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第7章 余興と奇貨の建国祭
第416話 連れて行きなさい!(前編)
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「ところで、王都で聞いたのですが……確か、私は今日、コロッセオに連れていかれるのですよね?」
夜が明けない森の中、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべる騎士達を前に、フリージアは無表情のまま静かに問い質す。
(ここに来たということは、私をコロッセオに……ダリアとノルベルトのもとに連れて行くためでしょう。そうじゃなきゃこんな辺鄙な村に来ないわ)
すると、騎士達が一斉に笑い出す。
それは、静かな森をうるさくするには十二分な程に下品な笑い声だった。
「何が可笑しいのですか?」
「いや、あの騎士殺しが、まさかこんなお花畑な頭の持ち主だとは思いも寄らなくてな!」
「はい?」
(お花畑な頭を持っているのはそっちじゃなくて?)
騎士の言葉に思わず眉を顰めるフリージア。
そんな彼女に、一際笑っていた隊長格らしき騎士の男が、涙を拭うとフリージアに目を向ける。
「確かに、俺たちはこの国を治めるノルベルト様……いや、この国で崇められておる偉大なる神ノルベルト様の愛し子であらせられる女神ダリア様の命で、貴様のような下賤な者をわざわざ迎えに来てやった!」
「……どこからツッコめばいいか分からないわ」
(他人の記憶を改竄出来るからって、国王陛下が治めているこの国で『自分はこの国で崇められている神だ』と記憶を改竄するなんて信じられない)
騎士達が支離滅裂なことを言っている原因がノルベルトの改竄魔法だと分かっていても、一国の宰相でしかないノルベルトが神と崇められ、その娘であるダリアが『女神』と呼ばれていることに、心底呆れたフリージアは思わず額に手をあてる。
すると、満足げな笑みを浮かべた隊長格の男が突然、鞘から剣を抜くと大きく掲げる。
「だが、俺たちは女神様を守る栄誉ある騎士! 女神の命令とはいえ、貴様のような醜い者を女神様の前に引きずり出すなど言語道断! 故に!」
意味の分からないことを隊長格の男が声高らかに言った瞬間、笑みを潜めた騎士達や村人達が一斉に得物を構える。
「貴様をここにいる村人達を騙した罪と、女神様に対して……果ては、我らが神に対して害を及ぼそうとした罪で、今この場で断罪する!!」
フリージアに向かって、堂々と『断罪する』と宣言した男。
その威風堂々とした姿は、まるで御伽噺で魔王を倒す勇者のようなものだった。
そんな男の宣言に呼応するように、騎士達や村人達が耳のつんざくような雄叫びを上げる。
それを目の当たりに、フリージアは深いため息をつくと小さく笑みを零した。
「貴様! 何が可笑しい!」
「可笑しいも何も……私はただ、この国を護る勇敢な騎士様が、いつの間にか主人の命令をまともに守れない駄犬に成り下がっていて呆れているだけよ」
「はぁ!?」
フリージアから『駄犬』呼ばわりされ、騎士達から威圧するような強い殺気が放たれる。
その強すぎる殺気に、村人達が全員震えあがる中、騎士達からの殺気をものともしないフリージアは、弧を描いた口元をゆっくり覆う。
そして、騎士達に嘲笑うような冷たい視線を向ける。
「あなた達は、神から『私をコロッセオに連れて来い』と命令されたのでしょ? なのに、その命令を無視して私を殺そうするなんて……あなた達の方が、神に対して反旗を翻しているじゃないの?」
「うるさい! 我らは神に選ばれた貴族で構成された騎士であるぞ! 故に、我らの行いは、神から認められた正しき行いなのだ!」
「……見てられないわね」
「は?」
(大方、ノルベルトの改竄魔法を受けすぎて主人の命令に従わない駄犬に成り下がったようだけど……そんなあなた達の姿がとてもじゃないけど見てられないのよ!)
