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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第343話 格好と態度
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「それじゃあ、あんたが木こりの恰好をしているのは正体を隠すため?」
「そうよ」
『エドガス、これってあなたと同じ木こりの服じゃない?』
『そうです。大変申し訳ないと思っております。ですが、私の同じ格好をしていただければ、周囲には私の弟子に映ると思いますし、そちらの方がよりお嬢様の正体が見破られることはないかと』
『……分かったわ』
(あの時は、貴族である自分が捨てられず、中々袖を通すのが難しかったけど……今となってはとても馴染むのよね)
すっかり着慣れた木こりの恰好に、思わず笑みを零したフリージアとは対照的に、カトレアは悲しい顔で親友を見ていた。
(そこまでして、あんたは自分の正体を隠していたのね)
「いや、そこまでしないと正体がバレてしまう可能性があったのよね」
ノルベルトは、最大の障害であり憎き敵であるサザランス公爵家を滅ぼしたと思っている。
けれど、その敵がもし生きていたとあれば? それがノルベルトの耳に届いてしまっては?
(フリージアは自分や家族のためにも正体を隠さないといけないのよね)
この家に来た時のことを思い出し、悲しそうな顔をするフリージアを前に、カトレアはただ口を噤むしかなかった。
そんな彼女の横顔を見ていたラピスは、至極真面目な顔で木こりの恰好をしたフリージアを問い質す。
「ちなみに、フリージア嬢に木こりの恰好を差せたのってもしかして……?」
「エドガスよ。男性の……それも木こりの恰好をしていたら、正体がバレる確率が格段に下がるだろうからって」
「そうか」
(その恰好を提案したのは、やはりエドガス様だったのか)
木こりの恰好をしているフリージアを改めて見ると、気持ち悪いくらいの違和感を覚えてしまったラピスは、不意に3年前に起きたリースタとの一件で、彼女と再会した時のことを思い出す。
『何ですか? 平民に手をあげた騎士様は、あなた方が捕らえたのですから、私は用済みですよね?』
(あの時、駆けつけた俺たちのことを認識しつつ、わざと突き放すような言い方をしたのも、もしかして……)
「なぁ、フリージア嬢」
「何?」
「3年前、リースタの一件で俺と再会したことを覚えているか?」
「リースタ?」
「酒場で暴れていたバカのことだ」
「あぁ、あの時の悪徳騎士様のことね」
(そう言えば、あの時にラピスさんと再会したのだったわ)
その時のことを思い出し、少しだけ苦笑いを浮かべたフリージアに、少しだけ汗ばんだ手を握ったラピスは緊張の面持ちで口を開く。
「あの時、お前は駆けつけた俺たちに対して、冷たい態度を取って早くその場から離れようとしていた。それは、自分の正体がバレるからと思ったからか?」
「っ!? それじゃあ、あの時も……」
ラピスの質問に目を見開いたカトレアの頭に、2年前の魔物討伐で再会した時のことが蘇る。
『何ですか? 用が無いのでしたら、平民らしくさっさと戻らせていただきます』
(あの時、平民でありながらも貴族相手に不遜な態度を取ったのも……?)
視線をラピスからフリージアに戻したカトレアは、前のめりで目の前で少しだけ眉を顰めている彼女に問い質す。
「ねぇ、フリージア。もしかして、2年前の魔物討伐で私と再会した時に冷たい態度をとったってまさか……!」
「えぇ、ラピスさんの言う通りよ」
「「っ!!」」
フリージアの返事を聞いて、言葉を失うカトレアとラピス。
そんな2人を見て、再び苦笑いを浮かべたフリージアは視線を手元のマグカップに落とす。
「さっきも言ったけど、ノルベルトの改竄魔法でサザランス公爵家はいなくなった。でも、あなた達に正体をバレて、サザランス公爵家の人間がノルベルトの耳に届いてしまったら、私だけでなく、家族にまで影響が出てしまう」
「だから、冷たい態度を取って俺たちから離れようとした。俺たちがノルベルトの影響下にある人間だったから」
「そういうことよ」
「…………」
(フリージアは私たちと再会した時、喜びよりも悲しみよりも、自分の正体がバレることを恐れたということね)
王城に勤める彼らにバレて、それがノルベルトの耳に届けば、確実にノルベルトがフリージアに手を下し、自分の駒になった人達を使って離れ離れになった家族を探すだろう。
そうなれば、身を隠している家族や、その家族を匿っている人達に危険が及ぶのは避けられない。
それを阻止するためにも、フリージアは心が痛んででも、親しくしていた人達と距離を取る必要があった。
(そしてそれは、ここにいないメスト様やシトリン様も同じだった。あの人達もカトレアやラピスさんと同じ、私と親しくしてくれた人達だったから。特にメスト様は……)
「それに」
「「それに?」」
視線を上げたフリージアは、小首を傾げる2人に向かって悲しそうな笑みを向ける。
「サザランス公爵家の事情に、あなた達を巻き込むわけにはいかなかったから」
「そうよ」
『エドガス、これってあなたと同じ木こりの服じゃない?』
『そうです。大変申し訳ないと思っております。ですが、私の同じ格好をしていただければ、周囲には私の弟子に映ると思いますし、そちらの方がよりお嬢様の正体が見破られることはないかと』
『……分かったわ』
(あの時は、貴族である自分が捨てられず、中々袖を通すのが難しかったけど……今となってはとても馴染むのよね)
すっかり着慣れた木こりの恰好に、思わず笑みを零したフリージアとは対照的に、カトレアは悲しい顔で親友を見ていた。
(そこまでして、あんたは自分の正体を隠していたのね)
「いや、そこまでしないと正体がバレてしまう可能性があったのよね」
ノルベルトは、最大の障害であり憎き敵であるサザランス公爵家を滅ぼしたと思っている。
けれど、その敵がもし生きていたとあれば? それがノルベルトの耳に届いてしまっては?
