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疑惑2

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案内されたのは2階。そこは全て誘拐事件にまつわる部屋になっているらしい。
「ありがとう。ここからは私1人で大丈夫よ。」

これだけ大きな所で誰でも出入り出来るなら、情報だなんて筒抜けね。

「ミリオン様、こんなところでどうなさいましたか?」
「皆様が頑張っているようなので、私が思い出した事件の状況をお伝えしようかと考えたのですが、出来ればこの事件担当の重役に。」
「そうでしたか。では、こちらへ。」

大きく事件を取り扱ってるわりに、大して頑張ってる人はいないわね。私が来て、一斉に雑談と笑い声が消えたもの。まるで学校ね。

事件があった場所も時間も名前も、全員知っているのかしら。私の場合は未遂で終わってるから、知ってるのでしょうけど…。

コンコン
連れていかれたのは、ヒョロっとした色の白い男がいる部屋。
「失礼いたします。エリザベス・ミリオンと申します。」

書類か何かに目を通してはいるけど、振りだわ。私には名も名乗りたくないし、目も合わせたくないのかしら。

「私を拐った時の馬車を見せて欲しいのだけど。」
「……」
「貴方には耳も口も無いのかしら。」
「……」
「いいわ。貴方に言わなくても他の人に言うから。」

この人では無理だわ。本当の上司ではないもの。あの机にはダニエル・ホワイトと書いてあったわ。副長官の名よ。ガッシリした白髪混じりの人。そこに別人が座ってるんだから。

結局大して何も収穫なし。後4日、焦りは禁物よ。


「……セドリック様……まだここにいらっしゃったのですね。」

私を迎えにくるはずの馬車はなくて、別の大きな馬車が入り口の前に止まっていた。そこには王太子様が乗っている…。

「心配性だと言われた事はありませんか?」
「ない。」
無いわけがないわ。

「帰るぞ。」
「一緒に?」
「同じところに帰るのに、何故別々に帰る必要があるんだ?」
「まぁ、そうですね。」

どうしようかな。何かあった時の為にナイフを持ってきてるけど、セドリックに何かあった時に助けるような装備がないわ。

「エリザベス、今から犯人探しをする。気をつけてくれ。」
「犯人探し?この街を?そんなの無理です…。」

そんな事が出来るなら、私は既にやってるわよ。

「囮なら2人の方が奴らもかかりやすい。それに、別々なら助けてやれない。」
「……囮って、貴方は王太子なのよ!?」
「関係ない。窓は開けておく、俺は右、リズは左を見ていてくれ。」
「何を考えてるの…。」
「……」
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