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第2章 木こりと騎士は鍛錬する
第77話 平民の活躍
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「例の平民……って、まさか!?」
(メストとシトリンが会った、あの方のお子さんか!)
平民の正体に心当たりがあるフェビルは思わず言葉を失う。
そんな彼に対し、グレアは眼鏡を軽く上げると小さく頷く。
「はい、そのまさかです。実は彼、リアスタ村に住んでいたようで、魔物討伐をしていたのも……」
「魔物の現れた場所がリアスタ村から近かったから魔物討伐をしていたと?」
「その通りです」
「……それは、本当なのか?」
(あの方のお子さんの活躍はメスト達から聞いていたが……)
「えぇ、なぜか監視役を押し付けられたヴィルマン侯爵家からの使いの方が『レイピアを持った木こりの平民が単体で魔物討伐をしている』と討伐から帰ってきた時に聞きました」
「そう、だったんだな」
部下からの報告を聞いたフェビルは、大きく息を吐くと背もたれに体を預けて天井を見上げる。
(まさか、リアスタ村に住んでいらっしゃったとは……それに魔物討伐もされていたとは)
「さすがというか何というか……きっと村へ挨拶に行ったあいつらも、さぞかし驚いただろうな」
「団長?」
不思議そうに小首を傾げたグレアを見て、『何でもない』と軽く頭を横に振ったフェビルは話を元に戻す。
「それは、その平民はどのくらい魔物を倒したと聞いているか?」
「はい。概算ではありますが、群れの半数近くを倒していたかと」
「群れの半数!?」
(たった1人で!?)
驚きのあまり声を上げたフェビルに、僅かに眉を顰めたグレアが静かに頷いた。
「はい。我々騎士団より先に彼が群れの発見したため、結果として彼が群れの半数近くを討伐しました」
(国を守る騎士としては大変不甲斐ないことであるが、彼が動かなかったら村は確実に魔物に襲われていた。だから、彼を責めるつもりはない。むしろ、感謝している)
木こりの活躍に、グレアは騎士として複雑な気持ちを抱きながらフェビルに報告を続ける。
「そして、騎士団があの森に到着した時は、1つだった群れが3つに分かれました」
「そうか。つまり、お前らがあの森に来た時には、魔物の群れは撤退をしていたということだな?」
「そういうことです」
魔物達が撤退する際、1つの大群をなしていた魔物達は複数の群れに分かれる。
そして、おとりの群れが敵の注意を引き付けている隙に残りの群れは全力で撤退するのだ。
これは、本能のまま生きる魔物達が前進以外で身につけている唯一の戦術である。
(そんな状況になるまで群れを追い込むとは……第二騎士団でもそんな強者はいない)
「ちなみに、その平民は戦っている時に鎧か何かを着ていたのか? レイピアと魔力が扱えるからとはいえ、魔物相手に軽装では最悪の場合、命を落とすぞ」
(レイピアもそうだが、騎士達が普段から身につけている鎧も高価だから普通の平民なら手が出せない)
険しい顔のフェビルから問い質され、考え込むように目を閉じたグレアは、魔物討伐の時の光景が頭に思い出され、目を開けると小さく首を横に振った。
「いいえ。森で彼に会った時、彼は木こりの格好をしていました」
「はぁ!? 木こりの格好で戦っていたのか!? その平民、無事だったよな!? 無事だったから王都に戻って来たんだろうな!?」
(あの方のお子さんなら、大勢の魔物相手でも無傷で倒せると思う。それに、騎士道精神を人一倍重んじるこいつが、魔物討伐で怪我した平民を放り出して戻ってくるなんてありえない。だが……)
魔物に立ち向かった平民を心配するあまり、ソファーから立ち上がったフェビルが鬼気迫る表情でグレアを問い詰める。
それ見て少しだけ顔を引き攣らせたグレアは、一瞬口を噤ませると物凄く言いづらそうな顔で視線をフェビルから逸らすと口を開いた。
「もちろんです。彼は、防御魔法らしきものが付与された服を着ていたため、傷を負うこともなく襲ってくる魔物達を次々と屠っていました」
「そ、そうか……」
(さすが、代々『王国の盾』という2つ名を賜っている家に生まれた者だな。いや……)
「呪われた力のお陰か」
再び背もたれに体を預けたフェビルは、誰にも聞こえない小声で呟くと深く息を吐くと、目の前で再び小首を傾げているグレアに『何でもない』と小さく首を横に振った。
「ともかく、任務ご苦労だった。今日はこのまま帰ってゆっくりと休め」
「ありがとうございます。ですが、あなた様が溜めている書類を処理しないといけないですので、このまま仕事を続けさせていただきます」
「うぐっ……すまん」
そうして、フェビルに報告を終えたグレアは、定時になるまで上司が溜めていた書類を処理した。
(メストとシトリンが会った、あの方のお子さんか!)
