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第7章 余興と奇貨の建国祭
第441話 母と共に
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――時は、カトレア達が村人達と対峙していた頃まで遡る。
「ハアッ!」
「おりゃあ!!」
「《ウインドカッター》!」
「《ライトニングジャベリング》!」
「「「グガガッ!!!!」」」
「「「うわ―――――!!!!」」」
帝国から派遣された『帝国の死神』達と共に、ペトロート王国の北側の魔法陣の奪還を任されていたシュタール辺境伯家は、カトレア達と同様、『帝国の死神』を守りつつノルベルトの傀儡と化した騎士達の妨害や魔物達に対処していた。
そんな中、 シュタール辺境伯夫人の侍女として主リリアナを守っていたマドレットことティアーヌは、彼女と一緒に魔法で騎士達の後方支援をしていた。
「フゥ、これで最後ね。《ウインドアロー》!」
安堵の溜息をついたティアーヌが得意の風属性の中級魔法で最後の魔物を仕留めると、少し離れた場所で黒々と光っていた魔法陣が白く光り、魔法陣から魔物達が現れることがなくなった。
「どうやら、終わったみたいね」
(さすが、夫の親戚ね)
サザランス公爵家に嫁いで早30年近く。
ティアーヌは、夫が無効化魔法を使っているところを幾度となく見てきた。
だから、無効化魔法については人並み以上に知識はあった。
それでも、ティアーヌは『無効化魔法が魔法陣の中にある魔力を無効化出来た』という場面を目の当たりにし、改めて無効化魔法の凄さに驚く。
すると、リリアナの隣で陣頭指揮を執りつつ、魔法で騎士達の後方支援をしていたシュタール辺境伯家当主ジェレミがティアーヌに話しかける。
「さすが、サザランス公爵夫人。見事なお手前です」
「いえ、私はただ奥様の侍女として果たすべき役割とこなしただけです」
「それにしては、騎士達から一目置かれていましたが?」
「気のせいかと」
「そうですか」
妻の侍女マドレットに戻ったティアーヌの淡々とした答えを聞き、楽しそうな笑みを浮かべたジェレミは、すぐさま笑みを潜めると、騎士や魔法達に魔石の回収と他に魔物がいないか見回りと指示する。
その時、上空から白い仮面を身につけ、銀色の杖を持ち、黒くローブを纏った男が音を立てることもなくシュタール辺境伯達の前に現れる。
「誰だ、貴様!!」
突然現れた怪しげな男にその場にいた騎士達が一斉に剣を構えると、黒ローブの男はシュタール辺境伯に静かに傅く。
「ご無沙汰しております、シュタール辺境伯様」
「あなたはっ!?」
男の声に聞き覚えがあったジェレミは、すぐさま剣を向けている騎士達に命令を下す。
「お前達、剣を下ろして仕事に戻れ! この方は、宰相閣下殿の使者だ!」
未だにノルベルトの改竄魔法にかけられ、『国の運命を左右する極秘任務』としか聞かされていない騎士達は、血相を欠くジェレミの口から出た『宰相閣下』という言葉に、恐れ戦くと慌てて剣を下ろすと仕事に戻った。
それを見届けたジェレミは、小さく息を吐くと目の前で傅いているローブの男を立たせる。
「どうしたんだよ、ロスペル君。君は確か、レクシャ様からの命令で王都にいるノルベルト達の動きを監視していたのでないのか?」
レクシャから作戦の概要を聞いていたジェレミは、ロスペルが来ることを聞かされていなかった。
だから、この場にロスペルがいることが不思議でならなかった。
心配そうに見つめるジェレミに、僅かに目を細めたロスペルは実の母であるティアーヌを一瞥するとジェレミにここに来た理由を告げる。
「父上から『私と母で現在、フリージアが住んでいた場所を焼け野原にしようとしている村人達を既に現場に駆けつけているカトレア嬢やラピス君と共に止めよ』という命令を受け、こちらに参った次第です」
「何ですって!?」
(前に、夫から手紙で聞いていたあの場所が村人達の手で!?)
