ラベンダーに想いを乗せて

光海 流星

文字の大きさ
2 / 16

2 仲間…?

しおりを挟む
純「真玖くん… あいつって
僕がここにいるの知ってるのかな?」

真「どうだろうな…」

どちらにせよまたすぐ近くにいることに
急に怖くなってしまう

龍「ちょっと様子みてみたらいいんじゃない?」
真「あいつがどう動くかだな」
純「…」

   1週間が経った

真「あいつ毎日駅で待ってんじゃねーか?」
龍「あんな人が多いのにさ
頭下げるって普通にできなくない?」

たしかにいつもあいつはあそこにいる
そして僕が来ると深く頭を下げる
なんだかこっちが恥ずかしくなる
やらせてるみたいで周りの目が…

そんな時課長からまさかの言葉が

「1年後にオープンする予定の
スターランド店について詰めていくから
明日からよろしく頼むぞ
それから1人メンツを追加する
経理課から正式にサポート課に
情口勇介くんが来るから頼んだぞ」

純「えぇっ!!!」

なんでよりによってあいつが来るんだ
どう接していけばいいんだよ…

僕の部署はサポート課
コンビニの出店に関わる全てのサポートをする
開店準備、スタッフの手配も含まれる
スターランド店は大きなテーマパークだ
テーマパーク内に3店同時に出店する
そのためかなり大きなプロジェクトになる

「何をそんなに驚く必要があるんだ?
仮1を川本、仮2を工藤が店長
仮3は拡大店のため陽野が店長で
サブ社員として情口だ」

真「現場仕事が、久しぶりにやるか」

なんでこういうことになるんだよ
しかもあいつと一緒にって
どうやったって一緒に仕事やらなきゃ
逃げ道なんてどこにもないじゃん

龍「大丈夫かー、純?」
純「う、うん…」

ドヨ~ンとしていた時ドアがノックされ
入ってきた男は高身長イケメン
情口が緊張した顔で立っていた

勇「失礼いたします、明日からこちらで
お世話になります情口勇介です
もう上司は決まっていると聞いていますが
どなたでしょうか?」

低姿勢な態度に固まってしまった
昔みたいにはしゃいでいる勇介じゃない
僕を前にしてもいかにも部下としている
やりにくいなぁ…

真「俺は川本真玖よろしく
お前の上司は陽野純だよ」

勇「陽野さんよろしくお願いします」

えっ?
僕のこと知ってるくせに
この言い方は初対面みたいな言い方
どういうつもりなんだ?

純「あ、よろしく」
龍「俺は工藤龍麻よろしく
3人とも仲良いからこれからは
仲良くいこうね~」

めちゃくちゃ気まずい
勇介と自然に接するなんてできるかな
僕そんなに心が広いわけじゃないから
それに許したわけでもないんだし

勇「陽野さん、今後について教えて下さい
コンビニ初めてなのでわかりません
よろしくお願いします」

純「ち… 近い…」

ズンと近づいてくるからドキッとしてしまう
だって短期間は好きだったんだし

勇「そうですか? 迷惑ですか?」
純「いや… 別に」

なんだこの追い詰めてくるみたいな感じ
デジャヴになりそうで怖い

勇「では、問題ありませんね」

3人ともポカンとしてしまった
どう見ても近すぎておかしいよなー

デスクは後で持ってこられるからと
今はまだないから陽野のデスクで一緒に
パソコンやら資料を見て説明している
イコール必然に距離が近い
っていうか肩も膝も触れてるんだけど…

