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第4章 記憶と思惑のフィアンツ帝国
特別編 大切な貴方を祝う(前編)
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それは、カトレアがカミルと出会う少し前のこと。
「カトレア」
「何?」
「……ちょっと、来てくれないか?」
「えっ?」
王城内でカトレアに声をかけたラピスは、辺りを見回すと人気が無さそうな場所に連れ出す。
「どうしたの? 仕事中にあんたがこんなことするなんて珍しいじゃない」
「そうだな。でも、どうしても急ぎで伝えたいことがあって」
「急ぎで伝えたいこと?」
(何かしら? 魔物討伐の遠征……は、ルベル団長から直々に言われることだから違うわよね)
見当がつかず眉を顰めるカトレアに、小さく息を吐いたラピスが真剣な表情で口を開いた。
「今度、創造神アリア様の生誕を祝う夜会があるのは知っているだろ?」
「えぇ、もちろん」
ペトロート王国では毎年、年が明ける少し前に訪れる創造神アリアの生誕祭を祝う夜会が行われる。
その夜会には、大勢の貴族が押し寄せて盛大に祝われる。
尚、その日は平民の外出が禁止されている。
理由は、『偉大なる創造神の生誕に、卑しい身分の人間が外を出歩くなんて恥知らずだ!』と現宰相閣下が言明したからだ。
(まぁ、宰相閣下が言わんとすることは理解出来るんだけど)
「それでその……その日は、夜会に行って欲しくないんだ」
「えっ?」
(その日だけは、夜会に行って欲しくないってどういう……)
「お前も知っているとは思うが、その日は俺の誕生日なんだ」
「えぇ、もちろん知っているわ」
「だからその……その日は、夜会に行かずに2人きりで誕生日を過ごしたいんだ」
「はいっ!?」
(あんた、いきなり何を言って……)
「ほっ、ほら! 俺にとっては、久しぶりに帰ってきた王都だ! それに、夜会だって行くのは強制じゃない! だっ、だから、その……」
(全く、耳を真っ赤にして何を言っているのかしら)
しどろもどろで言い訳しているラピスを見て、微笑ましいと思ったカトレアが返事をしようとした時、突然遠くから聞き覚えのある女性の声が2人の耳に届いた。
「あ~!! いましたわ!!」
「「っ!?」」
(ダリア!? どうしてここに!?)
驚いて振り返ると、そこには露出の多い真っ赤なドレスに身を包んだダリアが、取り巻きであろう貴族令息達と共に立っていた。
すると、ずかずかとこちらに来たダリアがカトレアの腕を強く掴んだ。
「ちょっと、ダリア! 痛いから離し……」
「カトレア! 仕事中に一体何をしているの!? あなた、この国の宮廷魔法師なんだから、さぼってないでさっさと仕事をしたらどうなの!?」
「えっ、あっ、ごっ、ごめんなさい! ラピスから話があるって……」
「言い訳しないで!!」
「っ!?」
(どうして、本当のことを言っただけなのに)
目が血走っているダリアに、カトレアが悲しい気持ちになっていると、カトレアの前にラピスが立つ。
「ラピ、ス……」
「ところで、ダリア嬢。お忙しい中、どうしてわざわざカトレアのことを探されていたのでしょうか?」
「あぁ、そうだったわ」
ラピスから優しく声をかけられ、満足げな笑みを浮かべたダリアが、後ろにいるカトレアに目を向けると、ラピスにうっとりとした表情で距離を縮める。
「今度、夜会があるのはご存じよね?」
「はい、創造神アリア様の生誕を祝う夜会がですよね」
「えぇ、その夜会でカトレアがどんなドレスを着るのか聞きたいと思いまして」
「えっ?」
(そんなことを聞きたいがために、仕事中のカトレアを探していたというのか?)
