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第5章 止まっていた運命が動き出す
第304話 ワケアリ平民の味方
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「おい、いくら何でもそんな言い方は無いだろうが」
(それも、自分さえも傷つくような言い方をして)
婚約者を大切にしているところを何度も見ているカミルは、メストがダリアに向けるなんて無理だと思った。
だからこそ、メストに対して辛辣な言葉で質問した。
それが、自分さえも傷つく質問だと分かっていても。
そんなカミルの考えを汲み取ったラピスは宥めるように声をかけると、無表情のカミルがラピスに『何も喋るな』と言わんばかりに睨みつける。
すると、メストがラピスの肩に手を置いた。
「よしてくれ。カミルの言っていることは間違っていない」
「ですが……」
心配そうな顔をするラピスに、力なく笑ったメストがカミルに視線を移す。
「カミル、少しだけ時間をくれ」
「えっ?」
(一体何をするつもりなの?)
いぶしがる目で見つめるカミルを一瞥したメストは、ダリアに視線を戻すと大きく手を広げた。
「おお! これはこれは、ペトロート王国の宰相家令嬢ではありませんか!」
「「なっ!?」」
(あの人、一体何を考えているの!?)
自ら正体を明かすようなメストの大仰な挨拶に、カミルが啞然としていると、隣にいたラピスが慌ててメストの肩に手をかけて小声で諫める。
「隊長、そんな大声で挨拶をしたらすぐにバレ……」
「はぁ!?」
「「っ!?」」
ダリアが不快感を示すように声を上げると、カミルとラピスが揃って肩を震わせると彼女の方を見る。
そんな2人をよそに、頭を下げているメストはダリアの声を聞いて兜の下で小さく笑みを零す。
「愚民如きが私のことを呼ぶんじゃないわよ!!」
「えっ?」
(こいつ、隊長のことが分かっていないのか?)
ダリアとメストを交互に見たラピスとカミルは困惑のあまり言葉を失う。
すると、ダリアが宝石の散りばめられた豪勢な扇子をメストに向けた。
「どうせ、あんたはそこにいる冒険者の仲間なんでしょ!!」
「はぁ!? この方は、別に冒険者じゃ……」
「はい、いかにも私は隣にいる者と同じ冒険者です」
「えっ!?」
(荒くれ者が多い冒険者がそんな礼儀正しいわけがないだろうが!)
自分のことを棚に上げ、荒くれとは正反対の態度を取るメストに、ラピスが内心ツッコむと、ダリアが下卑た笑みを浮かべる。
「それじゃあ、あなたも愚民ってことで間違いないわね?」
そう満足げに行ったダリアは、広げた扇子の赤い魔法陣を展開した。
「ラピスさん」
「あっ」
後ろから小声で囁かれたラピスは、慌てて黄色の魔石が嵌め込まれた剣だけを鞘に戻すと、メストの前に立って黄色の魔法陣を展開する。
「《ルビーボール》!」
「《ライトニング》!」
ダリアの火属性の中級魔法がラピスの雷属性の初級魔法に打ち消される。
「チッ! どうして私の魔法が!!」
「なぁ、いい加減学んでくれませんかね?」
「あんた、絶対許さない!!」
顔を歪めて地団駄を踏むダリアが立て続けに魔法を放つが、兜の下で楽しそうに笑みを浮かべるラピスの魔法で相打ちさせる。
そんな様子を見たメストは思わず目を見開く。
「火が雷と相打ち? 一体どうして……」
「それよりも」
ラピスの隣に立ったカミルが、背後にいるメストに問い質す。
「時間は十分に与えました。どうされますか?」
(あなたは一体、誰の味方をするの?)
「それはもちろんこっちだ!」
そう言って、鞘から片手剣を抜いたメストは、カミルの隣に立つとダリアに切っ先を向ける。
「っ!……よろしいのですか?」
(あなたは、今から婚約者様に剣を向けるのよ?)
驚いた顔をするカミルとラピスに、騎士として確固たる意志を持つメストは静かに頷く。
「あぁ、最初にも言ったが、俺はカミルを助けに来た」
「ですが、相手は……」
「もちろん分かっている。だが俺は、ダリアのような身勝手に誰かを傷つけるバカどもから、対抗手段を持っていない人達を守っているカミルを助けたいんだ」
「「っ!!」」
メストの覚悟にカミルとラピスが言葉を失っていると、ダリアに魅了されている黄金の騎士達が一斉に剣を構え、宮廷魔法師達が一斉に魔法を唱える準備をした。
「チッ! さっさと眠っておけばいいものを!」
「それに関しては同感だ」
険しい顔をしたメストとラピスが得物を構えると、カミルがレイピアを地面に突き刺した。
「ラピスさん、メストさん。私が宮廷魔法師達の魔法陣を消します。その隙に2人で騎士や宮廷魔法師達を無力化してください」
「分かった。無力化すればいいんだな?」
「はい、そうです」
「だが、回復要員であるメイド達はどうする?」
「そちらは私が無力化します」
「良いのか?」
心配そうな目を向けるラピスに、カミルが小さく笑みを零す。
「大丈夫です。お2人がキチンと役目を果たしていただければ」
カミルの棘のある返事を聞いたメストとラピスは、顔を見合わせて笑みを浮かべると、鬼気迫る表情で眼前の敵を見据えた。
「ラピス、俺が騎士達の相手をするから、お前は宮廷魔法師達の無力化を優先しろ。出来るな?」
「もちろんです。隊長」
(伊達に隊長の部下をしていませんからね!)
