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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第372話 謁見の間に行くルベル
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「っ!?……それは、本当なのですか?」
(あの男、改竄魔法を使いすぎて頭おかしくなったんじゃないの!?)
帝国で記憶を取り戻したカトレアは、ノルベルトが前々から宰相の座を狙っていたのを知っていた。
それが、300年前に先代が犯した過ちによる汚名を払拭し、『闇魔法』と認められて地に落ちた改竄魔法の価値を再び上げるためであるということも。
ノルベルトの暴挙を聞いて唖然とするカトレアに、苦い顔をしたルベルが小さく頷いた。
「あぁ、俺も思わず目を疑った。だが、本当に奴は玉座で堂々とふんぞり返っていた。まるで、最初から自分のものであったかのように」
「そんな……」
言葉を失うカトレアを見て、深く溜息をついたルベルは天を仰ぐと謁見の間でのことを思い返す。
◇◇◇◇◇
――時は、数時間前に遡る。
『ノルベルトの使者』を名乗る成金貴族から呼び出しを受けたルベルは、面倒くさそうなに頭を掻きながら謁見の間に続く広い廊下を歩いていた。
「全く、建国祭で忙しいっていうのに、かったるいことこの上ないな」
(それも、半年前に流れた噂を今更確かめるなんて……偉い奴らってみんな暇なのか?)
「それにその件は俺の『処罰』で事が済んだんじゃねぇのかよ」
(なんも音沙汰が無いから、てっきりそれで終わりかと思ったんだが……まぁ、今になって蒸し返すということは、奴は諦めていなかったということだな)
深く溜息をついたルベルは、ふと懐に潜ませている魔道具に触れた。
「だがまぁ、この時のために苦労して証拠を掴んだんだ。これであいつの噂がガセであること証明出来る」
ルベルの懐には、メスト達と森に行ったあの日、シトリンの時魔法でダリアがカトレアを操っていた時の様子が映像として残されている魔道具が入っていた。
(カトレア、絶対にお前の噂がガセであることを証明してやる)
懐に忍ばせている証拠に小さく笑みを浮かべると、前を歩いていた案内役が後ろを振り返った。
「ルベル殿。いくら謁見前とはいえ、そのようなことを口にしないでいただきたい」
「へいへい、気をつけますよ」
全く反省していないルベルを見て、ノルベルトから案内役を仰せつかった成金貴族が眉を顰めると大きく舌打ちした。
「チッ、どうして私のような高貴な身分の者が、このような者をあの方の元に連れて行かないといけないんだ?」
「それがあの方の命令だからだろ?」
「チッ!」
再び舌打ちした成金貴族に、ルベルは小さく肩を竦めた。
「それにそっちこそ、一応、宮廷魔法師団の団長の案内しているのだから、そんな言い方は止めておいた方が良いんじゃないのか?」
「ハッ、たかが野蛮な魔物を狩る集団の長ではないか」
「その集団のお陰で、この訓生平和が守られているですが?」
「……野蛮人め、とっととこの国から出ていけ」
「あ?」
「ヒッ!」
威嚇程度にルベルが鋭く睨むと、横柄な態度を取っていた成金貴族の顔が一気に青ざめた。
(あ~、今ならフェビルの気持ちが痛いほど分かるわ。こいつと話していると思わず魔法を使いたくなる)
実は、カトレアに帝国行きを命じた後、ルベルはカトレアの件について相談しようと、フェビルのいる騎士団本部を訪れていた。
その時にフェビルから直接、謁見の間に行くまでの一連の出来事を一通り聞いていたのだ。
『ノルベルトの使いを名乗る成金貴族が来た時、野郎の舐め切った態度に頭に血が上った俺より先に部下達が怒ってくれました。お陰で冷静になれたのですが……もし、あの場に部下達がいなかったら、俺はあの野郎に切りかかっていたかもしれません』
『それほどにひどい野郎だったのか? ノルベルトの使いは』
『えぇ、それはもう』
戦場では、大柄な体格に似あった大胆な作戦を立て、部下達に命を落とさない程度の無茶を嬉々として強いるが、常に冷静に物事を見極め、騎士団の長として理性的な言動を心がけているフェビル。
そんな彼が珍しく感情になっているところを見て、ルベルは『面白いものを見た』と内心喜んでいた。
しかし、フェビルと似たような状況に遭遇したルベルは、今になってあの時のフェビルの気持ちが痛いほど分かった。
(とはいえ、俺もフェビルと同じ国防の一翼を担う集団の長。そう簡単には、感情に流されない)
体をびくびくさせながら視線を前に戻した成金貴族に、ルベルが呆れたように溜息をつくと、前を歩いていた成金貴族の足が大きな扉の前で止まった。
「ルベル殿、こちらが謁見の間に繋がる扉だ。後は、分かっているな?」
「分かっている。案内ご苦労」
(そもそも、謁見の間には何回も来ているから案内は不要なのだが)
手をひらひらさせながら礼を言うルベルに、小さく舌打ちをした成金貴族が忌々しそうにルベルを睨むと黙って来た道を引き返した。
「宮廷魔法師団長相手に睨むとは……意外と肝の据わった野郎なのか?」
(それなら是非ともうちに来て欲しいな)
成金貴族の背中を見送ったルベルは、苦笑しながら豪華な装飾が施された扉に視線を移した。
「さて」
(ここからが本番だ。あいつのためにも、俺のためにも、何より宮廷魔法師団の未来のためにも、宮廷魔法師団団長として頑張らなくては)
背を正して表情を引き締めたルベルは、大きく息を吸うと自分の名前を口に出した。
(あの男、改竄魔法を使いすぎて頭おかしくなったんじゃないの!?)
