後宮の死体は語りかける

炭田おと

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47_壁の中の死体の真相_一

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 その日、清和殿せいわでんの広間には、群臣ぐんしんがずらりと揃い、元康帝げんこうていの到着を待っていた。


 群臣ぐんしんの中には、独秀どくしゅう殿下の姿もあった。不安そうに、目を泳がせている。


「皇帝陛下が御成りになられます!」


 そうして、広間に皇帝陛下が入ってくる。


 群臣ぐんしんひざまずき、玉座に座った陛下から許可がもらえるまで、決して顔を上げなかった。

「・・・・立つがよい。今日は、そなた達に大事な話がある」

 群臣ぐんしんが立ち上がると、陛下は口を開く。

独秀どくしゅうが賊に襲われたことは、そなた達ももう知っているだろう」

「ええ、存じております。今、賊の行方を捜しております」

「いや、もう必要ない」

 捜索を任されていた刑部けいぶの尚書がそう言うと、陛下は首を横に振った。


「実はその件で、進展があった」


 群臣ぐんしんはざわめき、ひそひそと話し合った。


「誰かが、賊の手がかりをつかんだのですか?」

「ああ、そうだ。――――入れ」


 陛下の許可を得て、私と俊煕しゅんき殿下は広間の中に踏み込む。


 私達の後ろに、縄で繋がれた賊達が続いた。


「陛下に拝謁はいえついたします」

 私と殿下は、陛下の前に並んで、拝礼した。

「立つがよい」

「感謝します」

 私達が立ち上がると、陛下は群臣ぐんしんを見まわした。


「――――実は私の息子と、ジェマ族の女子が、独秀どくしゅうを襲った賊達を捕え、ここまで連行してくれた」


 また群臣ぐんしんがざわめき、視線が私達の全身に突き刺さる。


「だが、まだ二人から仔細は聞いておらぬ。なにせ今朝がた、賊を捕えたという一報を耳にしたばかりだからな。くわしいことはみなの前で聞こうと思い、ここに集ってもらったという次第だ」

 簡単に事情を話してから、陛下は独秀どくしゅう殿下に目を向けた。

独秀どくしゅう、この者らが、そなたを襲った賊で間違いないな?」

 独秀どくしゅう殿下は怖々と視線を動かし、賊達の横顔を見た。

「く、暗がりだったので、一人一人の顔ははっきりとは覚えていないのですが、その男の目元の傷だけは、しかと目に焼きついております。私を襲った賊の頭領で、間違いないでしょう」

 独秀どくしゅう殿下が、かしらの男の、目元の傷を指差す。

「そうか」

「連れていけ。引き続き、牢に閉じ込めておくのだ」

「御意」

 陛下の命を受けて、武官は縄を引き、賊達は広間から引きずり出されていった。


 そして再び、私と俊煕しゅんき殿下は群臣ぐんしんの視線を浴びることになる。


「なにゆえそなたらは、賊の居所を突き止めることができた?」

「お答えします、陛下」

 私は、下げていた頭を持ち上げる。



「――――曹貴妃そうきひ様の親族の曹敏余そうびんよという男を見張っていたところ、賊との接触があったため、捕らえることができました」



 ――――ざわりと喧騒が波立ち、ぎょろつく目がすべて、曹貴妃そうきひ様に視点を合わせた。



 曹貴妃そうきひ様は青ざめ、雷に打たれたように凍り付いてしまう。


「・・・・なぜ、曹貴妃そうきひの親族を見張ろうと考えたのだ?」

 陛下の声が、厳しさを増す。


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