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第5章 止まっていた運命が動き出す
特別編 お礼のチョコレートマカロン(前編)
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※メスト視点です。
いつものように村人達から頼まれた買い物を済ませた帰り、ゆっくりとした足取りで王都の街を歩いていると、隣を歩いていたカミルがお菓子屋の前で立ち止まった。
「カミル? どうしたんだ?」
仕事中とはいえ、真面目なカミルがどこかに立ち寄るなんて珍しい。
そんなことを思いながら、カミルの隣に立とうとした時、こちらを見たカミルが店の方を見ると小さく首を横に振った。
「いえ、何でもありません」
「そうか? それにしてはやけに……」
「何でもありません。それよりも、今日は運ぶ物が多いのでさっさと行きましょう」
「あっ、あぁ……そうだな」
いつもの無表情で王都の街を歩くカミル。
だが俺は、店の前に置かれていたマカロンに目を輝かせていることを見逃さなかった。
「へぇ、朝からそわそわしているから何かと思えば……まさか、メストがマカロン作るなんてね~」
「っ!? シトリン!」
カミルの家に泊る日。
俺は、仕事を半日で終わらせると、貴族街で売っているマカロンの材料を買い、そのまま騎士団本部内にある厨房を借りると、早速マカロン作りに取り掛かろうとした。
すると突然、楽しそうな笑みを浮かべたシトリンが厨房に入ってきた。
「お前! 仕事はどうした仕事は!」
「そんなの、メストと同じで半日で終わらせたよ。もちろん、団長からはちゃんと許可を取っているから」
「くっ!」
あの団長。どうせ『面白そうだから休んでいいぞ』とか言って許可したんだろ!
ニコニコ笑っているシトリンを睨みつけた俺は、大きく溜息をつくとマカロン作りにシトリンを無視してマカロン作りに取り掛かろうとした。
その時、シトリンが俺の隣に立つと材料である卵を手に取った。
「手伝うよ」
「はぁっ!?」
突然の申し出に困惑する俺に、シトリンが再び楽しそうな笑みを浮かべると慣れた手つきで卵を卵黄と卵白に分ける。
「だってメスト、お菓子作りほぼ初めてでしょ?」
「うぐっ!」
「それに、趣味でお菓子を作っている僕と一緒に作った方が失敗しないことくらい分かるよね?」
「……まぁ、そうだな」
確かにそうだが……だが、これは俺がしたくてやっていることなんだ!
頭の中に蘇ったカミルのマカロンを見る横顔。
その横顔が忘れられない俺は、大きく息を吐くと両頬を叩いて気合を入れる。
その様子を見ていたシトリンが、楽しそうに笑うと分け終えた卵白にグラニュー糖を入れ、そのまま魔道コンロの前に立つと湯煎し始めた。
「それにしても、メストがお菓子作りなんてねぇ~。一体、何の風の吹き回し?」
「うるさい。ただ、マカロンを買おうとしたらお菓子屋が休みだったから、初心者でも簡単に作れるマカロンを作ろうと思っただけだ」
「ふ~ん、ちなみに、作ったマカロンってダリア嬢にあげるの?」
「まさか、あいつは一流シェフ以外の物は口にしない」
「そうだよねぇ」
宰相家令嬢としてのプライドなのか。
例え、自分と同じ公爵令嬢がお茶会で手作りしたクッキーを出されたとしても、『あなた程度が作ったものを宰相家令嬢である私が食べるわけがないでしょ!』と断固拒否するのだ。
幼い時はあんなワガママでは無かったような気がするのだが……
すると、グラニュー糖を湯煎し終えたシトリンが、溶かしたばかりのグラニュー糖を俺の前に持ってきた。
「じゃあ、自分用?」
「お前、俺が甘い物が苦手なのを知っているだろうが?」
「だよねぇ~、だとしたら誰にあげるの?」
「それは……」
『カミル』って言ったら、こいつはどう思うのだろう?