帝国で記憶を取り戻したカトレアは、ノルベルトが前々から宰相の座を狙っていたのを知っていた。
それが、300年前に先代が犯した過ちによる汚名を払拭し、『闇魔法』と認められて地に落ちた改竄魔法の価値を再び上げるためであるということも。
ノルベルトの暴挙を聞いて唖然とするカトレアに、苦い顔をしたルベルが小さく頷いた。
「あぁ、俺も思わず目を疑った。だが、本当に奴は玉座で堂々とふんぞり返っていた。まるで、最初から自分のものであったかのように」
「そんな……」
言葉を失うカトレアを見て、深く溜息をついたルベルは天を仰ぐと謁見の間でのことを思い返す。
◇◇◇◇◇
――時は、数時間前に遡る。
『ノルベルトの使者』を名乗る成金貴族から呼び出しを受けたルベルは、面倒くさそうなに頭を掻きながら謁見の間に続く広い廊下を歩いていた。
「全く、建国祭で忙しいっていうのに、かったるいことこの上ないな」
(それも、半年前に流れた噂を今更確かめるなんて……偉い奴らってみんな暇なのか?)
「それにその件は俺の『処罰』で事が済んだんじゃねぇのかよ」
(なんも音沙汰が無いから、てっきりそれで終わりかと思ったんだが……まぁ、今になって蒸し返すということは、奴は諦めていなかったということだな)
深く溜息をついたルベルは、ふと懐に潜ませている魔道具に触れた。
「だがまぁ、この時のために苦労して証拠を掴んだんだ。これであいつの噂がガセであること証明出来る」
ルベルの懐には、メスト達と森に行ったあの日、シトリンの時魔法でダリアがカトレアを操っていた時の様子が映像として残されている魔道具が入っていた。
(カトレア、絶対にお前の噂がガセであることを証明してやる)
懐に忍ばせている証拠に小さく笑みを浮かべると、前を歩いていた案内役が後ろを振り返った。
「ルベル殿。いくら謁見前とはいえ、そのようなことを口にしないでいただきたい」
「へいへい、気をつけますよ」
全く反省していないルベルを見て、ノルベルトから案内役を仰せつかった成金貴族が眉を顰めると大きく舌打ちした。
「チッ、どうして私のような高貴な身分の者が、このような者をあの方の元に連れて行かないといけないんだ?」
「それがあの方の命令だからだろ?」
「チッ!」
再び舌打ちした成金貴族に、ルベルは小さく肩を竦めた。
「それにそっちこそ、一応、宮廷魔法師団の団長の案内しているのだから、そんな言い方は止めておいた方が良いんじゃないのか?」
「ハッ、たかが野蛮な魔物を狩る集団の長ではないか」
「その集団のお陰で、この訓生平和が守られているですが?」
「……野蛮人め、とっととこの国から出ていけ」
「あ?」
「ヒッ!」
威嚇程度にルベルが鋭く睨むと、横柄な態度を取っていた成金貴族の顔が一気に青ざめた。
(あ~、今ならフェビルの気持ちが痛いほど分かるわ。こいつと話していると思わず魔法を使いたくなる)
実は、カトレアに帝国行きを命じた後、ルベルはカトレアの件について相談しようと、フェビルのいる騎士団本部を訪れていた。
その時にフェビルから直接、謁見の間に行くまでの一連の出来事を一通り聞いていたのだ。
『ノルベルトの使いを名乗る成金貴族が来た時、野郎の舐め切った態度に頭に血が上った俺より先に部下達が怒ってくれました。お陰で冷静になれたのですが……もし、あの場に部下達がいなかったら、俺はあの野郎に切りかかっていたかもしれません』
『それほどにひどい野郎だったのか? ノルベルトの使いは』
『えぇ、それはもう』
戦場では、大柄な体格に似あった大胆な作戦を立て、部下達に命を落とさない程度の無茶を嬉々として強いるが、常に冷静に物事を見極め、騎士団の長として理性的な言動を心がけているフェビル。
そんな彼が珍しく感情になっているところを見て、ルベルは『面白いものを見た』と内心喜んでいた。
しかし、フェビルと似たような状況に遭遇したルベルは、今になってあの時のフェビルの気持ちが痛いほど分かった。
(とはいえ、俺もフェビルと同じ国防の一翼を担う集団の長。そう簡単には、感情に流されない)
体をびくびくさせながら視線を前に戻した成金貴族に、ルベルが呆れたように溜息をつくと、前を歩いていた成金貴族の足が大きな扉の前で止まった。
「ルベル殿、こちらが謁見の間に繋がる扉だ。後は、分かっているな?」
「分かっている。案内ご苦労」
(そもそも、謁見の間には何回も来ているから案内は不要なのだが)
手をひらひらさせながら礼を言うルベルに、小さく舌打ちをした成金貴族が忌々しそうにルベルを睨むと黙って来た道を引き返した。
「宮廷魔法師団長相手に睨むとは……意外と肝の据わった野郎なのか?」
(それなら是非ともうちに来て欲しいな)
成金貴族の背中を見送ったルベルは、苦笑しながら豪華な装飾が施された扉に視線を移した。
「さて」
(ここからが本番だ。あいつのためにも、俺のためにも、何より宮廷魔法師団の未来のためにも、宮廷魔法師団団長として頑張らなくては)
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