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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第369話 木こりと騎士の別れ(前編)
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満点の星空の下、メストと語り合って踊った後、『明日も早いですから』とカミルは満足げな笑みを浮かべるメストを家に泊めた。
そして翌日、朝食を食べて鍛錬を済ませると、カミルは王都に帰るメストを見送った。
「すまんな、カミル。突然押しかけるような形で泊まって」
「いえ、昨日は夜遅くまで語り合いましたし、その……踊りましたから」
(いきなりとはいえ、まさか今のメスト様とダンスを踊るとは思わなかったけど)
昨日のことを思い出したのか、僅かに頬を染めたカミルは恥ずかしそうに視線を逸らす。
そんなカミルを見たメストは、楽しそうな笑みを浮かべた。
「そうだな。昨日は楽しい時間が過ごせて本当に良かった。そのお陰で、今年の建国祭に向かって気合が入った」
「っ!」
(そうだ。メスト様は今年、王族の護衛につかれるのだった)
「本当なら、近衛騎士団の全部隊が王族の護衛をするんだけどな……全く、宰相閣下には本当に何を考えているのやら」
「そう、ですね……」
(本当に、何を考えているのかしら?)
苦笑いを浮かべて頬を掻くメストを見て、小さな声で呟いたカミルは、悔しそうに下唇を噛むと拳を握った。
(もしお父様なら、こんな横暴は……騎士の皆様の威厳や尊厳を踏みにじるようなことはしない)
『フリージア。宰相という立場は、王国騎士団長や宮廷魔法師団と同じ立場だ。どうしてか分かるかい?』
『一番偉いのが国王陛下であり、宰相はあくまで国の政を取り纏める立場であるからですわ』
『その通り! だから、宰相は決して騎士団長や宮廷魔法師団長が下した決断には、基アドバイスはしてもいいけど、独断で決断を覆すような真似をしてはいけない。だが余程のこと……それも……』
「国にとって最も害になる決断を下した時にしかそれは許されないのに」
「カミル?」
(ノルベルトが下したものは、正しく国にとって害にしかならない。そもそも……)
「宰相が独断で決断を覆す時は、最終的な判断をする陛下に万が一の時があった場合であって……あっ」
(もしかして、陛下の身に何かがあって、それを好機と捉えたノルベルトが、陛下に代わって騎士の配置を独断で決断したのでは……!?)
「なぁ、カミル。急にどうした? さっきから小声で何を呟いているんだ?」
「あっ」
俯いていた顔を上げると、そこには両肩に手を置いて心配そうに見つめるメストがいた。
「っ!」
(しまった、もしかしたらきかれていたかもしれない!)
咄嗟に口を手で覆ったカミルは、両肩に乗った手を片手で振り払って、メストと少しだけ距離をとった。
「いえ、何も。ただ……」
「ただ?」
心配そうにこちらを見るメストに、手を覆うことを止めたカミルが問い質す。
「どうして、国王陛下ではなく宰相閣下が騎士達に命令を下したのかと思いまして」
「っ!」
(しまった! 余計なことを聞いてしまったわ!)
驚いた顔のメストを見た瞬間、カミルは慌てて言い訳をする。
「あ、あのですね! 私は平民なのでお貴族様のことはよく分からないのですが、そういうものは、国の一番偉い国王陛下から下されるものではなのかと思いまして」
(そもそも、今の平民が騎士様のことや王族の皆様のことを知っているわけがないわ!)
ノルベルトの改竄魔法により、ペトロート王国に住む平民は今、貴族や王族のことを全くと言っていいほど知らない。
そのため、カミルの口から出た疑問は、今の平民からは絶対出ないものだった。
すると、何かを思い出したメストが沈痛な表情で俯いた。
「実は、ここ最近、陛下や王妃様、第一王女様の容態が思わしくないのだ」
「えっ?」
(陛下のお体が良くない? それに、王妃様や第一王女様まで?)
王族全員の容態が悪いことに疑問を覚えたカミルは、平民の身であることを忘れて、メストに聞いていく。
「流行り病でしょうか?」
「分からない。俺も団長から聞いた話だから詳しくは……」
「そう、ですか」
(王族全員が倒れるなんて、ある意味この国の存亡に関わってくるのだけど)
王族が病に伏していると知れば、反王族派の派閥がクーデターを起こしたり、この国を良く思っていない国が攻め入ったりする可能性がある。
だが、ノルベルトの他国嫌いと改竄魔法のお陰か、現在貴族達は全員ノルベルトの支配下にあり、国交は断絶状態で行き来する人はおろか、現在の王国の情報がほぼ外に出ていない。
そのため、クーデターや他国から攻め入られる可能性は現状、極めて低いのである。
「そういうことだから、王族の皆様がなされている公務は全て中止。国に関するあらゆる意思決定は現在、宰相やフェビル団長やルベル団長に委ねられているのだが……」
「なぜか、宰相閣下が独断で意思決定をされているということですか?」
「そういうことになるな」
「…………」
(まるで、自分が国王になったかのような横暴ぶりね)
苦い顔をしたカミルは、再び拳を握った。
そして翌日、朝食を食べて鍛錬を済ませると、カミルは王都に帰るメストを見送った。
「すまんな、カミル。突然押しかけるような形で泊まって」
「いえ、昨日は夜遅くまで語り合いましたし、その……踊りましたから」
(いきなりとはいえ、まさか今のメスト様とダンスを踊るとは思わなかったけど)
昨日のことを思い出したのか、僅かに頬を染めたカミルは恥ずかしそうに視線を逸らす。
そんなカミルを見たメストは、楽しそうな笑みを浮かべた。
「そうだな。昨日は楽しい時間が過ごせて本当に良かった。そのお陰で、今年の建国祭に向かって気合が入った」
「っ!」
(そうだ。メスト様は今年、王族の護衛につかれるのだった)
「本当なら、近衛騎士団の全部隊が王族の護衛をするんだけどな……全く、宰相閣下には本当に何を考えているのやら」
「そう、ですね……」
(本当に、何を考えているのかしら?)
