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23、某公爵家の影
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*某公爵家の影 サイラス目線
私は人族主義の神様を祀(まつ)っている孤児院を兼ねた教会で育った。
夜が明けきらない早朝から夜の最終の鐘が鳴った後まで、孤児院の仕事と称してやらされていた。
掃除、洗濯、食事の手伝い。食事は小さな硬パン一つ、そして具のほとんどない塩味のスープが一日二食。
大きな子は下の子の面倒を見るのは当たり前で、小さな子は森に近いところで木の実や食べれる野草や"先生"たちが使うお湯を沸かす時の木など拾い集めるのが毎日の日課(にっか)だった。
薪(まき)割りなどの力仕事は、5、6歳からし始めた。
合間に縫い物やバザーで売るための小物を作らされていた。
10歳になれば冒険者ギルドに登録して、お腹いっぱいになるまで食べてみたいと思っていた。
それが私にとって当たり前の事だった。
この教会には物心ついた時からいたが誰が私を産んだのかもわからない。
だけど、狭いながらも皆で寝れる寝床があり、一日に二回もご飯が食べれる、仕事もある、縫い物も大きなお兄ちゃんから教わりながら毎日少しずつ、バザー用の作品を作っていた。
バザーは月に二回あったが、その日の夜のご飯には硬パンと塩のスープに少量だがお肉を入れても良い日だったから、嬉しかった。
教会の教えの一つに、子どものうちは、贅沢(ぜいたく)をしてはいけないと言われていた。
贅沢とは何だろうと思っていた。
毎日、お腹がすいて寝れない日も数多くあったので、月に二回食べれるスープに入ったお肉、そのお肉が贅沢な事なのかと思っていた。
ギルドがある通りに売っている美味しそうな物が、冒険者になれば食べれるんだと思いながら、早く大人になるのを夢みていた。
早く10歳になりたい、10歳になれば先生と一緒に冒険者や商業ギルドに登録出来るから楽しみにしていた。
そんな私には先生や周りの子たちにも内緒にしていた事があった。
8歳位の時に風邪を引き死にかけた時、突然魔法を使えれる事に気づいたのだった。
薪割りの時に、手や足にチカラを貯めながら、薪割り用のオノを振り下ろした。
いつもなら、何度かオノを木に食い込ませた後は叩きつけるかのように薪を割っていた。
それが、楽に薪割りをできる様になった事にひっそり喜んだ。今覚えば、あの魔法は身体強化だったがその時は、魔法の"ま"の事も知らなかった。
あとは、熱が出た時に夜中に喉が渇いたが、お水を汲みに行くのが、億劫(おっくう)だった時に、乾いてるはずの手から少量のお水を出せる事に気づいた。
手から水が出る事に驚いたが、バレると厄介だからとこっそり飲み喉を潤しながら、早くこのしんどさが治る様にと祈っていた。
この事ももちろん内緒にした。
平民の割には魔法を使えるから、もしかしたらどこかの貴族が私を産み捨てたのかもしれない、そう思ってたこともある。
本当の私は貴族で、もしかしたらすごく綺麗な格好をした人が迎えに来れるかもしれない。
身ぎれいにしなさいと先生たちはよくいうが、たぶん、もしかしたら誰かが私を選んでくれるかもしれない、そう期待してしまった時もあった。
新しい服を着て、お城で楽しげに踊って、そこで素敵な人と出逢い…めでたしめでたしになる、そんな物語のような夢を見ながら毎日暮らしていた。
だが、現実は違った。
孤児でも生活魔法の一つ程度なら発覚し、多少使える子もいたが、使えるとわかれば小さい子どもでも、どこかの金持ち?目つきの悪い人たちが迎えに来て、お金持ちの家に行ったよと先生たちは、子どもたちに言っていた。
私の一つ上の大好きだったお兄ちゃんは、火魔法を使える様になった。
喜びながら先生に報告した翌日、偉そうで目付きが悪い、あまり感じのいい人ではなさそうな人がお兄ちゃんを迎えに来た。
その後は、どうなったかわからない。
お金持ちの家に行けば、いい事はあるのだろうか?