純「体当たってる…」
勇「あー、気にしないでください」

は? その返事おかしくない?
普通は少し離れたりするもんじゃない?
ピッタリくっついてるけど…

真「昼休憩だな、どこに食いに行く?」
龍「情口くん何系が好き?」

えー、4人で行くつもり…?
普通に考えてそうなっちゃうよな

勇「一緒にいいんですか?」
龍「え?嫌だった?」
勇「うれしいです」

うわー、微妙
これがこれから毎日続いていくのか…
なんで僕の意思は汲み取ってくれなくて
勇介を引き込んでくるんだ

龍「なぁ、情口ってなんで駅でいつも
陽野に頭下げんの?」

うわっ、それ聞いちゃうかなぁ
地雷な気がするんだけど
みんな気になってたことだから
ちょっと聞いてくれてよかったけど

勇「一生許されないことをしたからです」

しばらく沈黙が流れた
何より僕は何も言葉が出なかった
フラッシュバックしてしまったし
呼吸が荒くなってきてしまった

勇「陽野さん大丈夫ですか?」

そう言い情口は陽野の背中をさする
かなり焦った顔をしている

勇「今は話すタイミングではありません
陽野さんが苦しむのは
もう見たくありませんので
また改めてしっかりお話します」

そして情口は自分のカバンから
ハンカチを出し何か液体を垂らして
陽野の顔の前でふわふわと揺らした

純「これ…」
勇「ラベンダーは心を落ち着かせるし
この香り好きって言ってたし」

陽野はアロマのラベンダーの香りが好き
あんな昔のこと覚えていたっていうのか
しばらくしたら少し落ち着いてきた
一瞬だけあの頃のぬくもりを感じた
高1の5ヶ月は幸せだった…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

その言葉を聞かせて

ユーリ
BL
「好きだよ、都。たとえお前がどんな姿になっても愛してる」 夢の中へ入り化け物退治をする双子の長谷部兄弟は、あるものを探していた。それは弟の都が奪われたものでーー 「どんな状況でもどんな状態でも都だけを愛してる」奪われた弟のとあるものを探す兄×壊れ続ける中で微笑む弟「僕は体の機能を失うことが兄さんへの愛情表現だよ」ーーキミへ向けるたった二文字の言葉。

姉の男友達に恋をした僕(番外編更新)

turarin
BL
侯爵家嫡男のポールは姉のユリアが大好き。身体が弱くて小さかったポールは、文武両道で、美しくて優しい一つ年上の姉に、ずっと憧れている。 徐々に体も丈夫になり、少しずつ自分に自信を持てるようになった頃、姉が同級生を家に連れて来た。公爵家の次男マークである。 彼も姉同様、何でも出来て、その上性格までいい、美しい男だ。 一目彼を見た時からポールは彼に惹かれた。初恋だった。 ただマークの傍にいたくて、勉強も頑張り、生徒会に入った。一緒にいる時間が増える。マークもまんざらでもない様子で、ポールを構い倒す。ポールは嬉しくてしかたない。 その様子を苛立たし気に見ているのがポールと同級の親友アンドルー。学力でも剣でも実力が拮抗する2人は一緒に行動することが多い。 そんなある日、転入して来た男爵令嬢にアンドルーがしつこくつきまとわれる。その姿がポールの心に激しい怒りを巻き起こす。自分の心に沸き上がる激しい気持に驚くポール。 時が経ち、マークは遂にユリアにプロポーズをする。ユリアの答えは? ポールが気になって仕方ないアンドルー。実は、ユリアにもポールにも両方に気持が向いているマーク。初恋のマークと、いつも傍にいてくれるアンドルー。ポールが本当に幸せになるにはどちらを選ぶ? 読んでくださった方ありがとうございます😊 ♥もすごく嬉しいです。 不定期ですが番外編更新していきます!

ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!

ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!? 「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??

痩せようとか思わねぇの?〜デリカシー0の君は、デブにゾッコン〜

四月一日 真実
BL
ふくよか体型で、自分に自信のない主人公 佐分は、嫌いな陽キャ似鳥と同じクラスになってしまう。 「あんなやつ、誰が好きになるんだよ」と心無い一言を言われたり、「痩せるきねえの?」なんてデリカシーの無い言葉をかけられたり。好きになる要素がない! __と思っていたが、実は似鳥は、佐分のことが好みどストライクで…… ※他サイトにも掲載しています。

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

【BL】無償の愛と愛を知らない僕。

ありま氷炎
BL
何かしないと、人は僕を愛してくれない。 それが嫌で、僕は家を飛び出した。 僕を拾ってくれた人は、何も言わず家に置いてくれた。 両親が迎えにきて、仕方なく家に帰った。 それから十数年後、僕は彼と再会した。

どうか溺れる恋をして

ユナタカ
BL
失って、後悔して。 何度1人きりの部屋で泣いていても、もう君は帰らない。

処理中です...