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第7章 余興と奇貨の建国祭
第440話 魔法の恐ろしさ
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「……その前に聞いても良いかしら?」
「何だ?」
(落ち着いて、彼らがノルベルトの改竄魔法のせいでおかしくなった確証は得られたけど、持っている武器の出所についてまだ『騎士達から貰った』という確証は得られていない)
フリージアが守ってきた場所を『呪われた場所』と呼んだ村長に怒りを覚えつつ、小さく溜息をついたカトレアが静かに問い質す。
「その剣……いえ、その武器たちはどうやって手に入れたのかしら?」
レクシャがまだ宰相だった頃のペトロート王国では、魔物から己や家族など守るために平民でも武器を持つことを許されていた。
しかし、『貴族至上主義』であるノルベルトが改竄魔法でこの国の宰相になってから、『平民如きが、武器を持つのは相応しくない』というくだらない理由で、平民は武器を持つことを禁じられていた。
(記憶を取り戻す前は何とも思わなかった。けれど、記憶を取り戻した時は思わず『正気?』と思ってしまったわ)
今のカトレアには、平民から武器を取り上げたノルベルトが何をしたかったかさっぱり分からなかった。
だが、そんなノルベルトから武器を持つことを禁じられている平民の手には、鍬やスコップだけではなく、片手剣や槍や双剣などの武器が持たされていた。
「さぁ、答えて頂戴?」
蔑みを含んだ笑みを浮かべるカトレアに、村長はさも当然かのように答える。
「そんなの、神が我らに力を与えたからに決まっているからだろう」
「神ね……」
(どうやら、改竄魔法という魔法は私たちが思っていた以上に厄介な魔法ね)
改竄魔法は術者が対象の記憶の改竄する魔法。
そのため、影響は対象者のみである。
しかし、術者が対象者に改竄魔法を使いすぎると、ごく稀に術者に改竄魔法をかけられた対象者同士で、術者の意に反する命令を術者の命令と勘違いしまうことがある。
(まぁ、この3年間ずっと改竄魔法が使われていたせいで、稀なことが起きてしまったのだろうけど)
マーザスがいたら間違いなく興味が湧くだろう稀有な事態を目の当たりし、カトレアは思わず小さく溜息をつくと、表情を険しくしたラピスが後ろを向く。
「カトレア、やっぱりあれはノルベルトの改竄魔法のせいなのか?」
「そうだけど……これは、ノルベルトの傀儡になった騎士達がノルベルトの命令と勘違いして平民に武器を与えたみたいね」
「そんなことがあるのか?」
「あるみたいよ。師匠の話だと」
「だとしたら、改竄魔法はとても厄介な魔法だったんだな」
(独断を『術者の命令』と勘違いさせてしまうのだから)
カトレアの話をラピスが更に表情を険しくしたその時、愉悦の笑みを浮かべた村長がカトレアとラピスに向かって指をさす。
「さて、お喋りはおしまいだ! お前達、やってしまえ!」
「「「「「うぉ――――――!!!!」」」」
村長の言葉で、村人達が得物を持って一斉にカトレアとラピスに襲い掛かる。
その眼は、ハイライトを無くしていた。
「チッ! カトレア! 一気に行くぞ!」
「えぇ!」
(これ以上、あの子が大切にしていた場所を壊させない!)
ラピスが双剣で黄色と青の魔法陣を展開している後ろで、魔力を練ったカトレアは空に向かって緑色の魔法陣を展開する。
「行くわよ、ラピス! 《ウインドトルネード》!」
「《ウォーターレイン》! 《ライトニング》!」
「「「「うわ――――――!!!!!」」」」
カトレアとラピスを包むように風の渦が現れた瞬間、ラピスが放った雨水と雷が風の渦に入る。
そして、水と電気を含んだ渦が一気に広がると、2人に襲い掛かっていた村人達が一斉に吹き飛んだ。
「……カトレア、加減はしたんだろうな?」
「当たり前でしょ。平民相手に本気の魔法をぶつけたら、フリージアに怒られるわよ」
強力な風に吹き飛ばされ、地面に伏している村人達を見回したカトレアは、魔力を使い過ぎて息が上がっているラピスを見て、マジックバックからポーションを取り出してそのまま差し出す。
「はい、これ」
「ありがとう」
「そっちこそ、加減が出来なくて殺したんじゃないでしょうね?」
「言っておくが、加減が出来ないからこそあえて出力を下げた」
「そう。それじゃあ、少しは師匠から魔力の練りを学んだ方が良いわよ」
「全てを取り戻したら、お前と一緒に教わることにする」
カトレアから貰ったポーションを飲み切ったラピスは、安否確認をしようと村人達に近づこうとしたその時、地面に伏していた村人達がゆっくりと起き上がる。
「これで起きるの!?」
「そのようだな。だが、これでは埒が明かな……」
起き上がった村人達にカトレアとラピスが慌てて構え直した直後、空から勇ましい女性の声が降ってくる。
「2人とも今すぐ伏せなさい!!」
「「っ!」」
(この声って、もしかして!)
