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行方不明の婚約者
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「婚約者をいつまでこんな別邸に閉じ込めておくつもりなんだろうな…」
邸まで荷物を届けに行く騎士2人のうち1人が言った。
「ああ、さすがに酷いな。」
「まぁ、お偉方の考えなんて、庶民出の俺達にはわからない。ていうか、わかりたくない。」
裏口まで行き何度か呼び鈴を鳴らす。
いつもならすぐに出てくるはずの女中が出てこない。
「…なんか様子がおかしくないか?」
「ああ。」
1人が窓を覗いて驚いた。
「…何も置いてないぞ」
「置いていない?」
「見える範囲でだが、邸の中に何もない…っていうか、カーテンがかかってないのもおかしいだろ…」
ドンドンドンドンッ
「おいっ!開けろ!!」
ドンドンとドアを激しく叩くが誰も出てこない。
「おい、窓から入るぞ!」
ガシャーーン
勢いよく窓をわり、2人は邸の中に入った。人気がない。
「…っおい!ニーナ様を探せっっ!!」
「よし、俺はこっちを探してくる!」
二手にわかれて、騎士は邸中探し回った。
「ニーナ様っ!」と何度も大きな声で名前を呼びながら。
「いたか…」
「いや…だがどの部屋を見ても何もない。物取りにでも入られたようだった。」
「こっちも同じだ……」
「これは…誘拐されたんじゃないか?王子の婚約者だし。」
「いや、婚約者がここにいるなんて知ってるのって、俺達以外に殆んどいないんだぞ…。もし、婚約者だとわかってて連れさったんだったら、既に王子に伝わってるだろ。脅迫めいた事をしたり…」
「…こんなデカい邸に警備兵も女中も侍女も1人、ニーナ様をあわせて4人だ…。連れ去られて…全員殺されてる可能性もあるぞ」
「馬鹿言うなっ!」
「…けど、この状態。何か事件に巻き込まれているのは確かだぞ。」
「これ、本当に殺されてたりしたら…うちの国ってヤバいんじゃないのか?」
「いや…他国の娘でも、そこまで」
「あの子…陛下が直々に婚約をとりつけに行った娘だって聞いたぞ…」
「わざわざ足を運ばなければ、婚約者として迎えるのが難しい娘だったのか…?」
2人は青ざめた。
「とりあえず、クリフ様に報告だっ!!」
「ふざけんなよ!本当にそうなら、ご免なさいじゃすまねぇぞ!この国は!!」
ニーナの思惑通り、『何かの事件に巻き込まれている』と勘違いした2人だった。
けれど、予想よりもかなり早く気がつかれた。
「…っ何だって!?ニーナ様がいないっ!?」
そう言ったのは、王子の側近のクリフだ。
「ハイッ!邸も荒らされて荷物も何1つ残っていませんでした…」
「……っレオンを呼べ…今すぐにだ!」
「畏まりましたっ!」
「これは…王に知られたら大変な事になるぞ…。」
エドワードは1度もニーナ様に会いに行っていない。
それどころか、所有する邸の中でも1番王都から遠く、何もない所へ住まわせている。
何より問題なのは、ニーナ様は『陛下が直々に他国へ足を運んでまで王子との婚約を申し込んだ女性』…という事だ。
ニーナ様の顔を知っているのは、ほんの一握り。陛下の1番近くにいる人達。俺など簡単に話しかける事の出来る相手ではない。
1度も会いにいかなかったなどと知られてしまえば…王太子と言えど大問題だぞ。いや、逆にそうだからこそ大問題だ。
陛下が病にふせっている事を理由にして、正式な顔合わせは後日…となってはいるが、それまで放置しておいていい…という事にはならない。
俺は馬鹿だ。
無理にでも引っ張っていけば、こんな事にはならなかったし、住む場所ももっときちんと用意していたなら、ほんの少しだけでも言い訳は出来たはずだ。結果云々。
今さら後悔しても仕方がない。
……水面下で事を進めなければ。下手をすれば国をゆるがすような問題にもなりかねない!
だいたいあのクソ王子が『俺には好きな人がいるから、その人と以外結婚するつもりはない!』っとかほざきやがるからこんな事にっっ!!
