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行方不明の婚約者2
わかってたわ、もう何となくこうなる事はわかっていたの。
パーティー…付いて来てるんだよね…私。
マール君を見てて欲しい…って奥様は言うんだけどね…
全てマール君のわがまま。
私に抱きついて離れなかったの。だから急遽奥様の侍女という形で付いて来る事に…
教育係の契約終了まで後20日だけど、私は本当に辞めさせて貰えるのかな…とても不安だわ。
王子が来るような大きなパーティーではないみたいだし、誰も私を知らないからいいか。…たとえ王子が来てたとしても、私の顔を知らないのだから大丈夫なのよね。
今までは煩わしい挨拶や興味もない会話、婚約者探しのお嬢様達になんとなく合わせなきゃいけなかったけど、それがないのはとても楽。
もちろん侍女であっても礼儀正しくするのはマナーだから、そこは問題ないもの。
挨拶も終わったのか、クイクイとスカートの裾を引っ張るマール君。
「よし、お庭に行こうか」
マール君はコクコクと頷いた。
庭は綺麗に手入れされていて、歩いていて気持ちがよかった。
「ん?」
マール君が見てるのは蜜蜂。
「虫が好きなの?」
聞いて見ると、コクンと頷く。
マール君のお部屋に図鑑は無かったから、伯爵に言って買って貰おうかな。いいよね?私が欲しい物を言うんじゃないんだもの。
でも私は苦手なのよね……。よく見てると気持ちが悪いし。虫について教えて欲しいと言われたらどうしようかな…
「もう少しお庭を散歩していたいけど、日差しがきつくなってきたから帽子をとりに部屋までかえろうか」
今日も私の手をギュっと握って、マール君はご機嫌だ。
ホールのすぐ側までくると、大きな声が聞こえる。
「あなた、どういうつもりっ!?」
扉の前で黒いドレスを着た女性が何か喚いてる。
早く通らせて欲しいのだけど…マール君は色が白くて太陽にやけると赤くなりやすいみたいだし。
「大変申し訳ございませんが、招待されていない方の入場は許されておりませんので。」
招かれてもないのに来て喚くなんて、恥ずかしいと思わないのかしら…。
ここに招待されているのは、鉄道出資や開通に関する者とその家族だけ。公式に開いてる訳でもない、小さなものなのよね。気が置けない人達だけでのお祝いのような。どこから、聞きつけてやってきたんだろ。お金持ちは多いから、独身狙いかな。言い方は悪いけどね。
「ちょっと、あなた。私を誰だと思っているの!エドワード王子の恋人よ!!」
「…え…あなたがっ!?」
あ…まずいっ…!
口から出てしまった声は、もう戻せない。
「あなた、今何て言ったの?」
「申し訳ございません。エドワード様の想い人を初めて見たものですから、驚いてしまいまして。噂に違わぬ、とても綺麗な方だと驚いてしまいました。大変失礼致しました。」
私は頭を下げた。
「そう、それなら仕方ないわね。」
よかった!簡単な人で!!
「ラドクリフ様、待たせてしまったようで大変申し訳ございません。ささ、お入りください。」
「マール君。行こうか」
私が言うと、コクコクと頷く。それを見て何を思ったのか、『エドワードの恋人』は信じられない事をいった。
「もしかして、その子喋れないの?ラドクリフ伯爵は跡目を継ぐ子がいないのね」
カッチーン
擬音にするならまさにそれ。
馬鹿なエドワードの恋人に、一言言ってやらないと気がすまないわ…
「エドワード王太子殿下の恋人…と仰ってましたけど、『婚約者』ではないのでしょう?貴女がこの国の王子の名を口にしてもいいのは、『婚約者』になった時ではなくて?」
「何ですって…」
「本当の事を申し上げたまでです。このパーティーに相応しくない下品なドレスと化粧。『エドワード』と名を出すのであれば、それくらいの知識は得てから来るべきではないかしら?」
「…たかが侍女の分際で……。伯爵の事も
私が王子に言えばどうなるかわかっているの!!」
「どうなるのかしら?」
「爵位くらい剥奪してやるわ!」
「貴女、『王子の恋人に偉そうな口をきいた』という理由だけだ爵位を剥奪出来るとでも思ってるの?まず、それを決められるのは『王子』ではないし、この国が独裁政治でないかぎり『王』が1人で決める事も出来ないのよ。伯爵家の功績は王族だって知っているもの。どちらに軍配が上がるか、見ものね。」
「……」
「さ、マール君。暑いからお部屋でジュースでも飲もうか」
もと伯爵令嬢の私をあまくみた罰よ。
それにしても、ここの王子の目は節穴なのかしら…。溺愛する女性がアレなの?
驚きを通り越して、呆れる…。本当に人を見る目がないのね…この国は将来大丈夫なの?恐ろしいわ…
出来の悪い王子との結婚なんて絶対嫌!!逃げ出せてよかった!
