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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第362話 縮まる距離と早まる鼓動
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――時は、メストとカミルが星空の下で話しているところまで戻る。
「……それで、結局メストさんが率いる部隊が王族の皆様の警護をすることになったのですか?」
「あぁ、そういうことになった」
瞬く星々が煌めく中、メストから一通り話を聞いたカミルは、込み上がってきた怒りの激情と、メストからもたらされた衝撃的な事実を整理しようと、メストに背を向けると静かに頭を抱えた。
(バカじゃないの!? バカじゃないの!? 今まで近衛騎士に門番を任されたのもおかしいけど、今年はメスト様の部隊だけで王族警備なんて一体何を考えているの!? この国で一番貴い王城の皆様を守る気あるの!? あのバカ宰相!!)
「カミル、どうした? 大丈夫か?」
「え、えぇ……っ!」
(いけない、私としたことがメスト様にご心配をおかけしまったわ……って、顔が近い!)
ゆっくりと顔を上げて振り向いたカミルは、すぐ目の前に困惑したような顔でこちらを見るメストに胸を高鳴った。
(メスト様、相変わらず凛々しい顔立ち……って、今はそういう場合じゃないでしょ!)
鼓動が早くなっている心臓を落ち着かせようと、カミルは軽く咳払いをし、何事も無かったかのように体ごとメストの方に戻して膝を抱えた。
「すみません、驚きのあまり変な行動をしてしまいました」
「そ、そうか……まぁ、いつも冷静沈着なカミルでもさすがに今回のことは驚くよな」
「はぁ、まぁ……」
(それは鎮静作用のあるアイマスクをつけているお陰なんだけど)
いつものカミルの無表情を見て、安堵したメストは仕事で見せる真面目な顔をした。
「それで、その警備の準備をしないといけないから、しばらくの間こちらに来られなくなる」
「そうだったのですね」
「すまない」
申し訳なさそうに頭を下げるメストに、カミルは小さく首を横に振った。
「いえ、むしろ本来のお役目が果たせて良かったではありませんか」
「そう、だな。それは、団長にも言われた」
フェビルから命令を受けた時のことを思い出したメストが、照れくさそうに笑みを零すと、それを見たカミルは再び胸を高鳴らせた。
(落ち着いて、今はメスト様にドキドキする時じゃないわよ)
無理矢理気持ちを落ち着かせようと、膝を抱えた手に力を入れたカミルは、小さく溜息をつくとメストを不安そうな顔を向ける。
「メストさん、ここまで話を聞いて今更なのですが、平民である私にそこまで話して良かったのですか?」
「本当、今更だな」
(それでも、こんな国家機関レベルの重要なこと、ただの平民に話していいはずがないわ)
心配そうに見つめるカミルに、優しく微笑んだメストは、リラックスするように両手を後ろについた。
「そうだな。本来なら、こんなことは言ってもいけないのかもしれない。何せ、この国で一番貴い方々に関わる話だから」
「でしたら……」
「だが、さっきも言ったが、カミルだから話しても良いと思ったんだ」
「えっ?」
(さっきも仰っていたけど、それってどういうこと?)
思わず眉を顰めたカミルに、メストは笑みを浮かべたまま話を続けた。
「去年、俺が『今年の建国祭も去年と同じく王都の門番をすることになった』って話しをした後、カミル、誰にもその話をしてないだろ?」
「そう、ですね。そもそも、そんな大事なことを誰かに話したら私の首が飛びますし、今の私には、そのような話を打ち明けていい相手がいませんから」
(あの余所者嫌いの村人達は私の話なんて聞いてくれないし、得意先にこんな話をしたら絶対に取引を打ち切られるから)
「それに」
「それに?」
一瞬目を伏せて口を噤んだカミルは、フッと笑みを零すと慈愛に満ち溢れた淡い緑色の瞳をメストに向けた。
「あなた様の迷惑にはなりたくありませんから」
「っ!?」
それは、カミルが今のメストを受け入れた時から決めていたことだった。
(例え、今のあなたの瞳に本当の私が映っていなかったとしても、私はメスト様の迷惑にはなりたくない)
魔道ランタンに照らされた、カミルの温かく優しい笑み。
その笑みに息をするのを忘れるほど見惚れてしまったメストは、カミルにそっと近づいた。
「カミルが」
「えっ?」
2人の間に少しだけ出来ていた隙間を埋めたメストは、カミルの細長い手を優しく取った。
(えっ!? ちょっ!? メスト様?)
唐突にメストが迫ってきて、あまつさえ優しく手を取られたカミルは、突然のことにアイマスクに付与された鎮静作用が追いつかないほど頭が混乱し、心臓の音がメストに聞こえるじゃないかと思えるくらいうるさく、頬は真っ赤に染まっていた。
そんなことなど知る由もないメストは、憂いを帯びた顔をカミルに近づける。
(何!? 何!? 何!?)