(フリージアは自分や家族のためにも正体を隠さないといけないのよね)
この家に来た時のことを思い出し、悲しそうな顔をするフリージアを前に、カトレアはただ口を噤むしかなかった。
そんな彼女の横顔を見ていたラピスは、至極真面目な顔で木こりの恰好をしたフリージアを問い質す。
「ちなみに、フリージア嬢に木こりの恰好を差せたのってもしかして……?」
「エドガスよ。男性の……それも木こりの恰好をしていたら、正体がバレる確率が格段に下がるだろうからって」
「そうか」
(その恰好を提案したのは、やはりエドガス様だったのか)
木こりの恰好をしているフリージアを改めて見ると、気持ち悪いくらいの違和感を覚えてしまったラピスは、不意に3年前に起きたリースタとの一件で、彼女と再会した時のことを思い出す。
『何ですか? 平民に手をあげた騎士様は、あなた方が捕らえたのですから、私は用済みですよね?』
(あの時、駆けつけた俺たちのことを認識しつつ、わざと突き放すような言い方をしたのも、もしかして……)
「なぁ、フリージア嬢」
「何?」
「3年前、リースタの一件で俺と再会したことを覚えているか?」
「リースタ?」
「酒場で暴れていたバカのことだ」
「あぁ、あの時の悪徳騎士様のことね」
(そう言えば、あの時にラピスさんと再会したのだったわ)
その時のことを思い出し、少しだけ苦笑いを浮かべたフリージアに、少しだけ汗ばんだ手を握ったラピスは緊張の面持ちで口を開く。
「あの時、お前は駆けつけた俺たちに対して、冷たい態度を取って早くその場から離れようとしていた。それは、自分の正体がバレるからと思ったからか?」
「っ!? それじゃあ、あの時も……」
ラピスの質問に目を見開いたカトレアの頭に、2年前の魔物討伐で再会した時のことが蘇る。
『何ですか? 用が無いのでしたら、平民らしくさっさと戻らせていただきます』
(あの時、平民でありながらも貴族相手に不遜な態度を取ったのも……?)
視線をラピスからフリージアに戻したカトレアは、前のめりで目の前で少しだけ眉を顰めている彼女に問い質す。
「ねぇ、フリージア。もしかして、2年前の魔物討伐で私と再会した時に冷たい態度をとったってまさか……!」
「えぇ、ラピスさんの言う通りよ」
「「っ!!」」
フリージアの返事を聞いて、言葉を失うカトレアとラピス。
そんな2人を見て、再び苦笑いを浮かべたフリージアは視線を手元のマグカップに落とす。
「さっきも言ったけど、ノルベルトの改竄魔法でサザランス公爵家はいなくなった。でも、あなた達に正体をバレて、サザランス公爵家の人間がノルベルトの耳に届いてしまったら、私だけでなく、家族にまで影響が出てしまう」
「だから、冷たい態度を取って俺たちから離れようとした。俺たちがノルベルトの影響下にある人間だったから」
「そういうことよ」
「…………」
(フリージアは私たちと再会した時、喜びよりも悲しみよりも、自分の正体がバレることを恐れたということね)
王城に勤める彼らにバレて、それがノルベルトの耳に届けば、確実にノルベルトがフリージアに手を下し、自分の駒になった人達を使って離れ離れになった家族を探すだろう。
そうなれば、身を隠している家族や、その家族を匿っている人達に危険が及ぶのは避けられない。
それを阻止するためにも、フリージアは心が痛んででも、親しくしていた人達と距離を取る必要があった。
(そしてそれは、ここにいないメスト様やシトリン様も同じだった。あの人達もカトレアやラピスさんと同じ、私と親しくしてくれた人達だったから。特にメスト様は……)
「それに」
「「それに?」」
視線を上げたフリージアは、小首を傾げる2人に向かって悲しそうな笑みを向ける。
「サザランス公爵家の事情に、あなた達を巻き込むわけにはいかなかったから」
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