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第1章 木こりと騎士は再会する
第54話 木こりのようになりたい
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ニコニコと笑みを浮かべるシトリンに、小さく溜息をついたメストは話を続けた。
「彼の動きに見惚れた俺は、彼の身のこなしが俺を含めた多くの騎士達が鍛錬で会得している動きとは明らかに違うと気づいた」
「確かに、僕らの身のこなしは、御魔法が付与された鎧を身につけて戦うことを前提としたものだからね」
今のペトロート王国の騎士達は、魔物討伐の際は強力な防御魔法が付与された鎧を身につけるため、魔物の攻撃を回避して翻弄する必要が無く、騎士学校では鎧を身につけていることを前提とした体術や戦い方を叩き込まれている。
そのため、木こりのように相手の動きに合わせて攻撃を躱したり、受け流したりして、翻弄させてから仕留めるという動きは、今の騎士には出来ないのだ。
「そう。だから俺は、彼と手合わせして……願わくば、弟子入りして彼なりの攻撃の躱し方や剣を使った攻撃の受け止めた方や受け流した方を身につけたいんだ」
「でも、僕たち騎士は鎧を身につけて戦うから、彼のような軽やか身のこなしは出来ないって……」
「分かっている。それでも……」
シトリンの言葉を遮ったメストは利き手を見つめた。
「俺は、彼のような信頼される騎士になりたい」
『別に、私はただ、村に被害を及ぶことを恐れて魔物達を倒しただけです』
(月明かりの下、無表情で素っ気ない返事をする彼は、ただ村のためにやったのだろう。そして、バカ騎士達を止めるのも周りに被害が及ぶことを恐れているからだろう。その勇気がどれだけの人を救い、どれだけの人に頼られているか彼は知らないだろうな)
王都で木こりを見かける度に、メストは平民達から尊敬の眼差しを向けられる木こりを羨ましいと思っていた。
彼の姿こそ、自分が騎士として目指していた姿だったのだから。
ひどく真剣な表情で自分のなりたい騎士を口にするメストを見て、一瞬目を見張ったシトリンは小さく笑みを浮かべた。
「騎士が平民に憧れるって、普通は逆じゃない?」
茶化すように問い質すシトリンに、メストは僅かに口角を緩めた。
「あぁ、そうかもしれない。だが、この国……いや、王都の騎士達は子どもたちが憧れるようなものではないからな」
「まぁ、そうだね」
(国民を守る騎士が下卑た笑みで平民に対して刃を向けたり、魔法を放ったりなんてしていたら、やつ子どもじゃなくても憧れないよね)
王都に来てから出会った騎士達の愚行を思い出し、メストとシトリンは揃って苦い顔をする。
そして、メストは利き手で拳を作った。
「だから俺は、彼の攻撃の躱し方や受け止め方や受け流し方を身につけ、その身につけた力で魔物達から国民を守りたいんだ」
「そっかぁ……」
(本当は、僕もメストと一緒に弟子入りしたいけど、今は……)
「それなら、明後日に備えて、今日と明日で体調を万全に整えないとね」
「あぁ、そうだな」
(王都に来てから見ていない本気になったメストがどうなるか最後まで見届けるとしますか)
珍しく満面の笑みを浮かべる親友に、シトリンは優しく微笑んだ。
「彼の動きに見惚れた俺は、彼の身のこなしが俺を含めた多くの騎士達が鍛錬で会得している動きとは明らかに違うと気づいた」
「確かに、僕らの身のこなしは、御魔法が付与された鎧を身につけて戦うことを前提としたものだからね」
今のペトロート王国の騎士達は、魔物討伐の際は強力な防御魔法が付与された鎧を身につけるため、魔物の攻撃を回避して翻弄する必要が無く、騎士学校では鎧を身につけていることを前提とした体術や戦い方を叩き込まれている。
そのため、木こりのように相手の動きに合わせて攻撃を躱したり、受け流したりして、翻弄させてから仕留めるという動きは、今の騎士には出来ないのだ。
「そう。だから俺は、彼と手合わせして……願わくば、弟子入りして彼なりの攻撃の躱し方や剣を使った攻撃の受け止めた方や受け流した方を身につけたいんだ」
「でも、僕たち騎士は鎧を身につけて戦うから、彼のような軽やか身のこなしは出来ないって……」
「分かっている。それでも……」
シトリンの言葉を遮ったメストは利き手を見つめた。
「俺は、彼のような信頼される騎士になりたい」
『別に、私はただ、村に被害を及ぶことを恐れて魔物達を倒しただけです』
(月明かりの下、無表情で素っ気ない返事をする彼は、ただ村のためにやったのだろう。そして、バカ騎士達を止めるのも周りに被害が及ぶことを恐れているからだろう。その勇気がどれだけの人を救い、どれだけの人に頼られているか彼は知らないだろうな)
王都で木こりを見かける度に、メストは平民達から尊敬の眼差しを向けられる木こりを羨ましいと思っていた。
彼の姿こそ、自分が騎士として目指していた姿だったのだから。
ひどく真剣な表情で自分のなりたい騎士を口にするメストを見て、一瞬目を見張ったシトリンは小さく笑みを浮かべた。
「騎士が平民に憧れるって、普通は逆じゃない?」
茶化すように問い質すシトリンに、メストは僅かに口角を緩めた。
「あぁ、そうかもしれない。だが、この国……いや、王都の騎士達は子どもたちが憧れるようなものではないからな」
「まぁ、そうだね」
(国民を守る騎士が下卑た笑みで平民に対して刃を向けたり、魔法を放ったりなんてしていたら、やつ子どもじゃなくても憧れないよね)
王都に来てから出会った騎士達の愚行を思い出し、メストとシトリンは揃って苦い顔をする。
そして、メストは利き手で拳を作った。
「だから俺は、彼の攻撃の躱し方や受け止め方や受け流し方を身につけ、その身につけた力で魔物達から国民を守りたいんだ」
「そっかぁ……」
(本当は、僕もメストと一緒に弟子入りしたいけど、今は……)
「それなら、明後日に備えて、今日と明日で体調を万全に整えないとね」
「あぁ、そうだな」
(王都に来てから見ていない本気になったメストがどうなるか最後まで見届けるとしますか)
珍しく満面の笑みを浮かべる親友に、シトリンは優しく微笑んだ。
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