苦笑いを浮かべて頬を掻くメストを見て、小さな声で呟いたカミルは、悔しそうに下唇を噛むと拳を握った。
(もしお父様なら、こんな横暴は……騎士の皆様の威厳や尊厳を踏みにじるようなことはしない)
『フリージア。宰相という立場は、王国騎士団長や宮廷魔法師団と同じ立場だ。どうしてか分かるかい?』
『一番偉いのが国王陛下であり、宰相はあくまで国の政を取り纏める立場であるからですわ』
『その通り! だから、宰相は決して騎士団長や宮廷魔法師団長が下した決断には、基アドバイスはしてもいいけど、独断で決断を覆すような真似をしてはいけない。だが余程のこと……それも……』
「国にとって最も害になる決断を下した時にしかそれは許されないのに」
「カミル?」
(ノルベルトが下したものは、正しく国にとって害にしかならない。そもそも……)
「宰相が独断で決断を覆す時は、最終的な判断をする陛下に万が一の時があった場合であって……あっ」
(もしかして、陛下の身に何かがあって、それを好機と捉えたノルベルトが、陛下に代わって騎士の配置を独断で決断したのでは……!?)
「なぁ、カミル。急にどうした? さっきから小声で何を呟いているんだ?」
「あっ」
俯いていた顔を上げると、そこには両肩に手を置いて心配そうに見つめるメストがいた。
「っ!」
(しまった、もしかしたらきかれていたかもしれない!)
咄嗟に口を手で覆ったカミルは、両肩に乗った手を片手で振り払って、メストと少しだけ距離をとった。
「いえ、何も。ただ……」
「ただ?」
心配そうにこちらを見るメストに、手を覆うことを止めたカミルが問い質す。
「どうして、国王陛下ではなく宰相閣下が騎士達に命令を下したのかと思いまして」
「っ!」
(しまった! 余計なことを聞いてしまったわ!)
驚いた顔のメストを見た瞬間、カミルは慌てて言い訳をする。
「あ、あのですね! 私は平民なのでお貴族様のことはよく分からないのですが、そういうものは、国の一番偉い国王陛下から下されるものではなのかと思いまして」
(そもそも、今の平民が騎士様のことや王族の皆様のことを知っているわけがないわ!)
ノルベルトの改竄魔法により、ペトロート王国に住む平民は今、貴族や王族のことを全くと言っていいほど知らない。
そのため、カミルの口から出た疑問は、今の平民からは絶対出ないものだった。
すると、何かを思い出したメストが沈痛な表情で俯いた。
「実は、ここ最近、陛下や王妃様、第一王女様の容態が思わしくないのだ」
「えっ?」
(陛下のお体が良くない? それに、王妃様や第一王女様まで?)
王族全員の容態が悪いことに疑問を覚えたカミルは、平民の身であることを忘れて、メストに聞いていく。
「流行り病でしょうか?」
「分からない。俺も団長から聞いた話だから詳しくは……」
「そう、ですか」
(王族全員が倒れるなんて、ある意味この国の存亡に関わってくるのだけど)
王族が病に伏していると知れば、反王族派の派閥がクーデターを起こしたり、この国を良く思っていない国が攻め入ったりする可能性がある。
だが、ノルベルトの他国嫌いと改竄魔法のお陰か、現在貴族達は全員ノルベルトの支配下にあり、国交は断絶状態で行き来する人はおろか、現在の王国の情報がほぼ外に出ていない。
そのため、クーデターや他国から攻め入られる可能性は現状、極めて低いのである。
「そういうことだから、王族の皆様がなされている公務は全て中止。国に関するあらゆる意思決定は現在、宰相やフェビル団長やルベル団長に委ねられているのだが……」
「なぜか、宰相閣下が独断で意思決定をされているということですか?」
「そういうことになるな」
「…………」
(まるで、自分が国王になったかのような横暴ぶりね)
苦い顔をしたカミルは、再び拳を握った。
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