パーティー…付いて来てるんだよね…私。
マール君を見てて欲しい…って奥様は言うんだけどね…
全てマール君のわがまま。
私に抱きついて離れなかったの。だから急遽奥様の侍女という形で付いて来る事に…
教育係の契約終了まで後20日だけど、私は本当に辞めさせて貰えるのかな…とても不安だわ。
王子が来るような大きなパーティーではないみたいだし、誰も私を知らないからいいか。…たとえ王子が来てたとしても、私の顔を知らないのだから大丈夫なのよね。
今までは煩わしい挨拶や興味もない会話、婚約者探しのお嬢様達になんとなく合わせなきゃいけなかったけど、それがないのはとても楽。
もちろん侍女であっても礼儀正しくするのはマナーだから、そこは問題ないもの。
挨拶も終わったのか、クイクイとスカートの裾を引っ張るマール君。
「よし、お庭に行こうか」
マール君はコクコクと頷いた。
庭は綺麗に手入れされていて、歩いていて気持ちがよかった。
「ん?」
マール君が見てるのは蜜蜂。
「虫が好きなの?」
聞いて見ると、コクンと頷く。
マール君のお部屋に図鑑は無かったから、伯爵に言って買って貰おうかな。いいよね?私が欲しい物を言うんじゃないんだもの。
でも私は苦手なのよね……。よく見てると気持ちが悪いし。虫について教えて欲しいと言われたらどうしようかな…
「もう少しお庭を散歩していたいけど、日差しがきつくなってきたから帽子をとりに部屋までかえろうか」
今日も私の手をギュっと握って、マール君はご機嫌だ。
ホールのすぐ側までくると、大きな声が聞こえる。
「あなた、どういうつもりっ!?」
扉の前で黒いドレスを着た女性が何か喚いてる。
早く通らせて欲しいのだけど…マール君は色が白くて太陽にやけると赤くなりやすいみたいだし。
「大変申し訳ございませんが、招待されていない方の入場は許されておりませんので。」
招かれてもないのに来て喚くなんて、恥ずかしいと思わないのかしら…。
ここに招待されているのは、鉄道出資や開通に関する者とその家族だけ。公式に開いてる訳でもない、小さなものなのよね。気が置けない人達だけでのお祝いのような。どこから、聞きつけてやってきたんだろ。お金持ちは多いから、独身狙いかな。言い方は悪いけどね。
「ちょっと、あなた。私を誰だと思っているの!エドワード王子の恋人よ!!」
「…え…あなたがっ!?」
あ…まずいっ…!
口から出てしまった声は、もう戻せない。
「あなた、今何て言ったの?」
「申し訳ございません。エドワード様の想い人を初めて見たものですから、驚いてしまいまして。噂に違わぬ、とても綺麗な方だと驚いてしまいました。大変失礼致しました。」
私は頭を下げた。
「そう、それなら仕方ないわね。」
よかった!簡単な人で!!
「ラドクリフ様、待たせてしまったようで大変申し訳ございません。ささ、お入りください。」
「マール君。行こうか」
私が言うと、コクコクと頷く。それを見て何を思ったのか、『エドワードの恋人』は信じられない事をいった。
「もしかして、その子喋れないの?ラドクリフ伯爵は跡目を継ぐ子がいないのね」
カッチーン
擬音にするならまさにそれ。
馬鹿なエドワードの恋人に、一言言ってやらないと気がすまないわ…
「エドワード王太子殿下の恋人…と仰ってましたけど、『婚約者』ではないのでしょう?貴女がこの国の王子の名を口にしてもいいのは、『婚約者』になった時ではなくて?」
「何ですって…」
「本当の事を申し上げたまでです。このパーティーに相応しくない下品なドレスと化粧。『エドワード』と名を出すのであれば、それくらいの知識は得てから来るべきではないかしら?」
「…たかが侍女の分際で……。伯爵の事も
私が王子に言えばどうなるかわかっているの!!」
「どうなるのかしら?」
「爵位くらい剥奪してやるわ!」
「貴女、『王子の恋人に偉そうな口をきいた』という理由だけだ爵位を剥奪出来るとでも思ってるの?まず、それを決められるのは『王子』ではないし、この国が独裁政治でないかぎり『王』が1人で決める事も出来ないのよ。伯爵家の功績は王族だって知っているもの。どちらに軍配が上がるか、見ものね。」
「……」
「さ、マール君。暑いからお部屋でジュースでも飲もうか」
もと伯爵令嬢の私をあまくみた罰よ。
それにしても、ここの王子の目は節穴なのかしら…。溺愛する女性がアレなの?
驚きを通り越して、呆れる…。本当に人を見る目がないのね…この国は将来大丈夫なの?恐ろしいわ…
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