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第7章 余興と奇貨の建国祭
第435話 帝国式戦術
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無効化魔法が付与された得物で切り伏せられたことで、騎士達にかけられていた改竄魔法がほんの少しだけ無効化される。
その反動で、改竄魔法で傀儡にされた騎士達は、呻き声を上げると気絶するようにその場に倒れる。
それを知っていたマーザスは、黒いフードの集団に『死なせない程度にお願いします』とお願いした。
そうすれば、彼らは無効化魔法を纏った武器で騎士達を倒すと踏んだから。
「「「「「ハアッ!!」」」」」」
「「「「「ウガガガガガッ!!!」」」」
マーザスが戦闘開始の合図を受けてすぐ、得物を持った黒いフードの集団は得物に透明な魔力を纏わせると襲い掛かってきた騎士達を一瞬にして地に伏せさせた。
(ヒュー、さすが『帝国の死神』と呼ばれる一族。今回は、彼らには前線役をしてもらったけど……まさか、こうもあっさりと騎士達を無力化するなんて)
あらゆる魔法を無効化する魔法を持つサザランス侯爵一族を有する帝国は、騎士が前線に戦い、宮廷魔法師達は後方で支援し、侯爵一族は宮廷魔法師達の護衛をしながら、騎士達の援護に入る。
これが、フィアンツ帝国の基本的な戦い方だった。
「って、感心している場合じゃないね」
黒いフードの集団の戦いぶりに見惚れていたマーザスは、遠くから現れた騎士達に向かって杖を向ける。
(動きは鈍いうえに、口は開きっぱなしで目にハイライト無し……完全に廃人になっているね)
「このまま参考資料として帝国に連れて帰りたいけど……そんなことをしたら、ロスペルが二度と口を聞いてくれないから止めておこう」
そう言いながら楽しそうに笑ったマーザスは、騎士達に向かって魔法を撃つ。
「《ロックショット》!」
「「「「グガッ!!」」」」
マーザスの魔法で騎士達の動きが止まった瞬間、黒いフードの集団が動きの止まった騎士達を切り伏せる。
(とりあえず、こんなところかな)
騎士達が動かないことを確認したマーザスは、安堵の溜息をついて杖をマジックバックに戻す。
すると、戦いを終えた黒いフードの集団が得物を持ったままマーザスのところにきた。
「マーザス殿、これで終わりか?」
「はい、お疲れ様でした」
ニッコリ笑うマーザスに、黒いフードの集団を率いていた男が不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「フン、全く歯ごたえがなさすぎて準備運動にもならなかったな」
「それは私も同じです。でもまぁ、彼らは改竄魔法によって作られた傀儡なので仕方ないです」
「そうか」
マーザスの言葉に納得した黒いフードの集団を率いていた男は、地に伏せて動かない騎士達を見やると顔を顰める。
「それにしても、王国はこんなにも腑抜けた国になったのか。王国騎士がこの程度の戦力なら、今すぐにでも帝国が攻め入ることが出来るぞ」
他国で堂々と侵略宣言をする男に、マーザスは苦笑しながら彼を宥める。
「それに関してはこの上なく同意しますが……それは偽宰相がとんでもなく愚か者だからということで。本物の宰相が戻ってくれば、また強い国に戻りますよ。それこそ、攻め入るなんて考えられないくらいに」
(陛下も『あの腹黒宰相だけは敵に回したくない』って言っていたしね)
「そう言えば、この国の本当の宰相は我が親戚だったな。確かに、奴ならすぐに出来そうだ」
『帝国の死神』と恐れられているサザランス侯爵家は現在、皇族と交わした古き盟約に従い、表では一地方領主として領地を治めて国政とは距離を置き、裏では皇帝の命に従い、『帝国にあだなす者に対しての粛清』という大事な仕事を担っている。