平民の正体に心当たりがあるフェビルは思わず言葉を失う。
そんな彼に対し、グレアは眼鏡を軽く上げると小さく頷く。
「はい、そのまさかです。実は彼、リアスタ村に住んでいたようで、魔物討伐をしていたのも……」
「魔物の現れた場所がリアスタ村から近かったから魔物討伐をしていたと?」
「その通りです」
「……それは、本当なのか?」
(あの方のお子さんの活躍はメスト達から聞いていたが……)
「えぇ、なぜか監視役を押し付けられたヴィルマン侯爵家からの使いの方が『レイピアを持った木こりの平民が単体で魔物討伐をしている』と討伐から帰ってきた時に聞きました」
「そう、だったんだな」
部下からの報告を聞いたフェビルは、大きく息を吐くと背もたれに体を預けて天井を見上げる。
(まさか、リアスタ村に住んでいらっしゃったとは……それに魔物討伐もされていたとは)
「さすがというか何というか……きっと村へ挨拶に行ったあいつらも、さぞかし驚いただろうな」
「団長?」
不思議そうに小首を傾げたグレアを見て、『何でもない』と軽く頭を横に振ったフェビルは話を元に戻す。
「それは、その平民はどのくらい魔物を倒したと聞いているか?」
「はい。概算ではありますが、群れの半数近くを倒していたかと」
「群れの半数!?」
(たった1人で!?)
驚きのあまり声を上げたフェビルに、僅かに眉を顰めたグレアが静かに頷いた。
「はい。我々騎士団より先に彼が群れの発見したため、結果として彼が群れの半数近くを討伐しました」
(国を守る騎士としては大変不甲斐ないことであるが、彼が動かなかったら村は確実に魔物に襲われていた。だから、彼を責めるつもりはない。むしろ、感謝している)
木こりの活躍に、グレアは騎士として複雑な気持ちを抱きながらフェビルに報告を続ける。
「そして、騎士団があの森に到着した時は、1つだった群れが3つに分かれました」
「そうか。つまり、お前らがあの森に来た時には、魔物の群れは撤退をしていたということだな?」
「そういうことです」
魔物達が撤退する際、1つの大群をなしていた魔物達は複数の群れに分かれる。
そして、おとりの群れが敵の注意を引き付けている隙に残りの群れは全力で撤退するのだ。
これは、本能のまま生きる魔物達が前進以外で身につけている唯一の戦術である。
(そんな状況になるまで群れを追い込むとは……第二騎士団でもそんな強者はいない)
「ちなみに、その平民は戦っている時に鎧か何かを着ていたのか? レイピアと魔力が扱えるからとはいえ、魔物相手に軽装では最悪の場合、命を落とすぞ」
(レイピアもそうだが、騎士達が普段から身につけている鎧も高価だから普通の平民なら手が出せない)
険しい顔のフェビルから問い質され、考え込むように目を閉じたグレアは、魔物討伐の時の光景が頭に思い出され、目を開けると小さく首を横に振った。
「いいえ。森で彼に会った時、彼は木こりの格好をしていました」
「はぁ!? 木こりの格好で戦っていたのか!? その平民、無事だったよな!? 無事だったから王都に戻って来たんだろうな!?」
(あの方のお子さんなら、大勢の魔物相手でも無傷で倒せると思う。それに、騎士道精神を人一倍重んじるこいつが、魔物討伐で怪我した平民を放り出して戻ってくるなんてありえない。だが……)
魔物に立ち向かった平民を心配するあまり、ソファーから立ち上がったフェビルが鬼気迫る表情でグレアを問い詰める。
それ見て少しだけ顔を引き攣らせたグレアは、一瞬口を噤ませると物凄く言いづらそうな顔で視線をフェビルから逸らすと口を開いた。
「もちろんです。彼は、防御魔法らしきものが付与された服を着ていたため、傷を負うこともなく襲ってくる魔物達を次々と屠っていました」
「そ、そうか……」
(さすが、代々『王国の盾』という2つ名を賜っている家に生まれた者だな。いや……)
「呪われた力のお陰か」
再び背もたれに体を預けたフェビルは、誰にも聞こえない小声で呟くと深く息を吐くと、目の前で再び小首を傾げているグレアに『何でもない』と小さく首を横に振った。
「ともかく、任務ご苦労だった。今日はこのまま帰ってゆっくりと休め」
「ありがとうございます。ですが、あなた様が溜めている書類を処理しないといけないですので、このまま仕事を続けさせていただきます」
「うぐっ……すまん」
そうして、フェビルに報告を終えたグレアは、定時になるまで上司が溜めていた書類を処理した。
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