陥落 ー おじさま達に病愛されて ー

ななな

文字の大きさ
7 / 9

7. 陥落

しおりを挟む
 今まで一体何があったのか。リンユゥの口から余す事なく聞かされる驚愕の事実に、わたしはしばらくの間、動くことが出来なかった。

 最終的にはポポイの屋敷から脱走し、命からがら逃げてきたというが…わたしは怒りのあまりワナワナと震え、感情という感情が押し合いへし合いし、わたしという人格を保つのにやっとであった。

 あんの…クソッタレが!!手塩にかけて育てたひとの息子をっ…わたしでさえも手を出さずにいたというのに…アアッ!アアッ!
 鬼にでも悪魔にでも成り変わりそうなわたしを押し鎮めたのは、リンユゥからの熱い抱擁であった。


「ミングォさん…私のことを見捨てないで下さいますか…?」

 恥じらいの強いリンユゥは、自分からは決してそのようなことはしない。わたしとてそうだ。
 しかし、どうしようもない時だけは天に許しを請い彼にすがり付いた。父という最後の防波堤が、それより先へ行くことを拒ませているようだった。

「何を言うんだい…わたしがリンユゥのことを…見捨てるはずがないだろう」
「ですが…ですが…私という人間は…卑しい身体となってしまいました。こんな私のことを受け入れて下さる方がどこに…おりましょうか」

 ほろり、ほろりと流す涙は真珠そのもの。頼りない唇はほんのり紅く色付き、湿った目元がわたしをとらえて離さない。思わず息を呑む…なんたる美しさだ。

「リンユゥ…どうか自分を責めないでおくれ。君はわたしの大切な息子だ…わたしの可愛い息子…」

 そう、愛おしくてどうしようもない。あぁ 君が欲しい、欲しくて堪らない。
 口にした言葉とは裏腹に、わたしの手は彼の服の隙間へと震えながらも入り込もうとしていた。駄目だ…リンユゥ、頼む…わたしを拒んでおくれ。

「ミングォさん…私は間違っておりました。心のどこかで、貴方とは本当の親子にはなれないのだと嘆いていました。ですが…貴方は本当の親以上に深い愛情を…私に注いで下さっていた…ずっとおそばにいてもよろしいでしょうか」

 ところがどうだ、彼の身体はわたしから離れてゆこうとはしないではないか。「もちろんだ…わたしの方が乞いていたことだろう…?」それに甘んじた手は歓喜の声を上げ貪欲に堕ちてゆく。
 リンユゥの、これがリンユゥの素肌…温かい…っ…わたしの手に吸い付いてくる…!

 ずっと手に入ることはないと諦めていたのだ。そんなものに一度でも触れてしまえば、タガはいとも簡単に外れてしまう。 
 わたしは愛しいその小さな身体を味わうようにまさぐり、「わたしが君の身体に…心に愛を与えよう。それで全てが元通りになる…わたしは君のたった一人の…父親なんだ」呪いの言葉を吐いてゆく。リンユゥ…あぁっ、君とずっとこうなりたかった…愛している、わたしだけを見ておくれっ!
 
 ずるい人間だ、わたしは。その証拠に、殺してやろうと決めていた相手に、一抹の感謝の念まで抱き始めているではないか。

「ミングォさん…ミングォさん…私はずっと甘えたかったのでございます。でも、どうすればよいのかわからない…」
「おぉ、おぉ、それはいけない。わたしが存分に甘やかしてあげよう…寂しい思いをさせてすまなかったね」

 リンユゥは淫乱に成り変わってしまったのであろうか。はたまた心からそう口にしているのか。どちらにせよわたしの無骨な手は、彼の双丘の割れ目へと辿り着いていた。
「リンユゥ…愛しているよ、愛しているんだ、心の底から。いや、愛させて欲しい…っ…いいね?」

 それは確認の言葉というにはあまりにも綺麗すぎる。はい、以外は求めていなかった。
 しかしリンユゥは、「ミングォさん…ずっと身体が疼いて仕方がないのです。助けて下さい…」とわたしを綺麗な父親のままでいさせてくれるらしい。願ったり叶ったりとはこのことか。
 
 貪欲な手は彼のことが愛おしくて堪らないとばかりにぬぷりと音を立て、その小さな蕾をもいでいった。「ぁっ…」すでに緩く、可愛らしい悲鳴を上げ指に吸い付いてくる蕾に、男としての嫉妬の業火が煌々と燃え盛る。 
 それでもなお、わたしを抱きしめ離さぬ小さな腕のおかげで、ほほえむことができたのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父と息子、婿と花嫁

ななな
BL
 花嫁になって欲しい、父親になって欲しい 。すれ違う二人の思い ーー ヤンデレおじさん × 大学生    大学生の俺は、両親が残した借金苦から風俗店で働いていた。そんな俺に熱を上げる、一人の中年男。  どう足掻いてもおじさんに囚われちゃう、可愛い男の子の話。

羽衣伝説 ー おじさま達に病愛されて ー

ななな
BL
 麗しい少年が、おじさま達から変態的かつ病的に愛されるお話。全12話。  仙人の弟子であるボムギュは、お師匠様のことを深くお慕いしておりました。ところがある夜を境に、二人の関係は歪なものとなってしまいます。  逃げるように俗界へと降りたボムギュでしたが、村の子供達に読み書きを教えているという男に心を奪われてしまい…。

過保護な義兄ふたりのお嫁さん

ユーリ
BL
念願だった三人での暮らしをスタートさせた板垣三兄弟。双子の義兄×義弟の歳の差ラブの日常は甘いのです。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

甘味食して、甘淫に沈む

箕田 はる
BL
時は大正時代。 老舗の和菓子店の次男である井之口 春信は、幼馴染みである笹倉 明臣と恋仲にあった。 だが、母の葬儀を終えた早々に縁談が決まってしまい、悲嘆に暮れていた。そんな最中に、今度は何故か豪商から養子の話が持ち上がってしまう。 没落寸前の家を救う為に、春信はその養子の話を受け入れることに。 そこで再会を果たしたのが、小学校時代に成金と呼ばれ、いじめられていた鳴宮 清次だった。以前とは違う変貌を遂げた彼の姿に驚く春信。 春信の為にと用意された様々な物に心奪われ、尊敬の念を抱く中、彼から告げられたのは兄弟としてではなく、夫婦としての生活だった。

弟が兄離れしようとしないのですがどうすればいいですか?~本編~

荷居人(にいと)
BL
俺の家族は至って普通だと思う。ただ普通じゃないのは弟というべきか。正しくは普通じゃなくなっていったというべきか。小さい頃はそれはそれは可愛くて俺も可愛がった。実際俺は自覚あるブラコンなわけだが、それがいけなかったのだろう。弟までブラコンになってしまった。 これでは弟の将来が暗く閉ざされてしまう!と危機を感じた俺は覚悟を持って…… 「龍、そろそろ兄離れの時だ」 「………は?」 その日初めて弟が怖いと思いました。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

処理中です...