お兄ちゃんがいなくなってからは、子どもたちの中で私が一番の年長者になった。
子どもたちが魔法を発覚したら、先生たちは喜んでくれた。
そして、その翌日かその日のうちに、魔法が発覚した子どもは目付きの悪い人たちに連れて行かれた。
その連れて行かれた日の夜は、先生たちの部屋からは、美味しそうな匂いがしていた。
魔法が発覚すれば、子どもは……。
大人はおいしそうな何かを食べれる日になるけど、子どもは?お兄ちゃんは?
大好きだった兄ちゃんはどうなったんだろうかとか、さみしくなり、不安になった。
今までの他のお兄ちゃんたちも、どこへ行ったんだろうかと気にはなるが、毎日の日課に疲れへとへとだった。
内緒事は少しずつ増えていった。
誰にも言えない秘密の事は、見覚えのない景色、見たこともない服装、黒髪に黒い瞳がたくさんいる人族の夢を見る様になった事だ。
初めのうちは何かわからなかったが、異なる世界?良い行いをしていたら、もしかしたらその世界に行けるのかもしれないと考える様になった。
その世界に行けたら何が出来るのかなぁとか、色々想像しながら楽しみにしていた。
そう思いながら辛くてお腹がすく毎日を乗り越えていた。
もうすぐ10歳になる時、教会に異変が起きた。
自警団?の大きな人たちが教会に次々に現れた。
そして先生たちの手を後ろ手にし、まるで悪い事をして捕まる"獣人族"たちのように連れて行かれたのだった。
残された子どもたちは、少し怖そうな自警団の人たちは私たちに"贅沢"な食事と硬くないパン、布を縫い合わせた中に柔らかな何かが入った、お布団と呼ばれる物まで子どもたちに用意されたのだった。
それまでは、綺麗に掃除した床にもう古くなって着れなくなった服や布を敷き。数人ずつかたまりそこで寝ていたのだった。
恐る恐るその柔らかなお布団に座った時は、汚しそうで怖かった。汚してしまったら、先生たちに怒られる、ご飯抜きか言われた数だけ小物作りをしなくてはいけない。
私の他の子も同じ様な行動をした。
その当時3歳から9歳の子どもが、私を含め12人いた。
教会にいた子たちは先生たちにより、人買いに売られていた。
魔法が使えなくても、見た目の良い子はすぐにいなくなった。私は見た目も悪く商品にならなかったから、長くこの教会にいた。
年長者…売れ残りの商品であった私は、他の子たちと一緒に王都にあるウォード公爵に引き取られた。
そこでは、信じれない位温かで優しく、そして恵まれた生活をさせてもらえた。
一番の驚きが食事だった。
一日に二回だった食事が、三回。
硬パンじゃなく、柔らかく美味しいパンに、具の入ったスープやシチューという煮込み料理、そして温野菜やお肉が使われた色々な料理、美味しくて夢中になり食べすぎてお腹が痛くなった事もあった。
何かを失敗しても、ご飯を抜かれたり、叩かれて痛いまま狭いところに閉じ込められる事もなくなった。
洗濯する時に洗濯用の石鹸というのがある事を知ったり、使用人たちにも温かい"お水"で身体を拭いたり頭を下げて洗う事が出来たりした。
読み書きも教わり、冒険者や商業ギルドに登録するだけじゃない事、将来に向けて自分がしたい事を選べる事に嬉しく思った。
引き取られた子のながらには、料理人になった子や、ウォード公爵家のお子様たちの遊び相手をしながら従者や執事見習いになったりした。
冒険者になりたいと思っていた私は、読み書きの他に剣術や魔法の使い方まで、色々勉強させてもらえた。
公爵様の護衛騎士の中に、鑑定を使える人がいたのでその人が私の鑑定をしてくれた。
サイラス 9歳 男
闇・水、土、無
○@#々×*
無属性は身体強化や色々な可能性を秘めた魔法らしい。
そして、その人もわからないと言っていた文字化けした項目。
それに関しては、どう影響するかわからないので気をつけて欲しいと言われた。
どう気をつけたら良いんだと、少しひねくれていた子どもだった私が、その場しのぎの返事をしたあと、三食の温かなご馳走を食べ、洗い物も私たちにしなくていいと言われた。
なぜ?と問いかけでも、子どもはちゃんと食べて、お勉強をしたり、遊んだりするのが仕事よ、と私たちを世話してくれる公爵家の使用人たちが優しく笑っていた。
子どもは贅沢をしたらいけないんじゃないの?