チョコを刻んでいた俺の手が止まると、盛大に溜息をついたシトリンが俺のところに来るとそっと肩を叩く。
「ごちそうさま」
「何がだ?」
「ん~、何となくかな?」
「何だよそれ」
眉を顰めた俺に、優しく微笑んだシトリンは作業に戻った。
そうして、俺たちは厨房班が厨房に戻る前にチョコレートのマカロンを完成させた。
いつものように村人達から頼まれた買い物を済ませた帰り、ゆっくりとした足取りで王都の街を歩いていると、隣を歩いていたカミルがお菓子屋の前で立ち止まった。
「カミル? どうしたんだ?」
仕事中とはいえ、真面目なカミルがどこかに立ち寄るなんて珍しい。
そんなことを思いながら、カミルの隣に立とうとした時、こちらを見たカミルが店の方を見ると小さく首を横に振った。
「いえ、何でもありません」
「そうか? それにしてはやけに……」
「何でもありません。それよりも、今日は運ぶ物が多いのでさっさと行きましょう」
「あっ、あぁ……そうだな」
いつもの無表情で王都の街を歩くカミル。
だが俺は、店の前に置かれていたマカロンに目を輝かせていることを見逃さなかった。
「へぇ、朝からそわそわしているから何かと思えば……まさか、メストがマカロン作るなんてね~」
「っ!? シトリン!」
カミルの家に泊る日。
俺は、仕事を半日で終わらせると、貴族街で売っているマカロンの材料を買い、そのまま騎士団本部内にある厨房を借りると、早速マカロン作りに取り掛かろうとした。
すると突然、楽しそうな笑みを浮かべたシトリンが厨房に入ってきた。
「お前! 仕事はどうした仕事は!」
「そんなの、メストと同じで半日で終わらせたよ。もちろん、団長からはちゃんと許可を取っているから」
「くっ!」
あの団長。どうせ『面白そうだから休んでいいぞ』とか言って許可したんだろ!
ニコニコ笑っているシトリンを睨みつけた俺は、大きく溜息をつくとマカロン作りにシトリンを無視してマカロン作りに取り掛かろうとした。
その時、シトリンが俺の隣に立つと材料である卵を手に取った。
「手伝うよ」
「はぁっ!?」
突然の申し出に困惑する俺に、シトリンが再び楽しそうな笑みを浮かべると慣れた手つきで卵を卵黄と卵白に分ける。
「だってメスト、お菓子作りほぼ初めてでしょ?」
「うぐっ!」
「それに、趣味でお菓子を作っている僕と一緒に作った方が失敗しないことくらい分かるよね?」
「……まぁ、そうだな」
確かにそうだが……だが、これは俺がしたくてやっていることなんだ!
頭の中に蘇ったカミルのマカロンを見る横顔。
その横顔が忘れられない俺は、大きく息を吐くと両頬を叩いて気合を入れる。
その様子を見ていたシトリンが、楽しそうに笑うと分け終えた卵白にグラニュー糖を入れ、そのまま魔道コンロの前に立つと湯煎し始めた。
「それにしても、メストがお菓子作りなんてねぇ~。一体、何の風の吹き回し?」
「うるさい。ただ、マカロンを買おうとしたらお菓子屋が休みだったから、初心者でも簡単に作れるマカロンを作ろうと思っただけだ」
「ふ~ん、ちなみに、作ったマカロンってダリア嬢にあげるの?」
「まさか、あいつは一流シェフ以外の物は口にしない」
「そうだよねぇ」
宰相家令嬢としてのプライドなのか。
例え、自分と同じ公爵令嬢がお茶会で手作りしたクッキーを出されたとしても、『あなた程度が作ったものを宰相家令嬢である私が食べるわけがないでしょ!』と断固拒否するのだ。
幼い時はあんなワガママでは無かったような気がするのだが……
すると、グラニュー糖を湯煎し終えたシトリンが、溶かしたばかりのグラニュー糖を俺の前に持ってきた。
「じゃあ、自分用?」
「お前、俺が甘い物が苦手なのを知っているだろうが?」
「だよねぇ~、だとしたら誰にあげるの?」
「それは……」
『カミル』って言ったら、こいつはどう思うのだろう?
チョコを刻んでいた俺の手が止まると、盛大に溜息をついたシトリンが俺のところに来るとそっと肩を叩く。
「ごちそうさま」
「何がだ?」
「ん~、何となくかな?」
「何だよそれ」
眉を顰めた俺に、優しく微笑んだシトリンは作業に戻った。
そうして、俺たちは厨房班が厨房に戻る前にチョコレートのマカロンを完成させた。
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