王太子様お願いです。今はただの毒草オタク、過去の私は忘れて下さい

シンさん

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何をしてでも

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窓の外を見ていても、特に変わった様子はないけど…。何か作戦でもあるのかしら。

「馬車もなければ、怪しい人影もないわ…。」
「人影がないからこそ、来ると思わないか?」
「…そうね。」

馬車はただ走るだけ。

「ねぇ、もしかして、ただ馬車に乗っていれば相手が襲ってくるとでも思っているの?」
「ここに護衛が乗っていないとわかれば、来る確率は高い。」
「…護衛……まさか…」
「署にわざと置いてきた。」

何を言ってるのこの人!!

「もし大勢に襲われたらどうするの?私と御者じゃ、貴方を護れないわよっ!?」
「何故護る対象が俺なんだ。普通は女だ。」

この人……お母さんをはるかに超えて、娘を大切にしすぎるお父さんだわ…。

「身分を考えて!貴方は王太子なのっ!」
「誰かにとって誰かが特別なのであれば、それは俺じゃなくて家族や友人、皆そうだろう。だからマオのようになる。リズの言うとおり、遅かれ早かれだ。」
「……」

その通りだけど、本当にそれだけ?


「セドリック殿下、後ろから馬車がつけてきます。警察のもののようです。」
「そうか。」

窓から後ろを見れば、本当に馬車がいる。

「あれがそうかは解らないが、1度とまれ。」
「はい。」
「駄目よ!ここで止まったら、それこそ逃げられないわ!」

私達の乗る馬車が止まったのは細い路地。挟み込まれれば逃げ場はない。

後ろの馬車から警官が2人出てきて、私達の馬車に近づいてきた。
「何かようか?」
「殿下が護衛を付けずに出ていってしまったというので、自分達が追いかけて参りました。」
「…誰に道を聞いた?」
「護衛の者に。」
「なら護衛はどこにいる。」
「後から来ます。」
「では、そのまま後を付いてこい。」
「それは出来ません。私達もこの馬車でご一緒に。」

警官はセドリックに銃をむけた。

「無礼だぞ。殺されたいのか。」
「おい!御者、お前らは降り…」
パンパンッ
「うぐぁ…」
もう1人の警官は、そう言い終わる時には撃たれていた。私達に銃をむけていた警官が、そっちに気をとられている時にそれは起こった

パンパンッ
「ぐぁああっ」

セドリックが男を撃った。

「……」

この人達は内通者なのかもしれない。けど、そうじゃない場合だってある。それでも容赦なく撃った。死んでないけれど、初めて見る冷酷なセドリックの顔を見て、私は声が出なかった。


今まで気がつかなかったけど、御者は2人いた。
顔をよく見れば1人は長官で、1人は陸軍総司令官。
…そうじゃなきゃセドリックを私と2人きりで乗せたりはしないわよね。

けど、2人のどちらかが撃ったのならわかる。セドリックが人を撃つなんて…。

「この道を選んだのは司令官だ。挟み込まれれば逃げられないのは向こうも同じ。そうじゃなくても、方向転換は出来ない。この馬車の前にもう1台馬車を止めてある。俺達はそれで帰る。」
「…この人達で、間違いないの?」
「間違えると思うか?」

そうだよね。長官と司令官の2人が乗ってるんだから。

「俺が撃つと思わなかったか?」
「…ええ。」
「やらなければいけないなら、俺はやる。」
「命令…だった?」
「………」
「撃ちたくなかったって事?」
「言われたままにしただけだ。」

私は私の意思で自分勝手に動いてるけど、セドリックは違う。私がここに来なければ人を撃つこともなかったんだよね。

「…どうして断らなかったの?」
「別に、殺してはいない。」
「そう…だけど……」
「『馬車から突き落とす』それと何か違うか?」

違うわよ…。
貴方はこの人を撃ったのは、命令されていたからよ。私とは違うの。
大変な事をしてしまったかもしれない。

セドリックは、何か大切な物を失くしてしまったかもしれない。

『命令されれば自分は人を殺す事もしてしまうんだ』…って、そう思うかもしれない。

今までと、この状況は全然違うわ…。

「私を助ける為に、自分から撃とうと思ったの…?」

「…そうだ。」

すぐに『そうだ』と言って欲しかった。それならまだ安心できる。

「ねぇ、答えて…。貴方は人を撃とうと何故判断したの?」

侯爵夫妻の事は大事よ。助けられるならこの状況も受け入れるわ。私なら躊躇わず撃つ。

でも、銃をじっと見てるセドリックは違う。私と話をしていた時も、きっとどこかで自分に言い聞かせていたんだわ。

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