木の実や食べれそうな野草、木を拾い集めたり、薪割りもしなくても良くなった。
私たちが使えない売るための綺麗な布などで、小物作りも作らなくていいの?なぜ?
温かでぬるま湯にいる様な、幸せな毎日が続き私も他の子も痩せ細っていたのがウソのように、身体も成長した。
料理人見習い、庭師見習い、それぞれの使用人見習い、私は冒険者を目指していたから子どもなりに身体を鍛える事に夢中になっていた。
この時、この私がウォード公爵の護衛、裏の顔を持つ自警団に入るとはこの時思っていなかった。
身体強化、身体にある魔力を全身に巡らす訓練を少しずつした。
何に頑張ればいいかもわからず、教えてもらった事をこっそり練習したら何度か魔力切れで倒れた事もあった。
何か失敗すれば、叩かれご飯を抜きにされると思った幼い頃の自分、公爵邸に来てからは本当に、何度も夢のよのようだと思ってしまった。
病気になれば、使用人なのに公爵様は医師を呼んでくれたり、酷い怪我をすれば国教とは違う教会の人を呼んでくれた。
剣術を習っている時に、未熟だった私が受け損ねた練習用の剣(刃を潰した本物と同等の剣)で、腕の骨にヒビが入ってしまった時がある。
私を教えてくれていた公爵邸の護衛の人は、謝ったり責任をとる!!とか何の責任なのかはわからない謝り方をしていたが、14歳で未成年だった私、さらに言えば公爵邸の護衛騎士の見習いにも満たない私に公爵様は、その護衛騎士と私に話してくれた。
大人になり、お互いの気持ちを確かめてそれでもいいと思えたなら2人でよく話し合いなさい。
そしてその結果どうなったかとか、また教えてくれたらうれしいよ。
サイラスはまだ未成年だから、強要はしたらダメだからな!!と、とある護衛騎士に言ってくれた。
こんな私を好きになるヤツは、余程目が悪いか悪趣味のヤツだと心の中で毒づいた。
この公爵邸に来たばかりの私の保護者的立場になった彼は、10歳になった私の希望通り冒険者ギルドで登録させてくれた。
そのあとも、あの教会にいたお兄ちゃんのように色々教えてくれた。
なぜかお小遣いまでくれたり、ほんっと変な人。
やっぱ目が悪いのか、私の事を可愛い♡とかサイラスちゃん♡サイラス君より、サイラスちゃんって呼びたいんだけどいい?と言ったり、発言も他の人たちより変わっている。
腕の骨は、国教とはちがう教会の人が回復魔法をかけ、ちゃんと治してくれた。
回復と治癒の違いもわからなかったが、その教会の人たちは、先生たちとはちがって、私の無知を怒ることもバカにする事もせず丁寧に教えてくれたのだった。
「治すという事には、治療と治癒があるんだよ。治癒は、病気や怪我が治ること。治療や療治は二つとも、病気や怪我を治すこと。"治る"か"治す"のかの、ちょっとした違いだけどね。その時の治す側の人の気持ちや魔力によって、傷や病気の治り方、治し方が違ってくるんだ。治してもらう側も、治りたいと強く思えば、案外早く治るもんだよ。難しい話しだっからわかるかな?」
「…わかりません」
「あはは、うん、わからない事をわからないって言う君はえらいね。まあ、僕もわからないけど、ちょっと偉い人のように"説法"してみたけど、やっぱわかんないよねぇ!」
気の抜けるような笑顔で、それなりに偉いらしい教会の人は、笑いながら色々教えてくれた。
「君には色々可能性が無限大にあるから、それを活かすも殺すも君次第。つまり、君の気持ち次第だよ!素敵で美しい日々をすごせますように!!ビューティフル ライフ…じゃないや、えーと、ビューティフル ラブ教をよろしく!!」
新しい教団らしい。
新しい考えをもつ変な人がもう1人増えた気がした。
その数年後、成人も済ませ正式に公爵家の護衛騎士、そして"影"としての役目もする事になった。
まさか、あのビューティフル ラブ教に堂々と潜入するとは思わなかった。
~~~~~~~~メモ~~~~~~~~
ビューティフル ラブ教の位階
Beautiful Love教(BL教)