リリアナの隣で聞いていたティアーヌが思わず声を上げるのをよそに、啞然としているシュタール辺境伯にロスペルは話を続ける。
「あの場所は、フリージアだけでなくエドガスにとって思い出深い場所なのです。ですので、父上の命令でそこにいる母上と共に駆けつけよと」
「だが、どうしてティアーヌ様まで連れて行くことがある? 『稀代の天才魔法師』である君なら1人で対処出来るだろう?」
「そうですが……いかんせん数が多いので、こちらも数で対応しようかと。『その方が、来る決戦に魔力を温存出来るのではないか』と父上が」
「なるほど。確かに、君の魔力を村人達のために消耗させるのは得策ではないな。となると、ここはあえて数で勝負した方が分散させた方が良いのか」
ロスペルから話を聞いたジェレミは、少しだけ思案を巡らせるとリリアナの隣で唖然としているティアーヌに目を向ける。
「ティアーヌ様、ロスペル君と一緒に行ってください」
「よろしいのですか?」
(ここには、シュタール辺境伯以外魔法を扱える者がいないのでは?)
不安げに見つめるティアーヌに、ジェレミは優しく微笑みかける。
「大丈夫ですよ。ここにいる者達は、騎士も魔法師も全員が精鋭です。それに、騎士達の中にも魔法に長けている者がいますから安心して行ってきてください」
「……分かったわ」
(あなたが言うなら、その言葉を信じましょう)
侍女のカチューシャを外したティアーヌは、黒髪黒目から淡い緑色に青色の瞳に戻すと、ロスペルから差し出された手を取る。
「ロスペル、行くわよ!」
「はい! 《テレポート》!」
ロスペルの転移魔法でその場に2人の姿が消えると、ジェレミは既に仕事を終えて隊列を組んでいる騎士達に『次の魔法陣に行くぞ』という命令を出した。
「ハアッ!」
「おりゃあ!!」
「《ウインドカッター》!」
「《ライトニングジャベリング》!」
「「「グガガッ!!!!」」」
「「「うわ―――――!!!!」」」
帝国から派遣された『帝国の死神』達と共に、ペトロート王国の北側の魔法陣の奪還を任されていたシュタール辺境伯家は、カトレア達と同様、『帝国の死神』を守りつつノルベルトの傀儡と化した騎士達の妨害や魔物達に対処していた。
そんな中、 シュタール辺境伯夫人の侍女として主リリアナを守っていたマドレットことティアーヌは、彼女と一緒に魔法で騎士達の後方支援をしていた。
「フゥ、これで最後ね。《ウインドアロー》!」
安堵の溜息をついたティアーヌが得意の風属性の中級魔法で最後の魔物を仕留めると、少し離れた場所で黒々と光っていた魔法陣が白く光り、魔法陣から魔物達が現れることがなくなった。
「どうやら、終わったみたいね」
(さすが、夫の親戚ね)
サザランス公爵家に嫁いで早30年近く。
ティアーヌは、夫が無効化魔法を使っているところを幾度となく見てきた。
だから、無効化魔法については人並み以上に知識はあった。
それでも、ティアーヌは『無効化魔法が魔法陣の中にある魔力を無効化出来た』という場面を目の当たりにし、改めて無効化魔法の凄さに驚く。
すると、リリアナの隣で陣頭指揮を執りつつ、魔法で騎士達の後方支援をしていたシュタール辺境伯家当主ジェレミがティアーヌに話しかける。
「さすが、サザランス公爵夫人。見事なお手前です」
「いえ、私はただ奥様の侍女として果たすべき役割とこなしただけです」
「それにしては、騎士達から一目置かれていましたが?」
「気のせいかと」
「そうですか」
妻の侍女マドレットに戻ったティアーヌの淡々とした答えを聞き、楽しそうな笑みを浮かべたジェレミは、すぐさま笑みを潜めると、騎士や魔法達に魔石の回収と他に魔物がいないか見回りと指示する。
