木こりと騎士〜不条理に全てを奪われた元宰相家令嬢は、大切なものを守るために剣をとる〜

温故知新

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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい

第373話 玉座に座ってるのは?

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「ペトロート王国宮廷魔法師団団長、ルベル・スコロニフ。求めに応じ、参上致しました」
「入れ」
「ん?」


 (どうして、奴の声が聞こえる? 謁見の間に呼ばれたということは、俺は間違いなく国王陛下に呼ばれたはず。だとしたら、陛下の声が聞こえるはずだ)

 扉の奥から聞こえたノルベルトの声に、僅かに眉を潜ませたルベルは、一先ず冷静になろうと大きく深呼吸をした。
 すると、目の前にある重厚な扉が門番役の2人の騎士達の手で開かれた。

 (さて、こんなくだらない茶番を終わらせてさっさと建国祭の準備を……って!)


「なっ!」


 扉が開かれた瞬間、目の前の光景にルベルが言葉を失った。


「ほれ、さっさと来ないか。私は、建国祭の準備を忙しいんだ」
「っ!!」


 (一体どの口が……って、今はそれどこじゃない!)

 人を見下したような下卑た笑みを浮かべるノルベルトに、不快そうに顔を顰めたルベルは、王の御前にも関わらず、不機嫌な様子を隠さず大股で謁見の間に入る。
 そして、ノルベルトの護衛役をしていた騎士達に止められたルベルは、眼前にいるノルベルトに向かって声を荒げた。


「ノルベルト貴様! そこは誰が座っていいのか分かっているのか!」


 普段は冷静沈着なルベルが、睨みつけながら指を差した先には、本来、国王陛下しか座ることを許されない玉座にふんぞり返りながら座っているノルベルトがいた。

 怒りと殺気を放つルベルに対し、ノルベルトは得意げに笑みで口を開いた。


「もちろん、この国の王だろう?」
「だったら、たかだか宰相風情の貴様が座っていいはずところではないことは分かっているだろうが!」


 王以外の者が玉座に座る。それはつまり、国王陛下に対する謀反を現しており、この国で最もやってはいけないことなのだ。

 (貴様だって、俺やフェビルと同じく、この国を支える長の1人。だったら、王以外が玉座に座る意味が分かっているはずだ!)

 行く手を護衛役の騎士達に阻まれながらも、玉座に座るノルベルトを睨みつけるルベル。
 そんな彼に、不機嫌そうに鼻を鳴らしたノルベルトが優雅に足を組みなおした。


「だが、この国は俺のものになる。だから、俺がここに座っても許される」
「はぁ!?」


 (何を言っているんだ貴様は!?)

 宰相の立場で玉座に座るだけでなく、玉座のまで堂々と王位簒奪を堂々と口にするノルベルトを、ルベルはこの国の防衛の一翼を担う長として野放しにしてはいけないと警戒心を露にした。


「……つまり、貴様は国王陛下から王位を簒奪するということか?」
「フン、違うな」
「違う?」


 騎士達から少し離れたルベルは、ノルベルトに鋭い眼光を向けつつもいつでも魔法が打てるように魔力を練り始める。


「そもそも、我がインベック家は神から遣わされた一族。故に、この世界で最も偉い存在なのだ」
「はっ? 一体何を言っている?」


 (そもそも『インベック家が神の使いだった』なんて話、今まで聞いたことがない)

 ノルベルトの口から出た荒唐無稽としか言いようがない話に、更に警戒心を強めたルベルは眉間の皺を深くする。
 だが、ルベルの険しい顔を見たノルベルトは、恍惚とした笑みを浮かべた。


「まぁ、貴様のような侯爵風情が知らなくても当然だ。なにせ、この話は建国時に今の王家によって抹消された紛れもない事実なのだからな」
「はぁ!?」


 (王家が事実を抹消!? 一体どういうことだ!?)

 今まで全く知らなかった事実をノルベルトの口から聞いて、少しだけ冷静になったルベルは『これは後で確かめなければな』と考え、一先ず魔力を練るのを一旦止めた。
 すると、笑みを深めたノルベルトは謁見の間に集まっている貴族達を満足そうに一瞥すると、ゆっくりとルベルに視線を戻した。


「さて、ルベル・スコロニフ」


 ルベルの名前を呼んで笑みを潜めたノルベルトは、立派なひじ掛けに頬杖をつくと先程からこちらを睨みつけているルベルを問い質す。


「つい先日流れた噂の件、どう落とし前をつけるつもりか聞いてもいいか?」
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