神様 腐ェニックス神→会長又は経営者
教帝 教会トップ→社長(スコティー)
司教 地域の司祭をまとめ役→部長(ルーカス)
司祭 神父→課長(ハント)
助祭 見習い→平社員(サイラス)
私は人族主義の神様を祀(まつ)っている孤児院を兼ねた教会で育った。
夜が明けきらない早朝から夜の最終の鐘が鳴った後まで、孤児院の仕事と称してやらされていた。
掃除、洗濯、食事の手伝い。食事は小さな硬パン一つ、そして具のほとんどない塩味のスープが一日二食。
大きな子は下の子の面倒を見るのは当たり前で、小さな子は森に近いところで木の実や食べれる野草や"先生"たちが使うお湯を沸かす時の木など拾い集めるのが毎日の日課(にっか)だった。
薪(まき)割りなどの力仕事は、5、6歳からし始めた。
合間に縫い物やバザーで売るための小物を作らされていた。
10歳になれば冒険者ギルドに登録して、お腹いっぱいになるまで食べてみたいと思っていた。
それが私にとって当たり前の事だった。
この教会には物心ついた時からいたが誰が私を産んだのかもわからない。
だけど、狭いながらも皆で寝れる寝床があり、一日に二回もご飯が食べれる、仕事もある、縫い物も大きなお兄ちゃんから教わりながら毎日少しずつ、バザー用の作品を作っていた。
バザーは月に二回あったが、その日の夜のご飯には硬パンと塩のスープに少量だがお肉を入れても良い日だったから、嬉しかった。
教会の教えの一つに、子どものうちは、贅沢(ぜいたく)をしてはいけないと言われていた。
贅沢とは何だろうと思っていた。
毎日、お腹がすいて寝れない日も数多くあったので、月に二回食べれるスープに入ったお肉、そのお肉が贅沢な事なのかと思っていた。
ギルドがある通りに売っている美味しそうな物が、冒険者になれば食べれるんだと思いながら、早く大人になるのを夢みていた。
早く10歳になりたい、10歳になれば先生と一緒に冒険者や商業ギルドに登録出来るから楽しみにしていた。
そんな私には先生や周りの子たちにも内緒にしていた事があった。
8歳位の時に風邪を引き死にかけた時、突然魔法を使えれる事に気づいたのだった。
薪割りの時に、手や足にチカラを貯めながら、薪割り用のオノを振り下ろした。
いつもなら、何度かオノを木に食い込ませた後は叩きつけるかのように薪を割っていた。
それが、楽に薪割りをできる様になった事にひっそり喜んだ。今覚えば、あの魔法は身体強化だったがその時は、魔法の"ま"の事も知らなかった。
あとは、熱が出た時に夜中に喉が渇いたが、お水を汲みに行くのが、億劫(おっくう)だった時に、乾いてるはずの手から少量のお水を出せる事に気づいた。
手から水が出る事に驚いたが、バレると厄介だからとこっそり飲み喉を潤しながら、早くこのしんどさが治る様にと祈っていた。
この事ももちろん内緒にした。
平民の割には魔法を使えるから、もしかしたらどこかの貴族が私を産み捨てたのかもしれない、そう思ってたこともある。
本当の私は貴族で、もしかしたらすごく綺麗な格好をした人が迎えに来れるかもしれない。
身ぎれいにしなさいと先生たちはよくいうが、たぶん、もしかしたら誰かが私を選んでくれるかもしれない、そう期待してしまった時もあった。
新しい服を着て、お城で楽しげに踊って、そこで素敵な人と出逢い…めでたしめでたしになる、そんな物語のような夢を見ながら毎日暮らしていた。
だが、現実は違った。
孤児でも生活魔法の一つ程度なら発覚し、多少使える子もいたが、使えるとわかれば小さい子どもでも、どこかの金持ち?目つきの悪い人たちが迎えに来て、お金持ちの家に行ったよと先生たちは、子どもたちに言っていた。
私の一つ上の大好きだったお兄ちゃんは、火魔法を使える様になった。
喜びながら先生に報告した翌日、偉そうで目付きが悪い、あまり感じのいい人ではなさそうな人がお兄ちゃんを迎えに来た。
その後は、どうなったかわからない。
お金持ちの家に行けば、いい事はあるのだろうか?
