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第1章 木こりと騎士は再会する
第53話 申し出の理由
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木こりが去った後、メストは自分と同じ第二騎士団から近衛騎士団に配属された騎士達からからかわれ、王都勤めの騎士達から冷たい眼差しを向けられ、グレアからは難しい顔をされた。
その後、グレアの命令で討伐隊は魔物討伐の戦果である魔石を全て回収すると待機組と合流して駐屯地に戻った。
「ねぇ、メスト」
「なんだ?」
討伐から帰ってきて早々、執務室に戻ったメストは途中だった書類を片付けようとしたが、一緒に戻ってきたシトリンに阻まれた。
「どうして、彼に手合わせをお願いしたの? それも、大勢の騎士達が見ている前で。しかも、弟子入りを懇願するなんて……幼馴染の僕も、さすがに副団長になんて言い訳しようか考えたよ」
(いくら、騎士として誇りが誰よりも強いメストでも、貴族上がりの騎士が平民と手合わせなんて正気の沙汰じゃないって分かっているはず。あまつさえ、騎士が平民に弟子入りを懇願にするなんて)
いつもの柔和な笑みを潜め、真剣な表情で詰め寄るシトリンに、小さく息を吐いたメストは顔を上げた。
「お前、俺があの時に言ったことを忘れたのか?」
「忘れてないよ。『彼の戦いぶりに一目惚れしたから』でしょ?」
「そうだ」
(あんな鮮やかな戦いぶりを2回も目の当たりにすれば、騎士として一度は手合わせしたいと思うだろうが。それに……)
毅然とした態度で答えるメストを見て、目を見開いたシトリンは思わず溜息が漏らす。
(本当に彼の戦いぶりに一目惚れして手合わせと弟子入りを申し込んだんだね。でもさ)
「初めてあいつの身のこなしを目の当たりにした時、俺は一目惚れしたのと同時に『今のままでは、騎士として国民を守ることが出来ない』と思ったんだ」
「どういうこと?」
不思議そうに首を傾げるシトリンに、メストは机の上で両手を組んだ。
「今だから言えるが、酒場の前で酔っ払ったリースタが平民に得物を向けていたあの日、リースタの傍若無人な攻撃を易々と躱す彼の動きに俺は見惚れていた」
(ほら、やっぱり見惚れていたんじゃん)
あの時、メストは噛みつく勢いで否定していた。
だがそれは、シトリンに言われて恥ずかしくなったあまり思わず否定してしまったのだ。
素直になれない親友に笑みを零したシトリンに、少しだけ眉を顰めたメストは話を続ける。
「あの時、彼は容赦なく斧を振るうリースタの攻撃を単に躱すだけでなく、レイピアで攻撃を受け流したり、逆に受けた攻撃を返したりしていた」
「そんなことしていたの? 僕には単に躱していたとしか見えなかったけど」
平民とは思えない木こりの身のこなしと、集まった人々の避難誘導をしながらちゃんと彼の動きを見ていたメストに、シトリンは二重の意味で言葉を失う。
そんな彼を他所に、メストは小さく頷いた。
「あぁ、俺にはそれが夜会で優雅にダンスを踊っているように見えた」
「な、なるほど……だからメストは一目惚れしたってわけね」
「うるさい」
(まぁ、僕も少しだけしか見ていないけど、確かに彼の躱し方は、夜会で貴族たちが踊っているダンスのように上品で軽やかなものだったね)
仏頂面で不貞腐れる親友に、シトリンはいつもの柔和な笑みを浮かべる。
その後、グレアの命令で討伐隊は魔物討伐の戦果である魔石を全て回収すると待機組と合流して駐屯地に戻った。
「ねぇ、メスト」
「なんだ?」
討伐から帰ってきて早々、執務室に戻ったメストは途中だった書類を片付けようとしたが、一緒に戻ってきたシトリンに阻まれた。
「どうして、彼に手合わせをお願いしたの? それも、大勢の騎士達が見ている前で。しかも、弟子入りを懇願するなんて……幼馴染の僕も、さすがに副団長になんて言い訳しようか考えたよ」
(いくら、騎士として誇りが誰よりも強いメストでも、貴族上がりの騎士が平民と手合わせなんて正気の沙汰じゃないって分かっているはず。あまつさえ、騎士が平民に弟子入りを懇願にするなんて)
いつもの柔和な笑みを潜め、真剣な表情で詰め寄るシトリンに、小さく息を吐いたメストは顔を上げた。
「お前、俺があの時に言ったことを忘れたのか?」
「忘れてないよ。『彼の戦いぶりに一目惚れしたから』でしょ?」
「そうだ」
(あんな鮮やかな戦いぶりを2回も目の当たりにすれば、騎士として一度は手合わせしたいと思うだろうが。それに……)
毅然とした態度で答えるメストを見て、目を見開いたシトリンは思わず溜息が漏らす。
(本当に彼の戦いぶりに一目惚れして手合わせと弟子入りを申し込んだんだね。でもさ)
「初めてあいつの身のこなしを目の当たりにした時、俺は一目惚れしたのと同時に『今のままでは、騎士として国民を守ることが出来ない』と思ったんだ」
「どういうこと?」
不思議そうに首を傾げるシトリンに、メストは机の上で両手を組んだ。
「今だから言えるが、酒場の前で酔っ払ったリースタが平民に得物を向けていたあの日、リースタの傍若無人な攻撃を易々と躱す彼の動きに俺は見惚れていた」
(ほら、やっぱり見惚れていたんじゃん)
あの時、メストは噛みつく勢いで否定していた。
だがそれは、シトリンに言われて恥ずかしくなったあまり思わず否定してしまったのだ。
素直になれない親友に笑みを零したシトリンに、少しだけ眉を顰めたメストは話を続ける。
「あの時、彼は容赦なく斧を振るうリースタの攻撃を単に躱すだけでなく、レイピアで攻撃を受け流したり、逆に受けた攻撃を返したりしていた」
「そんなことしていたの? 僕には単に躱していたとしか見えなかったけど」
平民とは思えない木こりの身のこなしと、集まった人々の避難誘導をしながらちゃんと彼の動きを見ていたメストに、シトリンは二重の意味で言葉を失う。
そんな彼を他所に、メストは小さく頷いた。
「あぁ、俺にはそれが夜会で優雅にダンスを踊っているように見えた」
「な、なるほど……だからメストは一目惚れしたってわけね」
「うるさい」
(まぁ、僕も少しだけしか見ていないけど、確かに彼の躱し方は、夜会で貴族たちが踊っているダンスのように上品で軽やかなものだったね)
仏頂面で不貞腐れる親友に、シトリンはいつもの柔和な笑みを浮かべる。
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