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火蓋
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「長官、この事件に関わる人がわかりました。『人を脅して尋問できる人』と、『犯人達を殺すのを躊躇わない人』を出来るだけ沢山集めて下さい!今すぐコックス邸へ行きます。」
「コックス伯爵?」
「ええ。ここからが勝負です。それから、私は副長官に誘拐されたのではありません…。そう進めてください。」
長官は何も言わなかったけど、察してくれた。それは顔を見ればわかる。
「邸には馬で行きます。」
「……」
「…っ考えてる暇なんてないのっ!!さっさと答えを出してっ!出来ないなら1人で行くわっ!逃げられるわよっ!!」
勉強だって運動だって、2人の為に役に立ちそうな事なら何だって努力してきたわ。もちろん馬術もよ。…けど、頑張っても方向音痴はなおらなかった。本当は1人でなんて迷って行けない!絶対についてきてもらわなきゃ困る…!
「いいだろう。5分後、病院の正面で。」
「お願いします!」
その間に病院にある薬瓶を数本くすねた。…何故か凄い毒薬がある。今は役に立つなら何でもいいわ。
一緒に来たのは長官と司令官と直属の部下。
コックス邸は遠くはない。王都にある邸に絶対にいる。副長官とやりとりするなら領土に戻ったりしない。
それでも着いたのは夕方。
私と長官の誘拐が失敗しているのは知ってるはず。もう逃げているかもしれないから、あちこちで馬車検問をしてる。
邸に明かりはついてる。
ベルをならすと出てきたのは年老いたメイドが1人。けど、化けてるだけだわ。顔は皺を作っているけど首は綺麗だもの。人の年齢と性別は、大概は手と首に出るわ。
「グリーはいますか?エリザベスが遊びに来たと伝えてください。」
「坊っちゃんはここにはいません。」
「では何処に?」
そう言って私の横からスッと出てきたのは司令官。
「家中探せ。」
「ハッ!」
司令官は兵士を3人をコックス邸に入れた。
「ちょっとっ!勝手に何をっ!」
「答えてもらおう。息子まで殺したくはないだろう?」
「…っ!?」
指令官が言うと、メイドの顔が青くなった。
「今回の事件は一家で罪を被っても足りない。領地返上、そうなると爵位も剥奪される。もちろん断罪も免れない。だが息子の命だけでも助けてやるなら今だぞ。口添えはしてやる。」
「…指令官…まさか…」
「ああ、この女は伯爵夫人だ。」
何故そんな事が…?彼女が夫人だと解る何かがあるの?
私の頭の中を読んだように、指令官は答えてくれた。
「彼女の瞳は少し青みがかっていた。だから伯爵はわざと彼女を残した。検問であおい瞳の女がいるとわかれば足がつくからだ。」
「……ううぅ」
それを聞いて夫人が踞って泣き出した。
解ってたんだ…。けど、言いなりになるしかなかったんだわ。
この人はお金で買われたようなものなんだから。
「…2人が何処へ行ったのかわかりますかっ?」
私が聞くと、夫人は首を横にふった。
「何でもいいのっ!!いつも行くところだとか!隠れられそうな場所とか!匿ってくれそうな人とか!」
検問にひっかかってなければ逃げられる。お父様の事を聞けない!誰よりも早く捕まえて、犯人を突き止めないと!
「私には何も教えて貰えませんでした。」
「グリーがどうな……っ」
私は言おうと思ってた言葉を途中で止めてしまった。司令官の圧力…空気の重さを感じたから。
「金は?どうやって手に入れてきた?伯爵家は裕福だが、領土が改善されたかと言えばそうじゃない。そんなにすぐには立て直せない。」
「どこからなのかは解りません。」
「…全く予想がつかなかった訳ではないだろう。
「……」
「娘を誘拐された貴族は大量に金を払ってる。伯爵が何をして大金を手にしているのか解らないのであれば、そこに関わっているのではないかと想像できないはずがない。結局、自分が贅沢する為、その為に警察に相談にも来なかった。断罪は当然という訳だ。ただ、息子は親を選べない。そう陛下には言っておこう。」
「…っ!?」
「陛下まで動いていると思わなかったのか。そんな甘い考えだから家が傾くんだ。さっさと言え。穏便に事を運びたい。もし逆らえば、その場で射殺命令をだしている。その時は子供も大人も関係ない。」
「そんな…グリーは関係ありませんっ!」
「では、誰が関係していた?お前達は罪もない女性達を被害者にした事を忘れるな。言わなければ息子の首を最初に跳ねる。最後が貴様だ。目を背けても、声は聞こえるぞ。泣き叫ぶ声だ。『母上、助けて』…とな。」
それを聞いて、夫人の涙を溢しながら言った。
「…港へ…行ったんじゃないかと…思います……。」
「っ港!?船にのって逃げるつもり!?」
冗談じゃないわ…伯爵に逃げられると誰が犯人だかわからなくなるじゃないっ!
「司令官!早くっ!」
「港は封鎖するよう命令を出してある。そっちは海軍に任せよう。」
…っ駄目なのよ!私が最初に捕まえないと!!
走り出そうとする私の前を塞ぐように長官が来た。
「エリザベス嬢、君なら何処へ行く?」
「私なら?」
「安全な場所は何処だと思う?」
「……家」
「ミリオン侯爵邸?」
それに答えず、私は長官を引っ張って軍馬に乗った。
「早く、私の家まで案内してくださいっ!!」
絶対家よ…!