「あんた達! この国で一番尊い宰相家令嬢に楯突く愚かな下民を消し炭にしなさい!!」
頼もしい隊長をラピスが横目で見た時、ダリアが声高らかに命じ、準備が整った傀儡達が一斉に動き出す。
(それも、自分さえも傷つくような言い方をして)
婚約者を大切にしているところを何度も見ているカミルは、メストがダリアに向けるなんて無理だと思った。
だからこそ、メストに対して辛辣な言葉で質問した。
それが、自分さえも傷つく質問だと分かっていても。
そんなカミルの考えを汲み取ったラピスは宥めるように声をかけると、無表情のカミルがラピスに『何も喋るな』と言わんばかりに睨みつける。
すると、メストがラピスの肩に手を置いた。
「よしてくれ。カミルの言っていることは間違っていない」
「ですが……」
心配そうな顔をするラピスに、力なく笑ったメストがカミルに視線を移す。
「カミル、少しだけ時間をくれ」
「えっ?」
(一体何をするつもりなの?)
いぶしがる目で見つめるカミルを一瞥したメストは、ダリアに視線を戻すと大きく手を広げた。
「おお! これはこれは、ペトロート王国の宰相家令嬢ではありませんか!」
「「なっ!?」」
(あの人、一体何を考えているの!?)
自ら正体を明かすようなメストの大仰な挨拶に、カミルが啞然としていると、隣にいたラピスが慌ててメストの肩に手をかけて小声で諫める。
「隊長、そんな大声で挨拶をしたらすぐにバレ……」
「はぁ!?」
「「っ!?」」
ダリアが不快感を示すように声を上げると、カミルとラピスが揃って肩を震わせると彼女の方を見る。
そんな2人をよそに、頭を下げているメストはダリアの声を聞いて兜の下で小さく笑みを零す。
「愚民如きが私のことを呼ぶんじゃないわよ!!」
「えっ?」
(こいつ、隊長のことが分かっていないのか?)
ダリアとメストを交互に見たラピスとカミルは困惑のあまり言葉を失う。
すると、ダリアが宝石の散りばめられた豪勢な扇子をメストに向けた。
「どうせ、あんたはそこにいる冒険者の仲間なんでしょ!!」
「はぁ!? この方は、別に冒険者じゃ……」
「はい、いかにも私は隣にいる者と同じ冒険者です」
「えっ!?」
(荒くれ者が多い冒険者がそんな礼儀正しいわけがないだろうが!)
自分のことを棚に上げ、荒くれとは正反対の態度を取るメストに、ラピスが内心ツッコむと、ダリアが下卑た笑みを浮かべる。
「それじゃあ、あなたも愚民ってことで間違いないわね?」
そう満足げに行ったダリアは、広げた扇子の赤い魔法陣を展開した。
「ラピスさん」
「あっ」
後ろから小声で囁かれたラピスは、慌てて黄色の魔石が嵌め込まれた剣だけを鞘に戻すと、メストの前に立って黄色の魔法陣を展開する。
「《ルビーボール》!」
「《ライトニング》!」
ダリアの火属性の中級魔法がラピスの雷属性の初級魔法に打ち消される。
「チッ! どうして私の魔法が!!」
「なぁ、いい加減学んでくれませんかね?」
「あんた、絶対許さない!!」
顔を歪めて地団駄を踏むダリアが立て続けに魔法を放つが、兜の下で楽しそうに笑みを浮かべるラピスの魔法で相打ちさせる。
そんな様子を見たメストは思わず目を見開く。
「火が雷と相打ち? 一体どうして……」
「それよりも」
ラピスの隣に立ったカミルが、背後にいるメストに問い質す。
「時間は十分に与えました。どうされますか?」
(あなたは一体、誰の味方をするの?)
「それはもちろんこっちだ!」
そう言って、鞘から片手剣を抜いたメストは、カミルの隣に立つとダリアに切っ先を向ける。
「っ!……よろしいのですか?」
(あなたは、今から婚約者様に剣を向けるのよ?)
驚いた顔をするカミルとラピスに、騎士として確固たる意志を持つメストは静かに頷く。
「あぁ、最初にも言ったが、俺はカミルを助けに来た」
「ですが、相手は……」
「もちろん分かっている。だが俺は、ダリアのような身勝手に誰かを傷つけるバカどもから、対抗手段を持っていない人達を守っているカミルを助けたいんだ」
「「っ!!」」
メストの覚悟にカミルとラピスが言葉を失っていると、ダリアに魅了されている黄金の騎士達が一斉に剣を構え、宮廷魔法師達が一斉に魔法を唱える準備をした。
「チッ! さっさと眠っておけばいいものを!」
「それに関しては同感だ」
険しい顔をしたメストとラピスが得物を構えると、カミルがレイピアを地面に突き刺した。
「ラピスさん、メストさん。私が宮廷魔法師達の魔法陣を消します。その隙に2人で騎士や宮廷魔法師達を無力化してください」
「分かった。無力化すればいいんだな?」
「はい、そうです」
「だが、回復要員であるメイド達はどうする?」
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心配そうな目を向けるラピスに、カミルが小さく笑みを零す。
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カミルの棘のある返事を聞いたメストとラピスは、顔を見合わせて笑みを浮かべると、鬼気迫る表情で眼前の敵を見据えた。
「ラピス、俺が騎士達の相手をするから、お前は宮廷魔法師達の無力化を優先しろ。出来るな?」
「もちろんです。隊長」
(伊達に隊長の部下をしていませんからね!)
「あんた達! この国で一番尊い宰相家令嬢に楯突く愚かな下民を消し炭にしなさい!!」
頼もしい隊長をラピスが横目で見た時、ダリアが声高らかに命じ、準備が整った傀儡達が一斉に動き出す。
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