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第7章 余興と奇貨の建国祭
第442話 再会と状況
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「サザランス公爵夫人!」
「それに、師匠も!」
頭上から突風と共に降りてきたティアーヌとロスペルに、カトレアとラピスは驚きを隠せなかった。
そんな2人を見て、一瞬目を見開いたティアーヌはいたずらっ子のような笑みを浮かべる。
「あら、記憶が戻ったって本当だったのね」
「その言い方だと、父さんの話を信じていなかったように聞こえるのですが?」
「あら、あの人のことは信じていたわよ。ただ……」
(この目で見るまで半信半疑だったのよ。フリージアと仲良くしてくれたあの2人が、ノルベルトの手から逃れたということを)
それは、建国祭の約1ヶ月前。
インホルトから渡された手紙でレクシャの現状を知ったティアーヌは、帝国でカトレアとラピスが記憶を取り戻し、こちらの味方についたことを知った。
けれど、侍女として働きつつ、辺境伯家に働く人達やそれを取り巻く人達を毎日観察していたティアーヌは、愛する夫の言葉とはいえ、素直に信じることが出来なかった。
(けれど、2人を見てようやく信じることが出来たわ)
「2人とも、あの子の……娘の味方になってくれてありがとう」
慈悲深い笑顔で感謝を伝えるティアーヌに、揃って目を見開いたカトレアとラピスが互いに顔を見合わせると、笑みを浮かべてティアーヌに向かって深く頷く。
「当然です、なにせ、私たちはフリージア嬢の友人ですから」
「そうです! 私にとって、フリージアはこの世界で唯一無二の親友ですから!」
「そう」
(それなら、さっさと、ここにいる村人達をどうにかしないといけないわね!)
娘の友人達の頼もしさに、ティアーヌが思わず笑みを零すとロスペルの魔法で倒れていた村人達がむくりと立ち上がる。
「ヘヘッ、この程度で俺たちが倒れるかよ」
下卑た笑みを浮かべる村長に、ティアーヌが心底意外そうな顔をする。
「あら? 一応、この国で一番の魔法師が少しだけ手加減した魔法なのだけど……」
「ほう、貴族のくせに手加減とは、平民に対して随分と優しいのだな」
「あの、僕たちも一応、今はあなた方と同じ平民なのですけどね」
(まぁ、貴族であることは間違っていないけれど)
「師匠! その村人達に魔法の類は一切通用しません!」
「そのようですね」
カトレアの言葉にロスペルが呆れながら同意すると、不快そうに眉を顰めるティアーヌが小声で囁く。
「ねぇ、あれって本当に人間? 手加減したとはいえ、上級魔法なんてまともに当たったら一日は寝込むんじゃないの?」
「そうですね。魔法の修練を積んでいない者が上級魔法を食らったらそうなるでしょう。けれど、彼らはノルベルトの改竄魔法にかけられた人間ですから」
「……つまり、村人達にまともに魔法を当てても無駄ってこと?」
「えぇ、今の彼らは生きた屍みたいなものですよ」
(大方、カトレア嬢とラピス君も村人達が屍状態のせいで苦戦を強いられそうになったのでしょう)
術者の改竄魔法によって、改竄された記憶が多ければ多いほど、自身の人格に影響を及ぼす。
そして、度を超えてしまった場合、対象者の痛覚は遮断された状態になる。
(昔、フィアンツ帝国に留学した時に文献で読んだことがあるけど……まさか、直接お目にかかるとは思わなかった)
「あのバカ兄弟子がこの光景を見たら、絶対に目を輝かせるでしょうね」
「ロスペル?」
「いえ、何でもありません」
兄弟子のことが脳裏を過り、溜息をついたロスペルは視線を前に戻す。
値踏みするような目でこちらを見つつ、村人達が落ちた得物を手に取り、ロスペル達に向かって殺気を放ちながら得物を構える。
(とはいえ、並みの魔法が効かないとなると思った以上に深刻だね)
事態を重く受け止めたロスペルは、銀色の杖を構えると杖に刻まれた魔法陣の1つを一瞥して大きく深呼吸をする。