メストから先程よりも更に近く顔を近づけられたカミルは、少しでも距離を取ろうと後ろに下がろうとしたが、いち早く察したがメストが、捕らえていたカミルの手を優しく引っ張った。
「あ、あの……?」
距離を取ることが出来ず、今まで一番近いメストとの距離に、どうしていいか分からないカミルが口をパクパクさせていると、カミルの手を捕らえていたメストが、酷く切なそうな顔で口を開いた。
「カミルが、俺の婚約者だったらどれだけ良かったのだろうか?」
「っ!」
驚いて目を見開いたカミルの目の前には、愛しい人を見て苦しむ男の顔がランタンの灯りに照らされていた。
「……それで、結局メストさんが率いる部隊が王族の皆様の警護をすることになったのですか?」
「あぁ、そういうことになった」
瞬く星々が煌めく中、メストから一通り話を聞いたカミルは、込み上がってきた怒りの激情と、メストからもたらされた衝撃的な事実を整理しようと、メストに背を向けると静かに頭を抱えた。
(バカじゃないの!? バカじゃないの!? 今まで近衛騎士に門番を任されたのもおかしいけど、今年はメスト様の部隊だけで王族警備なんて一体何を考えているの!? この国で一番貴い王城の皆様を守る気あるの!? あのバカ宰相!!)
「カミル、どうした? 大丈夫か?」
「え、えぇ……っ!」
(いけない、私としたことがメスト様にご心配をおかけしまったわ……って、顔が近い!)
ゆっくりと顔を上げて振り向いたカミルは、すぐ目の前に困惑したような顔でこちらを見るメストに胸を高鳴った。
(メスト様、相変わらず凛々しい顔立ち……って、今はそういう場合じゃないでしょ!)
鼓動が早くなっている心臓を落ち着かせようと、カミルは軽く咳払いをし、何事も無かったかのように体ごとメストの方に戻して膝を抱えた。
「すみません、驚きのあまり変な行動をしてしまいました」
「そ、そうか……まぁ、いつも冷静沈着なカミルでもさすがに今回のことは驚くよな」
「はぁ、まぁ……」
(それは鎮静作用のあるアイマスクをつけているお陰なんだけど)
いつものカミルの無表情を見て、安堵したメストは仕事で見せる真面目な顔をした。
「それで、その警備の準備をしないといけないから、しばらくの間こちらに来られなくなる」
「そうだったのですね」
「すまない」
申し訳なさそうに頭を下げるメストに、カミルは小さく首を横に振った。
「いえ、むしろ本来のお役目が果たせて良かったではありませんか」
「そう、だな。それは、団長にも言われた」
フェビルから命令を受けた時のことを思い出したメストが、照れくさそうに笑みを零すと、それを見たカミルは再び胸を高鳴らせた。
(落ち着いて、今はメスト様にドキドキする時じゃないわよ)
無理矢理気持ちを落ち着かせようと、膝を抱えた手に力を入れたカミルは、小さく溜息をつくとメストを不安そうな顔を向ける。
「メストさん、ここまで話を聞いて今更なのですが、平民である私にそこまで話して良かったのですか?」
「本当、今更だな」
(それでも、こんな国家機関レベルの重要なこと、ただの平民に話していいはずがないわ)
心配そうに見つめるカミルに、優しく微笑んだメストは、リラックスするように両手を後ろについた。
「そうだな。本来なら、こんなことは言ってもいけないのかもしれない。何せ、この国で一番貴い方々に関わる話だから」
「でしたら……」
「だが、さっきも言ったが、カミルだから話しても良いと思ったんだ」
「えっ?」
(さっきも仰っていたけど、それってどういうこと?)
思わず眉を顰めたカミルに、メストは笑みを浮かべたまま話を続けた。
「去年、俺が『今年の建国祭も去年と同じく王都の門番をすることになった』って話しをした後、カミル、誰にもその話をしてないだろ?」
「そう、ですね。そもそも、そんな大事なことを誰かに話したら私の首が飛びますし、今の私には、そのような話を打ち明けていい相手がいませんから」
(あの余所者嫌いの村人達は私の話なんて聞いてくれないし、得意先にこんな話をしたら絶対に取引を打ち切られるから)
「それに」
「それに?」
一瞬目を伏せて口を噤んだカミルは、フッと笑みを零すと慈愛に満ち溢れた淡い緑色の瞳をメストに向けた。
「あなた様の迷惑にはなりたくありませんから」
「っ!?」
それは、カミルが今のメストを受け入れた時から決めていたことだった。
(例え、今のあなたの瞳に本当の私が映っていなかったとしても、私はメスト様の迷惑にはなりたくない)
魔道ランタンに照らされた、カミルの温かく優しい笑み。
その笑みに息をするのを忘れるほど見惚れてしまったメストは、カミルにそっと近づいた。
「カミルが」
「えっ?」
2人の間に少しだけ出来ていた隙間を埋めたメストは、カミルの細長い手を優しく取った。
(えっ!? ちょっ!? メスト様?)
唐突にメストが迫ってきて、あまつさえ優しく手を取られたカミルは、突然のことにアイマスクに付与された鎮静作用が追いつかないほど頭が混乱し、心臓の音がメストに聞こえるじゃないかと思えるくらいうるさく、頬は真っ赤に染まっていた。
そんなことなど知る由もないメストは、憂いを帯びた顔をカミルに近づける。
(何!? 何!? 何!?)
メストから先程よりも更に近く顔を近づけられたカミルは、少しでも距離を取ろうと後ろに下がろうとしたが、いち早く察したがメストが、捕らえていたカミルの手を優しく引っ張った。
「あ、あの……?」
距離を取ることが出来ず、今まで一番近いメストとの距離に、どうしていいか分からないカミルが口をパクパクさせていると、カミルの手を捕らえていたメストが、酷く切なそうな顔で口を開いた。
「カミルが、俺の婚約者だったらどれだけ良かったのだろうか?」
「っ!」
驚いて目を見開いたカミルの目の前には、愛しい人を見て苦しむ男の顔がランタンの灯りに照らされていた。
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