ラピスが怒りを抑えようと拳を握ると、後ろからカトレアが出てきた。
「カトレア……」
「ダリア様。夜会に着るドレスですが、一応瑠璃色を基調としたドレスにしようかと考えております」
(夜会で、婚約者の色を着るのは当然なのだから)
ラピスの背中を見て気持ちが落ち着いたカトレアが淑女の笑みで答えた途端、ダリアの顔が歪んだ。
「そう、それなら瑠璃色は止めてちょうだい。その日、瑠璃色に金色の刺繡が施されたドレスを着るつもりだから」
「えっ? ですが、婚約者であるメスト様のことを考えるなら、瑠璃色より紺色の方が……」
「何? 宰相家令嬢である私に意見する気?」
「「っ!?」」
(この親友は、いつからこんな恥知らずに……)
「まぁ、そういうことだから瑠璃色のドレスは止めて頂戴ね。何だったら、紺色でも良いわよ」
「ダリア嬢、あなたって方は……!」
「それじゃあ、夜会で会いましょう」
妖艶な笑みを浮かべたダリアは、カトレアに言いたいことだけ言うと、取り巻きに貴族令息達と共にその場を後にした。
「カトレア」
「何?」
「……ちょっと、来てくれないか?」
「えっ?」
王城内でカトレアに声をかけたラピスは、辺りを見回すと人気が無さそうな場所に連れ出す。
「どうしたの? 仕事中にあんたがこんなことするなんて珍しいじゃない」
「そうだな。でも、どうしても急ぎで伝えたいことがあって」
「急ぎで伝えたいこと?」
(何かしら? 魔物討伐の遠征……は、ルベル団長から直々に言われることだから違うわよね)
見当がつかず眉を顰めるカトレアに、小さく息を吐いたラピスが真剣な表情で口を開いた。
「今度、創造神アリア様の生誕を祝う夜会があるのは知っているだろ?」
「えぇ、もちろん」
ペトロート王国では毎年、年が明ける少し前に訪れる創造神アリアの生誕祭を祝う夜会が行われる。
その夜会には、大勢の貴族が押し寄せて盛大に祝われる。
尚、その日は平民の外出が禁止されている。
理由は、『偉大なる創造神の生誕に、卑しい身分の人間が外を出歩くなんて恥知らずだ!』と現宰相閣下が言明したからだ。
(まぁ、宰相閣下が言わんとすることは理解出来るんだけど)
「それでその……その日は、夜会に行って欲しくないんだ」
「えっ?」
(その日だけは、夜会に行って欲しくないってどういう……)
「お前も知っているとは思うが、その日は俺の誕生日なんだ」
「えぇ、もちろん知っているわ」
「だからその……その日は、夜会に行かずに2人きりで誕生日を過ごしたいんだ」
「はいっ!?」
(あんた、いきなり何を言って……)
「ほっ、ほら! 俺にとっては、久しぶりに帰ってきた王都だ! それに、夜会だって行くのは強制じゃない! だっ、だから、その……」
(全く、耳を真っ赤にして何を言っているのかしら)
しどろもどろで言い訳しているラピスを見て、微笑ましいと思ったカトレアが返事をしようとした時、突然遠くから聞き覚えのある女性の声が2人の耳に届いた。
「あ~!! いましたわ!!」
「「っ!?」」
(ダリア!? どうしてここに!?)
驚いて振り返ると、そこには露出の多い真っ赤なドレスに身を包んだダリアが、取り巻きであろう貴族令息達と共に立っていた。
すると、ずかずかとこちらに来たダリアがカトレアの腕を強く掴んだ。
「ちょっと、ダリア! 痛いから離し……」
「カトレア! 仕事中に一体何をしているの!? あなた、この国の宮廷魔法師なんだから、さぼってないでさっさと仕事をしたらどうなの!?」
「えっ、あっ、ごっ、ごめんなさい! ラピスから話があるって……」
「言い訳しないで!!」
「っ!?」
(どうして、本当のことを言っただけなのに)
目が血走っているダリアに、カトレアが悲しい気持ちになっていると、カトレアの前にラピスが立つ。
「ラピ、ス……」
「ところで、ダリア嬢。お忙しい中、どうしてわざわざカトレアのことを探されていたのでしょうか?」
「あぁ、そうだったわ」
ラピスから優しく声をかけられ、満足げな笑みを浮かべたダリアが、後ろにいるカトレアに目を向けると、ラピスにうっとりとした表情で距離を縮める。
「今度、夜会があるのはご存じよね?」
「はい、創造神アリア様の生誕を祝う夜会がですよね」
「えぇ、その夜会でカトレアがどんなドレスを着るのか聞きたいと思いまして」
「えっ?」
(そんなことを聞きたいがために、仕事中のカトレアを探していたというのか?)
ラピスが怒りを抑えようと拳を握ると、後ろからカトレアが出てきた。
「カトレア……」
「ダリア様。夜会に着るドレスですが、一応瑠璃色を基調としたドレスにしようかと考えております」
(夜会で、婚約者の色を着るのは当然なのだから)
ラピスの背中を見て気持ちが落ち着いたカトレアが淑女の笑みで答えた途端、ダリアの顔が歪んだ。
「そう、それなら瑠璃色は止めてちょうだい。その日、瑠璃色に金色の刺繡が施されたドレスを着るつもりだから」
「えっ? ですが、婚約者であるメスト様のことを考えるなら、瑠璃色より紺色の方が……」
「何? 宰相家令嬢である私に意見する気?」
「「っ!?」」
(この親友は、いつからこんな恥知らずに……)
「まぁ、そういうことだから瑠璃色のドレスは止めて頂戴ね。何だったら、紺色でも良いわよ」
「ダリア嬢、あなたって方は……!」
「それじゃあ、夜会で会いましょう」
妖艶な笑みを浮かべたダリアは、カトレアに言いたいことだけ言うと、取り巻きに貴族令息達と共にその場を後にした。
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