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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第368話 月下の舞踏会(sideカミル(フリージア) )
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※カミル(フリージア)視点です。
――これはある意味、神様が私に与えてくれた天罰かもしれないしご褒美なのかもしれない。
そう思うくらい、今の私にとって、メスト様とダンスをしているこの時は、とても幸せなものだった。
メスト様に誘われて、私は満点の星空の下、久しぶりにメスト様とダンスを踊った。
正直、彼の婚約者だった頃と同じように踊れるかとても不安だった。
けれど、あの頃の感覚は私が思っていた以上に染み付いていたらしく、平民になって5年経った今でも難なく踊れていた。
「カミル、上手いな!」
「ありがとうございます」
良かった、覚えていて。そう言えば、エドガスが亡くなったあの日から『ダンス』なんてものを踊ることをしなくなったわ。
『お嬢様。お嬢様がまた貴族としていつでも戻れるよう、たまに貴族としてのマナーや作法、ダンスなどを学び直しましょう』
それは平民になって半年経った頃、ようやく木こりの仕事にも少しだけ慣れた私に、エドガスが突然行ってきたのだ。
『でも、いつ私が貴族に戻れるか分からないでしょ?』
もしかすると、このままずっと平民のままかもしれないし。
そんな私の不安を見抜いていたエドガスは、優しく微笑んで静かに頷いた。
『そうですね。ですが、お嬢様がいつか貴族に戻られる時が来ます。そのためにも、今のうちから忘れない努力をしなくては』
『……分かったわ』
その日から、私は週に1度、エドガスから貴族としてのマナーや作法、ダンスなどを学び直した。
いつか、貴族に戻れるその時に備えて。
エドガスが亡くなった後、ダンスの練習はめっきりしなくなったけど、貴族としてのマナーや作法は週に1度、独学で学び直している。
「それにしても、カミルとは初めて踊っているはずなのに、まるで何回も踊っているような安心感があってとても楽しい」
それはそうでしょう。だって、何回も踊っているのだから。けれど……
「……婚約者様とは踊らなかったのですか?」
本当は口にするのは嫌だし、聞きたくもない。けれど、やはり気になってしまう。
ダリアと今のメスト様がどのくらい親しいのかと。
すっかり冷めきっているのは分かっているはずなのに。
すると、メスト様が少しだけ暗そうな顔をした。
「まぁ、何回か踊ったことはあったかもしれない。ここ数年は、仕事で夜会に出ていないから、彼女とは踊っていないから」
言われてみれば、メスト様は3年前までは第二騎士団にいらっしゃったから、魔物討伐等で王都に来ることは難しかった。だから、彼女と踊る機会が少なかった。
……いや、そもそも男漁りが大好きなダリアが、メスト様を誘っていない可能性があるわね。
近衛騎士になった後のメスト様に対するダリアの態度を見れば、その可能性も十分ありえる。
「それでも俺は、カミルと踊っている今の方がずっと楽しいと思った」
「っ!」
月の光に照らされたメスト様の甘く優しい笑み。
その笑みが、その言葉が、あの日から凍ってしまった私の心を少しずつ溶かしていく。
もし、あなたに全てを打ち明けたら、今のあなたはどんな顔をするのだろう?
……いや、そんなこと出来るはずがない。
今の彼を……騎士になった彼を私の事情に巻き込ませるわけにはいかないから。
でも、あなたと一緒に過ごす時間が増えるにつれて、あなたに打ち明けたくなる衝動に駆られてしまう。
本当の私も。今抱えているあなたに対するこの気持ちも。
「たまには、こういう場所で踊るのも悪くないな」
月明かりに照らされたメスト様の甘い微笑みに、見惚れてしまった私は思わず息を呑むと小さく笑みを零した。
ここは、王城の豪華なシャンデリアに照らされた夜会の場ではない。もちろん、王家のお抱え楽団が優雅に奏でる音楽もない。
あるのは、鬱蒼とした森の中に開けたこの場所と、踊る度に聞こえる静かな草の音。
とてもじゃないけど、優雅なダンスを踊れる場所ではない。
でも私は今、この場所でメスト様と踊っているこの時間が、この場所が大好き。
「おかしいな。男同士のはずなのに……どうしても、カミルとこうしていつまでも踊っていたいと思えてしまう」
そう言って、メスト様は私の華奢な体をさらに引き寄せ、いつの間にか出来てしまった距離を埋めると、愛しい者を見るような目で微笑んでくれた。
「っ!!」
……今の私、絶対顔が真っ赤だ。だって、いつになく頬が熱いから。胸の鼓動だって、この音が聞こえたらどうしようと思うくらいうるさい。
「私も」
「えっ?」
あぁ、神様。これは、罰なのでしょうか?
仕方ないとはいえ、彼に嘘をつき続けている私への罰なのでしょうか?
それとも……私へのささやかなご褒美なのでしょうか?
家族と離れ離れになり、エドガスが亡くなった日から彼に出会うまで……再会するまで、1人孤独に頑張ってきた私へのほんのささやかなご褒美なのでしょうか?