…エドワードが好きだと言っている女は、性格も態度も悪い。それで徐々に国の印象も悪くなり始めている。
「……」
ニーナ様を探すにしても、誰も顔をしらない。万が一『私は婚約者です』っと名乗りでられても、本物かどうかもわからない。
何か手がかりを…
それすらない……
邸まで荷物を届けに行く騎士2人のうち1人が言った。
「ああ、さすがに酷いな。」
「まぁ、お偉方の考えなんて、庶民出の俺達にはわからない。ていうか、わかりたくない。」
裏口まで行き何度か呼び鈴を鳴らす。
いつもならすぐに出てくるはずの女中が出てこない。
「…なんか様子がおかしくないか?」
「ああ。」
1人が窓を覗いて驚いた。
「…何も置いてないぞ」
「置いていない?」
「見える範囲でだが、邸の中に何もない…っていうか、カーテンがかかってないのもおかしいだろ…」
ドンドンドンドンッ
「おいっ!開けろ!!」
ドンドンとドアを激しく叩くが誰も出てこない。
「おい、窓から入るぞ!」
ガシャーーン
勢いよく窓をわり、2人は邸の中に入った。人気がない。
「…っおい!ニーナ様を探せっっ!!」
「よし、俺はこっちを探してくる!」
二手にわかれて、騎士は邸中探し回った。
「ニーナ様っ!」と何度も大きな声で名前を呼びながら。
「いたか…」
「いや…だがどの部屋を見ても何もない。物取りにでも入られたようだった。」
「こっちも同じだ……」
「これは…誘拐されたんじゃないか?王子の婚約者だし。」
「いや、婚約者がここにいるなんて知ってるのって、俺達以外に殆んどいないんだぞ…。もし、婚約者だとわかってて連れさったんだったら、既に王子に伝わってるだろ。脅迫めいた事をしたり…」
「…こんなデカい邸に警備兵も女中も侍女も1人、ニーナ様をあわせて4人だ…。連れ去られて…全員殺されてる可能性もあるぞ」
「馬鹿言うなっ!」
「…けど、この状態。何か事件に巻き込まれているのは確かだぞ。」
「これ、本当に殺されてたりしたら…うちの国ってヤバいんじゃないのか?」
「いや…他国の娘でも、そこまで」
「あの子…陛下が直々に婚約をとりつけに行った娘だって聞いたぞ…」
「わざわざ足を運ばなければ、婚約者として迎えるのが難しい娘だったのか…?」
2人は青ざめた。
「とりあえず、クリフ様に報告だっ!!」
「ふざけんなよ!本当にそうなら、ご免なさいじゃすまねぇぞ!この国は!!」
ニーナの思惑通り、『何かの事件に巻き込まれている』と勘違いした2人だった。
けれど、予想よりもかなり早く気がつかれた。
「…っ何だって!?ニーナ様がいないっ!?」
そう言ったのは、王子の側近のクリフだ。
「ハイッ!邸も荒らされて荷物も何1つ残っていませんでした…」
「……っレオンを呼べ…今すぐにだ!」
「畏まりましたっ!」
「これは…王に知られたら大変な事になるぞ…。」
エドワードは1度もニーナ様に会いに行っていない。
それどころか、所有する邸の中でも1番王都から遠く、何もない所へ住まわせている。
何より問題なのは、ニーナ様は『陛下が直々に他国へ足を運んでまで王子との婚約を申し込んだ女性』…という事だ。
ニーナ様の顔を知っているのは、ほんの一握り。陛下の1番近くにいる人達。俺など簡単に話しかける事の出来る相手ではない。
1度も会いにいかなかったなどと知られてしまえば…王太子と言えど大問題だぞ。いや、逆にそうだからこそ大問題だ。
陛下が病にふせっている事を理由にして、正式な顔合わせは後日…となってはいるが、それまで放置しておいていい…という事にはならない。
俺は馬鹿だ。
無理にでも引っ張っていけば、こんな事にはならなかったし、住む場所ももっときちんと用意していたなら、ほんの少しだけでも言い訳は出来たはずだ。結果云々。
今さら後悔しても仕方がない。
……水面下で事を進めなければ。下手をすれば国をゆるがすような問題にもなりかねない!
だいたいあのクソ王子が『俺には好きな人がいるから、その人と以外結婚するつもりはない!』っとかほざきやがるからこんな事にっっ!!
…エドワードが好きだと言っている女は、性格も態度も悪い。それで徐々に国の印象も悪くなり始めている。
「……」
ニーナ様を探すにしても、誰も顔をしらない。万が一『私は婚約者です』っと名乗りでられても、本物かどうかもわからない。
何か手がかりを…
それすらない……
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