「仕方ありません、こうなったら無理矢理彼らを正気に戻しましょう」
「それに、師匠も!」
頭上から突風と共に降りてきたティアーヌとロスペルに、カトレアとラピスは驚きを隠せなかった。
そんな2人を見て、一瞬目を見開いたティアーヌはいたずらっ子のような笑みを浮かべる。
「あら、記憶が戻ったって本当だったのね」
「その言い方だと、父さんの話を信じていなかったように聞こえるのですが?」
「あら、あの人のことは信じていたわよ。ただ……」
(この目で見るまで半信半疑だったのよ。フリージアと仲良くしてくれたあの2人が、ノルベルトの手から逃れたということを)
それは、建国祭の約1ヶ月前。
インホルトから渡された手紙でレクシャの現状を知ったティアーヌは、帝国でカトレアとラピスが記憶を取り戻し、こちらの味方についたことを知った。
けれど、侍女として働きつつ、辺境伯家に働く人達やそれを取り巻く人達を毎日観察していたティアーヌは、愛する夫の言葉とはいえ、素直に信じることが出来なかった。
(けれど、2人を見てようやく信じることが出来たわ)
「2人とも、あの子の……娘の味方になってくれてありがとう」
慈悲深い笑顔で感謝を伝えるティアーヌに、揃って目を見開いたカトレアとラピスが互いに顔を見合わせると、笑みを浮かべてティアーヌに向かって深く頷く。
「当然です、なにせ、私たちはフリージア嬢の友人ですから」
「そうです! 私にとって、フリージアはこの世界で唯一無二の親友ですから!」
「そう」
(それなら、さっさと、ここにいる村人達をどうにかしないといけないわね!)
娘の友人達の頼もしさに、ティアーヌが思わず笑みを零すとロスペルの魔法で倒れていた村人達がむくりと立ち上がる。
「ヘヘッ、この程度で俺たちが倒れるかよ」
下卑た笑みを浮かべる村長に、ティアーヌが心底意外そうな顔をする。
「あら? 一応、この国で一番の魔法師が少しだけ手加減した魔法なのだけど……」
「ほう、貴族のくせに手加減とは、平民に対して随分と優しいのだな」
「あの、僕たちも一応、今はあなた方と同じ平民なのですけどね」
(まぁ、貴族であることは間違っていないけれど)
「師匠! その村人達に魔法の類は一切通用しません!」
「そのようですね」
カトレアの言葉にロスペルが呆れながら同意すると、不快そうに眉を顰めるティアーヌが小声で囁く。
「ねぇ、あれって本当に人間? 手加減したとはいえ、上級魔法なんてまともに当たったら一日は寝込むんじゃないの?」
「そうですね。魔法の修練を積んでいない者が上級魔法を食らったらそうなるでしょう。けれど、彼らはノルベルトの改竄魔法にかけられた人間ですから」
「……つまり、村人達にまともに魔法を当てても無駄ってこと?」
「えぇ、今の彼らは生きた屍みたいなものですよ」
(大方、カトレア嬢とラピス君も村人達が屍状態のせいで苦戦を強いられそうになったのでしょう)
術者の改竄魔法によって、改竄された記憶が多ければ多いほど、自身の人格に影響を及ぼす。
そして、度を超えてしまった場合、対象者の痛覚は遮断された状態になる。
(昔、フィアンツ帝国に留学した時に文献で読んだことがあるけど……まさか、直接お目にかかるとは思わなかった)
「あのバカ兄弟子がこの光景を見たら、絶対に目を輝かせるでしょうね」
「ロスペル?」
「いえ、何でもありません」
兄弟子のことが脳裏を過り、溜息をついたロスペルは視線を前に戻す。
値踏みするような目でこちらを見つつ、村人達が落ちた得物を手に取り、ロスペル達に向かって殺気を放ちながら得物を構える。
(とはいえ、並みの魔法が効かないとなると思った以上に深刻だね)
事態を重く受け止めたロスペルは、銀色の杖を構えると杖に刻まれた魔法陣の1つを一瞥して大きく深呼吸をする。
「仕方ありません、こうなったら無理矢理彼らを正気に戻しましょう」
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