脅されてるのだから、そこにつけこまないはずない!
「コックス伯爵?」
「ええ。ここからが勝負です。それから、私は副長官に誘拐されたのではありません…。そう進めてください。」
長官は何も言わなかったけど、察してくれた。それは顔を見ればわかる。
「邸には馬で行きます。」
「……」
「…っ考えてる暇なんてないのっ!!さっさと答えを出してっ!出来ないなら1人で行くわっ!逃げられるわよっ!!」
勉強だって運動だって、2人の為に役に立ちそうな事なら何だって努力してきたわ。もちろん馬術もよ。…けど、頑張っても方向音痴はなおらなかった。本当は1人でなんて迷って行けない!絶対についてきてもらわなきゃ困る…!
「いいだろう。5分後、病院の正面で。」
「お願いします!」
その間に病院にある薬瓶を数本くすねた。…何故か凄い毒薬がある。今は役に立つなら何でもいいわ。
一緒に来たのは長官と司令官と直属の部下。
コックス邸は遠くはない。王都にある邸に絶対にいる。副長官とやりとりするなら領土に戻ったりしない。
それでも着いたのは夕方。
私と長官の誘拐が失敗しているのは知ってるはず。もう逃げているかもしれないから、あちこちで馬車検問をしてる。
邸に明かりはついてる。
ベルをならすと出てきたのは年老いたメイドが1人。けど、化けてるだけだわ。顔は皺を作っているけど首は綺麗だもの。人の年齢と性別は、大概は手と首に出るわ。
「グリーはいますか?エリザベスが遊びに来たと伝えてください。」
「坊っちゃんはここにはいません。」
「では何処に?」
そう言って私の横からスッと出てきたのは司令官。
「家中探せ。」
「ハッ!」
司令官は兵士を3人をコックス邸に入れた。
「ちょっとっ!勝手に何をっ!」
「答えてもらおう。息子まで殺したくはないだろう?」
「…っ!?」
指令官が言うと、メイドの顔が青くなった。
「今回の事件は一家で罪を被っても足りない。領地返上、そうなると爵位も剥奪される。もちろん断罪も免れない。だが息子の命だけでも助けてやるなら今だぞ。口添えはしてやる。」
「…指令官…まさか…」
「ああ、この女は伯爵夫人だ。」
何故そんな事が…?彼女が夫人だと解る何かがあるの?
私の頭の中を読んだように、指令官は答えてくれた。
「彼女の瞳は少し青みがかっていた。だから伯爵はわざと彼女を残した。検問であおい瞳の女がいるとわかれば足がつくからだ。」
「……ううぅ」
それを聞いて夫人が踞って泣き出した。
解ってたんだ…。けど、言いなりになるしかなかったんだわ。
この人はお金で買われたようなものなんだから。
「…2人が何処へ行ったのかわかりますかっ?」
私が聞くと、夫人は首を横にふった。
「何でもいいのっ!!いつも行くところだとか!隠れられそうな場所とか!匿ってくれそうな人とか!」
検問にひっかかってなければ逃げられる。お父様の事を聞けない!誰よりも早く捕まえて、犯人を突き止めないと!
「私には何も教えて貰えませんでした。」
「グリーがどうな……っ」
私は言おうと思ってた言葉を途中で止めてしまった。司令官の圧力…空気の重さを感じたから。
「金は?どうやって手に入れてきた?伯爵家は裕福だが、領土が改善されたかと言えばそうじゃない。そんなにすぐには立て直せない。」
「どこからなのかは解りません。」
「…全く予想がつかなかった訳ではないだろう。
「……」
「娘を誘拐された貴族は大量に金を払ってる。伯爵が何をして大金を手にしているのか解らないのであれば、そこに関わっているのではないかと想像できないはずがない。結局、自分が贅沢する為、その為に警察に相談にも来なかった。断罪は当然という訳だ。ただ、息子は親を選べない。そう陛下には言っておこう。」
「…っ!?」
「陛下まで動いていると思わなかったのか。そんな甘い考えだから家が傾くんだ。さっさと言え。穏便に事を運びたい。もし逆らえば、その場で射殺命令をだしている。その時は子供も大人も関係ない。」
「そんな…グリーは関係ありませんっ!」
「では、誰が関係していた?お前達は罪もない女性達を被害者にした事を忘れるな。言わなければ息子の首を最初に跳ねる。最後が貴様だ。目を背けても、声は聞こえるぞ。泣き叫ぶ声だ。『母上、助けて』…とな。」
それを聞いて、夫人の涙を溢しながら言った。
「…港へ…行ったんじゃないかと…思います……。」
「っ港!?船にのって逃げるつもり!?」
冗談じゃないわ…伯爵に逃げられると誰が犯人だかわからなくなるじゃないっ!
「司令官!早くっ!」
「港は封鎖するよう命令を出してある。そっちは海軍に任せよう。」
…っ駄目なのよ!私が最初に捕まえないと!!
走り出そうとする私の前を塞ぐように長官が来た。
「エリザベス嬢、君なら何処へ行く?」
「私なら?」
「安全な場所は何処だと思う?」
「……家」
「ミリオン侯爵邸?」
それに答えず、私は長官を引っ張って軍馬に乗った。
「早く、私の家まで案内してくださいっ!!」
絶対家よ…!
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