「《ウインドトルネード》!!」
「「「「うわぁぁ――――!!!!!」」」」
空から降ってきた声に従い、ラピスがカトレアを庇うように地面に伏せた瞬間、空からカトレアが出した突風以上の強い風が森の木々を揺らしながら辺り一帯に吹き荒れる。
「っ! あなた様は!」
ラピスに守ってもらったカトレアがそっと顔を上げる。
そこには、メイド服を着た淡い緑色の挑発の女性と、黒いローブを着た淡い緑色の短髪の男性が立っていた。
「お久しぶり、カトレアちゃん、ラピス君」
「あなたは……」
「サザランス公爵夫人に師匠!!」
「何だ?」
(落ち着いて、彼らがノルベルトの改竄魔法のせいでおかしくなった確証は得られたけど、持っている武器の出所についてまだ『騎士達から貰った』という確証は得られていない)
フリージアが守ってきた場所を『呪われた場所』と呼んだ村長に怒りを覚えつつ、小さく溜息をついたカトレアが静かに問い質す。
「その剣……いえ、その武器たちはどうやって手に入れたのかしら?」
レクシャがまだ宰相だった頃のペトロート王国では、魔物から己や家族など守るために平民でも武器を持つことを許されていた。
しかし、『貴族至上主義』であるノルベルトが改竄魔法でこの国の宰相になってから、『平民如きが、武器を持つのは相応しくない』というくだらない理由で、平民は武器を持つことを禁じられていた。
(記憶を取り戻す前は何とも思わなかった。けれど、記憶を取り戻した時は思わず『正気?』と思ってしまったわ)
今のカトレアには、平民から武器を取り上げたノルベルトが何をしたかったかさっぱり分からなかった。
だが、そんなノルベルトから武器を持つことを禁じられている平民の手には、鍬やスコップだけではなく、片手剣や槍や双剣などの武器が持たされていた。
「さぁ、答えて頂戴?」
蔑みを含んだ笑みを浮かべるカトレアに、村長はさも当然かのように答える。
「そんなの、神が我らに力を与えたからに決まっているからだろう」
「神ね……」
(どうやら、改竄魔法という魔法は私たちが思っていた以上に厄介な魔法ね)
改竄魔法は術者が対象の記憶の改竄する魔法。
そのため、影響は対象者のみである。
しかし、術者が対象者に改竄魔法を使いすぎると、ごく稀に術者に改竄魔法をかけられた対象者同士で、術者の意に反する命令を術者の命令と勘違いしまうことがある。
(まぁ、この3年間ずっと改竄魔法が使われていたせいで、稀なことが起きてしまったのだろうけど)
マーザスがいたら間違いなく興味が湧くだろう稀有な事態を目の当たりし、カトレアは思わず小さく溜息をつくと、表情を険しくしたラピスが後ろを向く。
「カトレア、やっぱりあれはノルベルトの改竄魔法のせいなのか?」
「そうだけど……これは、ノルベルトの傀儡になった騎士達がノルベルトの命令と勘違いして平民に武器を与えたみたいね」
「そんなことがあるのか?」
「あるみたいよ。師匠の話だと」
「だとしたら、改竄魔法はとても厄介な魔法だったんだな」
(独断を『術者の命令』と勘違いさせてしまうのだから)
カトレアの話をラピスが更に表情を険しくしたその時、愉悦の笑みを浮かべた村長がカトレアとラピスに向かって指をさす。
「さて、お喋りはおしまいだ! お前達、やってしまえ!」
「「「「「うぉ――――――!!!!」」」」
村長の言葉で、村人達が得物を持って一斉にカトレアとラピスに襲い掛かる。
その眼は、ハイライトを無くしていた。
「チッ! カトレア! 一気に行くぞ!」
「えぇ!」
(これ以上、あの子が大切にしていた場所を壊させない!)
ラピスが双剣で黄色と青の魔法陣を展開している後ろで、魔力を練ったカトレアは空に向かって緑色の魔法陣を展開する。
「行くわよ、ラピス! 《ウインドトルネード》!」
「《ウォーターレイン》! 《ライトニング》!」
「「「「うわ――――――!!!!!」」」」
カトレアとラピスを包むように風の渦が現れた瞬間、ラピスが放った雨水と雷が風の渦に入る。
そして、水と電気を含んだ渦が一気に広がると、2人に襲い掛かっていた村人達が一斉に吹き飛んだ。
「……カトレア、加減はしたんだろうな?」
「当たり前でしょ。平民相手に本気の魔法をぶつけたら、フリージアに怒られるわよ」
強力な風に吹き飛ばされ、地面に伏している村人達を見回したカトレアは、魔力を使い過ぎて息が上がっているラピスを見て、マジックバックからポーションを取り出してそのまま差し出す。
「はい、これ」
「ありがとう」
「そっちこそ、加減が出来なくて殺したんじゃないでしょうね?」
「言っておくが、加減が出来ないからこそあえて出力を下げた」
「そう。それじゃあ、少しは師匠から魔力の練りを学んだ方が良いわよ」
「全てを取り戻したら、お前と一緒に教わることにする」
カトレアから貰ったポーションを飲み切ったラピスは、安否確認をしようと村人達に近づこうとしたその時、地面に伏していた村人達がゆっくりと起き上がる。
「これで起きるの!?」
「そのようだな。だが、これでは埒が明かな……」
起き上がった村人達にカトレアとラピスが慌てて構え直した直後、空から勇ましい女性の声が降ってくる。
「2人とも今すぐ伏せなさい!!」
「「っ!」」
(この声って、もしかして!)
「《ウインドトルネード》!!」
「「「「うわぁぁ――――!!!!!」」」」
空から降ってきた声に従い、ラピスがカトレアを庇うように地面に伏せた瞬間、空からカトレアが出した突風以上の強い風が森の木々を揺らしながら辺り一帯に吹き荒れる。
「っ! あなた様は!」
ラピスに守ってもらったカトレアがそっと顔を上げる。
そこには、メイド服を着た淡い緑色の挑発の女性と、黒いローブを着た淡い緑色の短髪の男性が立っていた。
「お久しぶり、カトレアちゃん、ラピス君」
「あなたは……」
「サザランス公爵夫人に師匠!!」
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