その時、上空から白い仮面を身につけ、銀色の杖を持ち、黒くローブを纏った男が音を立てることもなくシュタール辺境伯達の前に現れる。
「誰だ、貴様!!」
突然現れた怪しげな男にその場にいた騎士達が一斉に剣を構えると、黒ローブの男はシュタール辺境伯に静かに傅く。
「ご無沙汰しております、シュタール辺境伯様」
「あなたはっ!?」
男の声に聞き覚えがあったジェレミは、すぐさま剣を向けている騎士達に命令を下す。
「お前達、剣を下ろして仕事に戻れ! この方は、宰相閣下殿の使者だ!」
未だにノルベルトの改竄魔法にかけられ、『国の運命を左右する極秘任務』としか聞かされていない騎士達は、血相を欠くジェレミの口から出た『宰相閣下』という言葉に、恐れ戦くと慌てて剣を下ろすと仕事に戻った。
それを見届けたジェレミは、小さく息を吐くと目の前で傅いているローブの男を立たせる。
「どうしたんだよ、ロスペル君。君は確か、レクシャ様からの命令で王都にいるノルベルト達の動きを監視していたのでないのか?」
レクシャから作戦の概要を聞いていたジェレミは、ロスペルが来ることを聞かされていなかった。
だから、この場にロスペルがいることが不思議でならなかった。
心配そうに見つめるジェレミに、僅かに目を細めたロスペルは実の母であるティアーヌを一瞥するとジェレミにここに来た理由を告げる。
「父上から『私と母で現在、フリージアが住んでいた場所を焼け野原にしようとしている村人達を既に現場に駆けつけているカトレア嬢やラピス君と共に止めよ』という命令を受け、こちらに参った次第です」
「何ですって!?」
(前に、夫から手紙で聞いていたあの場所が村人達の手で!?)
リリアナの隣で聞いていたティアーヌが思わず声を上げるのをよそに、啞然としているシュタール辺境伯にロスペルは話を続ける。
「あの場所は、フリージアだけでなくエドガスにとって思い出深い場所なのです。ですので、父上の命令でそこにいる母上と共に駆けつけよと」
「だが、どうしてティアーヌ様まで連れて行くことがある? 『稀代の天才魔法師』である君なら1人で対処出来るだろう?」
「そうですが……いかんせん数が多いので、こちらも数で対応しようかと。『その方が、来る決戦に魔力を温存出来るのではないか』と父上が」
「なるほど。確かに、君の魔力を村人達のために消耗させるのは得策ではないな。となると、ここはあえて数で勝負した方が分散させた方が良いのか」
ロスペルから話を聞いたジェレミは、少しだけ思案を巡らせるとリリアナの隣で唖然としているティアーヌに目を向ける。
「ティアーヌ様、ロスペル君と一緒に行ってください」
「よろしいのですか?」
(ここには、シュタール辺境伯以外魔法を扱える者がいないのでは?)
不安げに見つめるティアーヌに、ジェレミは優しく微笑みかける。
「大丈夫ですよ。ここにいる者達は、騎士も魔法師も全員が精鋭です。それに、騎士達の中にも魔法に長けている者がいますから安心して行ってきてください」
「……分かったわ」
(あなたが言うなら、その言葉を信じましょう)
侍女のカチューシャを外したティアーヌは、黒髪黒目から淡い緑色に青色の瞳に戻すと、ロスペルから差し出された手を取る。
「ロスペル、行くわよ!」
「はい! 《テレポート》!」
ロスペルの転移魔法でその場に2人の姿が消えると、ジェレミは既に仕事を終えて隊列を組んでいる騎士達に『次の魔法陣に行くぞ』という命令を出した。
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