彼らの記憶になくても、フリージアは記憶が改竄される前の彼らの騎士らしい姿を知っていた。
だからこそ、ノルベルトの駒になってしまった彼らを内心憐れんだ。
笑みを潜めたフリージアは、口元から手を離すと凛とした姿勢で騎士達に向かって命じる。
「私は、あなた達の茶番に付き合っている暇はないの! だから、あなた達は主人の命令通り、私をコロッセオに連れて行きなさい!」
その姿は、悪徳騎士達を前に怯まない木こりの姿ではなく、決して折れない凛々しい心を持つ、忘れ去られた『宰相家令嬢』フリージア・サザランス、その人の姿だった。
夜が明けない森の中、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべる騎士達を前に、フリージアは無表情のまま静かに問い質す。
(ここに来たということは、私をコロッセオに……ダリアとノルベルトのもとに連れて行くためでしょう。そうじゃなきゃこんな辺鄙な村に来ないわ)
すると、騎士達が一斉に笑い出す。
それは、静かな森をうるさくするには十二分な程に下品な笑い声だった。
「何が可笑しいのですか?」
「いや、あの騎士殺しが、まさかこんなお花畑な頭の持ち主だとは思いも寄らなくてな!」
「はい?」
(お花畑な頭を持っているのはそっちじゃなくて?)
騎士の言葉に思わず眉を顰めるフリージア。
そんな彼女に、一際笑っていた隊長格らしき騎士の男が、涙を拭うとフリージアに目を向ける。
「確かに、俺たちはこの国を治めるノルベルト様……いや、この国で崇められておる偉大なる神ノルベルト様の愛し子であらせられる女神ダリア様の命で、貴様のような下賤な者をわざわざ迎えに来てやった!」
「……どこからツッコめばいいか分からないわ」
(他人の記憶を改竄出来るからって、国王陛下が治めているこの国で『自分はこの国で崇められている神だ』と記憶を改竄するなんて信じられない)
騎士達が支離滅裂なことを言っている原因がノルベルトの改竄魔法だと分かっていても、一国の宰相でしかないノルベルトが神と崇められ、その娘であるダリアが『女神』と呼ばれていることに、心底呆れたフリージアは思わず額に手をあてる。
すると、満足げな笑みを浮かべた隊長格の男が突然、鞘から剣を抜くと大きく掲げる。
「だが、俺たちは女神様を守る栄誉ある騎士! 女神の命令とはいえ、貴様のような醜い者を女神様の前に引きずり出すなど言語道断! 故に!」
意味の分からないことを隊長格の男が声高らかに言った瞬間、笑みを潜めた騎士達や村人達が一斉に得物を構える。
「貴様をここにいる村人達を騙した罪と、女神様に対して……果ては、我らが神に対して害を及ぼそうとした罪で、今この場で断罪する!!」
フリージアに向かって、堂々と『断罪する』と宣言した男。
その威風堂々とした姿は、まるで御伽噺で魔王を倒す勇者のようなものだった。
そんな男の宣言に呼応するように、騎士達や村人達が耳のつんざくような雄叫びを上げる。
それを目の当たりに、フリージアは深いため息をつくと小さく笑みを零した。
「貴様! 何が可笑しい!」
「可笑しいも何も……私はただ、この国を護る勇敢な騎士様が、いつの間にか主人の命令をまともに守れない駄犬に成り下がっていて呆れているだけよ」
「はぁ!?」
フリージアから『駄犬』呼ばわりされ、騎士達から威圧するような強い殺気が放たれる。
その強すぎる殺気に、村人達が全員震えあがる中、騎士達からの殺気をものともしないフリージアは、弧を描いた口元をゆっくり覆う。
そして、騎士達に嘲笑うような冷たい視線を向ける。
「あなた達は、神から『私をコロッセオに連れて来い』と命令されたのでしょ? なのに、その命令を無視して私を殺そうするなんて……あなた達の方が、神に対して反旗を翻しているじゃないの?」
「うるさい! 我らは神に選ばれた貴族で構成された騎士であるぞ! 故に、我らの行いは、神から認められた正しき行いなのだ!」
「……見てられないわね」
「は?」
(大方、ノルベルトの改竄魔法を受けすぎて主人の命令に従わない駄犬に成り下がったようだけど……そんなあなた達の姿がとてもじゃないけど見てられないのよ!)
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だからこそ、ノルベルトの駒になってしまった彼らを内心憐れんだ。
笑みを潜めたフリージアは、口元から手を離すと凛とした姿勢で騎士達に向かって命じる。
「私は、あなた達の茶番に付き合っている暇はないの! だから、あなた達は主人の命令通り、私をコロッセオに連れて行きなさい!」
その姿は、悪徳騎士達を前に怯まない木こりの姿ではなく、決して折れない凛々しい心を持つ、忘れ去られた『宰相家令嬢』フリージア・サザランス、その人の姿だった。
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