ラベンダーに想いを乗せて

光海 流星

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14 愛の意味

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その頃フロアには3人が戻ってきていた

龍「あれ? 純いないな」

「川本さんが呼んでるからって森さんが
陽野さんを資料室へ連れて行きましたよ」

同じフロアの人にそう言われた

真「俺そんなこと言ってないけど」
勇「資料室ってまさか純が危ないんじゃ」

森のデスクの引き出しを開けた勇介
そこにはあの紙があった

“顔見たい、会いたい”
そんなことが書いてある紙

真「純の奴ストーカーを煽りやがった
早く資料室に行くぞ!純がヤバイ」

急いで3人は資料室へと向かった
向かっている間勇介は心配で
生きた心地のしないまま走っていた
そして資料室の前まで来た時

純「イヤだー!!」

恐怖に怯えた純の叫び声がした
ドアを開け中に入ると上半身裸で
純に馬乗りになって首を絞めている
森の姿が目に飛び込んできた

勇「何やってんだ!」

勇介は叫んで近づこうとしたが
森が純の首に太い腕を回して笑った

森「近づいたら純の首が折れちゃうよ」

嫌な微笑みを浮かべている森
純を人質にしている優越感なのか
邪魔された憎しみの微笑みなのか

森「元カレがいちいち出しゃばるな」
勇「は? 別れてねーし」

森は笑顔が消えまた怒りの表情に変わる
憎しみ、怒り、なんとも言えない
悪そのもののような異常な顔

森「純、別れたって言ったじゃないか」
真「ストーカーをつきとめるためのウソだ」
森「は?」

ほんの一瞬だけ森の力が抜けた
純はそれを見逃さずにすばやく抜け出し
勇介の元へ転がるように逃げた

真「お前が純のデスクに紙を置いたから
ストーカーは社内の誰かと特定できた
だからおびき出すための芝居を打った」

森「何?俺を騙して楽しんでいたのか?」

いきなりキレだし鬼のような顔になる森
こういうのを本当に危険人物と言うんだな
なんとかしないと何されるかわからない

龍「楽しんでねーよ
お前自分がしてることわかってんの?」

森「純を愛してる、それだけだろ」

目が笑っていないで口だけ笑っている
ヤバイどころのレベルじゃない
心の底から恐ろしいと感じる

勇「愛してるなら苦しめることしないだろ」

森「こんなに愛してるのに気づいてくれない
他の奴ばかり見てるとかありえない」

目が血走ってきてまともではなくなっている
感情のコントロールができないのか
かなり興奮していて手がつけられない

勇「俺達ちゃんと付き合ってるから
誰にも負けないぐらい愛してるから」

怒りを抑えられなくなった森は
近くにあった脚立を振り上げて
勇介をめがけて勢いよく振り下ろした

森「なんで…」

信じられないという顔をしている森
興奮は冷めきって焦りの表情になった

勇介を守ろうとして純が前に立ったのだ
純は背中に脚立が打ちつけられ
あまりに激しい痛みのため
勇介に覆いかぶさる形で倒れこんだ

勇「純!!」

森「なんで… かばうんだ…」

崩れ落ちるように森は床に座り込む
唖然とした顔で口は震えていた
純が森の方へ振り向き口を開く

純「僕の大切な人だから守ろうとした
何かを考える前にもう体が動いてた
本当に勇介のこと好きだからできたこと」

そう言われて森は全てを諦めたような
現実を受け止めなければいけないんだと
突きつけられて苦しい表情を浮かべていた

勇「てめぇ、ふざけんな!」

勇介は怒りに身を任せて興奮して
森に思い切り殴りかかろうとしたが

純「ダメ!」
勇「なんで止めるんだよ」
純「手出したらダメだよ
そんなことしたら同じ犯罪になるから」

必死に勇介を止め鋭い目で勇介を見る純
納得をしていない表情の勇介

森「最初から敵わない相手と思ったけど
やっぱりどこにも入るスキなかった
どこまでも俺は独りにしかなれないな」

ポケットからナイフを取り出して
森は自分の手首にナイフをあてた時
すごい早い勢いで森の手をつかんで
これから起きるであろうことを阻止した
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