そんな彼らは、親戚筋にあたるサザランス公爵家についての情報は、もちろん耳に入っていた。
『王国で決して敵に回してはいけない要注意一族』として。
「とはいえ、奴がちゃんとしていたら今頃こうなっていないだろうに」
「それは、そうなのですけど……まぁ、色々と複雑な事情があったのでしょう」
「なんだ、それは? 自分にあだなす者がいたら、その場で叩き切れば良いだけの話ではないのか?」
「アハハハ……」
(そうやって脳筋な考え方をするから、あなた方はいつまで経っても地方領主のままなのですよ)
「けどまぁ、それは魔法にしか興味のない僕も同じか」
「マーザス殿?」
「いや、何でもありません」
誤魔化すように笑ったマーザスに、物騒な二つ名に恥じない極端な考え方をする男が再び不機嫌そうに鼻を鳴らすとマーザスに背を向ける。
「それじゃあ、俺たちはこいつらと同じイカれた騎士が他にいないか、念のため探してくる」
「分かりました。その間、私はこの者達をしっかり捕縛します」
「あぁ、よろしく頼む」
マーザスに捕縛を任せた男は、仲間達に合図を送ると森の奥へと入っていく。
それを見届けたマーザスは、近くにいた騎士達の前にしゃがみ込む。
「これが、改竄魔法の力」
(300年前、王国と帝国を戦に持ち込んだ禁忌の魔法)
たった1人の人間の魔法で大勢の人間を傀儡にしたという事実に、マーザスは思わず戦慄する。
(もし、術者が相当頭の切れる者だったら、300年前の悪夢が再び蘇ったのかもしれない)
『術者が思ったよりも愚かな思考の持ち主で良かった』と僅かながらに安堵しつつ、マーザスは地に伏せている騎士達に土属性の魔法で身動きがとれないようにした上で、魔道具を使って拘束魔法をかけた。
そして、全員に拘束魔法をかけ終えたマーザスは、索敵に出ていた黒いフードの集団から『この場にいる者以外の騎士はいなかった』と報告を聞くと、彼らと共にカトレア達がいる場所へと戻った。
その反動で、改竄魔法で傀儡にされた騎士達は、呻き声を上げると気絶するようにその場に倒れる。
それを知っていたマーザスは、黒いフードの集団に『死なせない程度にお願いします』とお願いした。
そうすれば、彼らは無効化魔法を纏った武器で騎士達を倒すと踏んだから。
「「「「「ハアッ!!」」」」」」
「「「「「ウガガガガガッ!!!」」」」
マーザスが戦闘開始の合図を受けてすぐ、得物を持った黒いフードの集団は得物に透明な魔力を纏わせると襲い掛かってきた騎士達を一瞬にして地に伏せさせた。
(ヒュー、さすが『帝国の死神』と呼ばれる一族。今回は、彼らには前線役をしてもらったけど……まさか、こうもあっさりと騎士達を無力化するなんて)
あらゆる魔法を無効化する魔法を持つサザランス侯爵一族を有する帝国は、騎士が前線に戦い、宮廷魔法師達は後方で支援し、侯爵一族は宮廷魔法師達の護衛をしながら、騎士達の援護に入る。
これが、フィアンツ帝国の基本的な戦い方だった。
「って、感心している場合じゃないね」
黒いフードの集団の戦いぶりに見惚れていたマーザスは、遠くから現れた騎士達に向かって杖を向ける。
(動きは鈍いうえに、口は開きっぱなしで目にハイライト無し……完全に廃人になっているね)
「このまま参考資料として帝国に連れて帰りたいけど……そんなことをしたら、ロスペルが二度と口を聞いてくれないから止めておこう」
そう言いながら楽しそうに笑ったマーザスは、騎士達に向かって魔法を撃つ。
「《ロックショット》!」
「「「「グガッ!!」」」」
マーザスの魔法で騎士達の動きが止まった瞬間、黒いフードの集団が動きの止まった騎士達を切り伏せる。
(とりあえず、こんなところかな)