それならば……
「私も、あなた様といつまでも踊っていたいです」
アイスブルーの瞳で甘く見つめてくる彼に、ささやかな本音を口にしても良いですよね?
――これはある意味、神様が私に与えてくれた天罰かもしれないしご褒美なのかもしれない。
そう思うくらい、今の私にとって、メスト様とダンスをしているこの時は、とても幸せなものだった。
メスト様に誘われて、私は満点の星空の下、久しぶりにメスト様とダンスを踊った。
正直、彼の婚約者だった頃と同じように踊れるかとても不安だった。
けれど、あの頃の感覚は私が思っていた以上に染み付いていたらしく、平民になって5年経った今でも難なく踊れていた。
「カミル、上手いな!」
「ありがとうございます」
良かった、覚えていて。そう言えば、エドガスが亡くなったあの日から『ダンス』なんてものを踊ることをしなくなったわ。
『お嬢様。お嬢様がまた貴族としていつでも戻れるよう、たまに貴族としてのマナーや作法、ダンスなどを学び直しましょう』
それは平民になって半年経った頃、ようやく木こりの仕事にも少しだけ慣れた私に、エドガスが突然行ってきたのだ。
『でも、いつ私が貴族に戻れるか分からないでしょ?』
もしかすると、このままずっと平民のままかもしれないし。
そんな私の不安を見抜いていたエドガスは、優しく微笑んで静かに頷いた。
『そうですね。ですが、お嬢様がいつか貴族に戻られる時が来ます。そのためにも、今のうちから忘れない努力をしなくては』
『……分かったわ』
その日から、私は週に1度、エドガスから貴族としてのマナーや作法、ダンスなどを学び直した。
いつか、貴族に戻れるその時に備えて。
エドガスが亡くなった後、ダンスの練習はめっきりしなくなったけど、貴族としてのマナーや作法は週に1度、独学で学び直している。
「それにしても、カミルとは初めて踊っているはずなのに、まるで何回も踊っているような安心感があってとても楽しい」
それはそうでしょう。だって、何回も踊っているのだから。けれど……
「……婚約者様とは踊らなかったのですか?」
本当は口にするのは嫌だし、聞きたくもない。けれど、やはり気になってしまう。
ダリアと今のメスト様がどのくらい親しいのかと。
すっかり冷めきっているのは分かっているはずなのに。
すると、メスト様が少しだけ暗そうな顔をした。
「まぁ、何回か踊ったことはあったかもしれない。ここ数年は、仕事で夜会に出ていないから、彼女とは踊っていないから」
言われてみれば、メスト様は3年前までは第二騎士団にいらっしゃったから、魔物討伐等で王都に来ることは難しかった。だから、彼女と踊る機会が少なかった。
……いや、そもそも男漁りが大好きなダリアが、メスト様を誘っていない可能性があるわね。
近衛騎士になった後のメスト様に対するダリアの態度を見れば、その可能性も十分ありえる。
「それでも俺は、カミルと踊っている今の方がずっと楽しいと思った」
「っ!」
月の光に照らされたメスト様の甘く優しい笑み。
その笑みが、その言葉が、あの日から凍ってしまった私の心を少しずつ溶かしていく。
もし、あなたに全てを打ち明けたら、今のあなたはどんな顔をするのだろう?
……いや、そんなこと出来るはずがない。
今の彼を……騎士になった彼を私の事情に巻き込ませるわけにはいかないから。
でも、あなたと一緒に過ごす時間が増えるにつれて、あなたに打ち明けたくなる衝動に駆られてしまう。
本当の私も。今抱えているあなたに対するこの気持ちも。
「たまには、こういう場所で踊るのも悪くないな」
月明かりに照らされたメスト様の甘い微笑みに、見惚れてしまった私は思わず息を呑むと小さく笑みを零した。
ここは、王城の豪華なシャンデリアに照らされた夜会の場ではない。もちろん、王家のお抱え楽団が優雅に奏でる音楽もない。
あるのは、鬱蒼とした森の中に開けたこの場所と、踊る度に聞こえる静かな草の音。
とてもじゃないけど、優雅なダンスを踊れる場所ではない。
でも私は今、この場所でメスト様と踊っているこの時間が、この場所が大好き。
「おかしいな。男同士のはずなのに……どうしても、カミルとこうしていつまでも踊っていたいと思えてしまう」
そう言って、メスト様は私の華奢な体をさらに引き寄せ、いつの間にか出来てしまった距離を埋めると、愛しい者を見るような目で微笑んでくれた。
「っ!!」
……今の私、絶対顔が真っ赤だ。だって、いつになく頬が熱いから。胸の鼓動だって、この音が聞こえたらどうしようと思うくらいうるさい。
「私も」
「えっ?」
あぁ、神様。これは、罰なのでしょうか?
仕方ないとはいえ、彼に嘘をつき続けている私への罰なのでしょうか?
それとも……私へのささやかなご褒美なのでしょうか?
家族と離れ離れになり、エドガスが亡くなった日から彼に出会うまで……再会するまで、1人孤独に頑張ってきた私へのほんのささやかなご褒美なのでしょうか?
それならば……
「私も、あなた様といつまでも踊っていたいです」
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