりは心の中で感心する。
(へぇ、私のことを知っているのね。そう言えば最近、私のことを知っている騎士様が増えた気がするわ)
「もしかして、あの人達のお陰かもしれないわね」
メスト達のことを思い出し、小さく呟いた木こりは2人の騎士のやり取りに耳を傾けつつ、御者台に仕込んでいた隠し収納から魔石を取り出す。
そしてそのまま、荷台の手を伸ばして窪みになっている部分に魔石を嵌め込むと、馬車の周囲を薄い膜が覆った。
(よし、とりあえず結界魔法は展開出来たから、ステインと荷台を守れるね。あとは……)
ステインと荷台の安全を確保した木こりは、いつの間にか言い争いに発展していた2人の騎士に声をかける。
「あの、急いでくれません? 荷台に乗せているもので、今日中に持っていかないといけない物がありますから」
「あぁ、分かっている」
「それじゃあまず、そこから降りてきてもらおうか」
尊大な態度をとる2人の騎士に、再び小さく溜息ついた木こりは、レイピアを携えると大人しく御者台から降りて膜の外に出た。
すると、周囲にいた人々が騒ぎに気づき、あっという間に3人を囲んだ。
(さて、今回もあの人達は来てくれるかしら?)
お目当ての人達を見つけようと周囲を見回した時、目の前にいる騎士達が剣を抜いた。
「ありがとうございます。こちらが代金です」
懐にリストを入れた木こりは、村人達から預かった硬貨と、財布の中にある硬貨をカウンターに乗せる。
そして、ズボンのポケットに小さな袋を入れると、大量の小袋が詰められた大袋を両手で持った。
「おう、毎度あり。あんた、体が細い割には力持ちなんだな」
「えぇ、これでも毎日、木を切ったり運んだりしていますから」
「そう言えば、そうだったな」
(外見からして、木こりの仕事をやっているとは思えないが)
細身の体格ながら力持ちの木こりを見て、苦笑いを浮かべた店主は、カウンターから出ると両手が塞がっている木こりのために店のドアを開けた。
「店主様、いつもありがとうございます」
「おう、また次もよろしく!」
無表情のまま小さく頭を下げた木こりが店を出ようとした時、不意に木こりの過去話を思い出した店主が声をかける。
「なぁ、あんたが自分のことを『俺』とか『僕』とか使わず『私』っていうのも、貴族の屋敷で働いていたことが関係あんのか?」
店主の問いかけに、木こりは足を止めて振り返る。
「まぁ、そうですね」
「……そうか。悪いな、引き止めちまって。気を付けて帰れよ」
「はい、失礼します」
店を出た木こりを見送った店主は、店のドアを閉じると小さく溜息をつく。
(あいつの先代もそうだったが、あいつも平民にしては礼儀正しすぎる。まるで、貴族様がやるような洗練されたものだ)
「確か、先代も『どこかの貴族の執事を長年務めていた』って言っていたな」
(もしかすると、あいつは先代がいた貴族の屋敷で働いていたのか? そして、その貴族が没落したから先代のところに身を寄せた……)
「いかんな、今のあいつは俺と同じただの平民じゃねぇか」
(それに若い頃、パーティーを組んでいた奴らと調子に乗って貴族の護衛依頼を受けた時、『貴族の現実』ってやつを目の当たりにしたじゃねぇか)
「余計な詮索は、身を滅ぼすだけだ」
苦い思い出が脳裏に蘇った店主は、頭を軽く横に振るとカウンターへと戻った。
「ただいま、ステイン。遅くなってごめん」
荷台に両手に抱えていた袋を乗せた木こりは、大人しく待っていてくれた愛馬を労うと御者台に乗って馬を走らせた。
「さて、次は……」
手綱を引きながら懐に入れていたリストを広げようとしたその時、突然ステインの足が止まった。
「どっ、どうしたの?」
(ステインが、道の往来が激しい場所で止まるなんて珍しいじゃない!)
主人に忠実な愛馬の行動に驚いた木こりがゆっくりと視線を前に戻すと、偉そうな態度で行く手を塞いでいる2人の騎士がいた。
「何ですか? 抜き打ちの検問ですか?」
「まぁ、そんなところだ」
下卑た笑みを浮かべる2人の騎士に、木こりが小さく溜息をつく。
(まぁ、これが初めてのパターンってわけでもないんだけど)
「でしたら、早くしていませんか? 暇なあなた方と違って忙しい身ですので」
検問する気の無さそうな騎士達に辛辣な言葉をかけた木こりは、淡い緑色の瞳で2人の騎士をそれぞれ一瞥する。
(2人とも得物は片手剣のようだけど……果たして、騎士としてどこまで実力があるのやら)
「貴様! 高貴な出である騎士に対してなんと無礼な……!」
「まぁまぁ、そう怒るなって。『騎士殺し』のこいつが、俺たち騎士に対して無礼なのはいつものことだろ?」
激昂した騎士を宥めた騎士の言葉に、木こりは心の中で感心する。
(へぇ、私のことを知っているのね。そう言えば最近、私のことを知っている騎士様が増えた気がするわ)
「もしかして、あの人達のお陰かもしれないわね」
メスト達のことを思い出し、小さく呟いた木こりは2人の騎士のやり取りに耳を傾けつつ、御者台に仕込んでいた隠し収納から魔石を取り出す。
そしてそのまま、荷台の手を伸ばして窪みになっている部分に魔石を嵌め込むと、馬車の周囲を薄い膜が覆った。
(よし、とりあえず結界魔法は展開出来たから、ステインと荷台を守れるね。あとは……)
ステインと荷台の安全を確保した木こりは、いつの間にか言い争いに発展していた2人の騎士に声をかける。
「あの、急いでくれません? 荷台に乗せているもので、今日中に持っていかないといけない物がありますから」
「あぁ、分かっている」
「それじゃあまず、そこから降りてきてもらおうか」
尊大な態度をとる2人の騎士に、再び小さく溜息ついた木こりは、レイピアを携えると大人しく御者台から降りて膜の外に出た。
すると、周囲にいた人々が騒ぎに気づき、あっという間に3人を囲んだ。
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お目当ての人達を見つけようと周囲を見回した時、目の前にいる騎士達が剣を抜いた。
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