騎士達が動かないことを確認したマーザスは、安堵の溜息をついて杖をマジックバックに戻す。
すると、戦いを終えた黒いフードの集団が得物を持ったままマーザスのところにきた。
「マーザス殿、これで終わりか?」
「はい、お疲れ様でした」
ニッコリ笑うマーザスに、黒いフードの集団を率いていた男が不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「フン、全く歯ごたえがなさすぎて準備運動にもならなかったな」
「それは私も同じです。でもまぁ、彼らは改竄魔法によって作られた傀儡なので仕方ないです」
「そうか」
マーザスの言葉に納得した黒いフードの集団を率いていた男は、地に伏せて動かない騎士達を見やると顔を顰める。
「それにしても、王国はこんなにも腑抜けた国になったのか。王国騎士がこの程度の戦力なら、今すぐにでも帝国が攻め入ることが出来るぞ」
他国で堂々と侵略宣言をする男に、マーザスは苦笑しながら彼を宥める。
「それに関してはこの上なく同意しますが……それは偽宰相がとんでもなく愚か者だからということで。本物の宰相が戻ってくれば、また強い国に戻りますよ。それこそ、攻め入るなんて考えられないくらいに」
(陛下も『あの腹黒宰相だけは敵に回したくない』って言っていたしね)
「そう言えば、この国の本当の宰相は我が親戚だったな。確かに、奴ならすぐに出来そうだ」
『帝国の死神』と恐れられているサザランス侯爵家は現在、皇族と交わした古き盟約に従い、表では一地方領主として領地を治めて国政とは距離を置き、裏では皇帝の命に従い、『帝国にあだなす者に対しての粛清』という大事な仕事を担っている。
そんな彼らは、親戚筋にあたるサザランス公爵家についての情報は、もちろん耳に入っていた。
『王国で決して敵に回してはいけない要注意一族』として。
「とはいえ、奴がちゃんとしていたら今頃こうなっていないだろうに」
「それは、そうなのですけど……まぁ、色々と複雑な事情があったのでしょう」
「なんだ、それは? 自分にあだなす者がいたら、その場で叩き切れば良いだけの話ではないのか?」
「アハハハ……」
(そうやって脳筋な考え方をするから、あなた方はいつまで経っても地方領主のままなのですよ)
「けどまぁ、それは魔法にしか興味のない僕も同じか」
「マーザス殿?」
「いや、何でもありません」
誤魔化すように笑ったマーザスに、物騒な二つ名に恥じない極端な考え方をする男が再び不機嫌そうに鼻を鳴らすとマーザスに背を向ける。
「それじゃあ、俺たちはこいつらと同じイカれた騎士が他にいないか、念のため探してくる」
「分かりました。その間、私はこの者達をしっかり捕縛します」
「あぁ、よろしく頼む」
マーザスに捕縛を任せた男は、仲間達に合図を送ると森の奥へと入っていく。
それを見届けたマーザスは、近くにいた騎士達の前にしゃがみ込む。
「これが、改竄魔法の力」
(300年前、王国と帝国を戦に持ち込んだ禁忌の魔法)
たった1人の人間の魔法で大勢の人間を傀儡にしたという事実に、マーザスは思わず戦慄する。
(もし、術者が相当頭の切れる者だったら、300年前の悪夢が再び蘇ったのかもしれない)
『術者が思ったよりも愚かな思考の持ち主で良かった』と僅かながらに安堵しつつ、マーザスは地に伏せている騎士達に土属性の魔法で身動きがとれないようにした上で、魔道具を使って拘束魔法をかけた。
そして、全員に拘束魔法をかけ終えたマーザスは、索敵に出ていた黒いフードの集団から『この場にいる者以外の騎士はいなかった』と報告を聞くと、彼らと共にカトレア達がいる場所へと戻った。
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