お兄ちゃんがいなくなってからは、子どもたちの中で私が一番の年長者になった。
子どもたちが魔法を発覚したら、先生たちは喜んでくれた。
そして、その翌日かその日のうちに、魔法が発覚した子どもは目付きの悪い人たちに連れて行かれた。
その連れて行かれた日の夜は、先生たちの部屋からは、美味しそうな匂いがしていた。
魔法が発覚すれば、子どもは……。
大人はおいしそうな何かを食べれる日になるけど、子どもは?お兄ちゃんは?
大好きだった兄ちゃんはどうなったんだろうかとか、さみしくなり、不安になった。
今までの他のお兄ちゃんたちも、どこへ行ったんだろうかと気にはなるが、毎日の日課に疲れへとへとだった。
内緒事は少しずつ増えていった。
誰にも言えない秘密の事は、見覚えのない景色、見たこともない服装、黒髪に黒い瞳がたくさんいる人族の夢を見る様になった事だ。
初めのうちは何かわからなかったが、異なる世界?良い行いをしていたら、もしかしたらその世界に行けるのかもしれないと考える様になった。
その世界に行けたら何が出来るのかなぁとか、色々想像しながら楽しみにしていた。
そう思いながら辛くてお腹がすく毎日を乗り越えていた。
もうすぐ10歳になる時、教会に異変が起きた。
自警団?の大きな人たちが教会に次々に現れた。
そして先生たちの手を後ろ手にし、まるで悪い事をして捕まる"獣人族"たちのように連れて行かれたのだった。
残された子どもたちは、少し怖そうな自警団の人たちは私たちに"贅沢"な食事と硬くないパン、布を縫い合わせた中に柔らかな何かが入った、お布団と呼ばれる物まで子どもたちに用意されたのだった。
それまでは、綺麗に掃除した床にもう古くなって着れなくなった服や布を敷き。数人ずつかたまりそこで寝ていたのだった。
恐る恐るその柔らかなお布団に座った時は、汚しそうで怖かった。汚してしまったら、先生たちに怒られる、ご飯抜きか言われた数だけ小物作りをしなくてはいけない。
私の他の子も同じ様な行動をした。
その当時3歳から9歳の子どもが、私を含め12人いた。
教会にいた子たちは先生たちにより、人買いに売られていた。
魔法が使えなくても、見た目の良い子はすぐにいなくなった。私は見た目も悪く商品にならなかったから、長くこの教会にいた。
年長者…売れ残りの商品であった私は、他の子たちと一緒に王都にあるウォード公爵に引き取られた。
そこでは、信じれない位温かで優しく、そして恵まれた生活をさせてもらえた。
一番の驚きが食事だった。
一日に二回だった食事が、三回。
硬パンじゃなく、柔らかく美味しいパンに、具の入ったスープやシチューという煮込み料理、そして温野菜やお肉が使われた色々な料理、美味しくて夢中になり食べすぎてお腹が痛くなった事もあった。
何かを失敗しても、ご飯を抜かれたり、叩かれて痛いまま狭いところに閉じ込められる事もなくなった。
洗濯する時に洗濯用の石鹸というのがある事を知ったり、使用人たちにも温かい"お水"で身体を拭いたり頭を下げて洗う事が出来たりした。
読み書きも教わり、冒険者や商業ギルドに登録するだけじゃない事、将来に向けて自分がしたい事を選べる事に嬉しく思った。
引き取られた子のながらには、料理人になった子や、ウォード公爵家のお子様たちの遊び相手をしながら従者や執事見習いになったりした。
冒険者になりたいと思っていた私は、読み書きの他に剣術や魔法の使い方まで、色々勉強させてもらえた。
公爵様の護衛騎士の中に、鑑定を使える人がいたのでその人が私の鑑定をしてくれた。
サイラス 9歳 男
闇・水、土、無
○@#々×*
無属性は身体強化や色々な可能性を秘めた魔法らしい。
そして、その人もわからないと言っていた文字化けした項目。
それに関しては、どう影響するかわからないので気をつけて欲しいと言われた。
どう気をつけたら良いんだと、少しひねくれていた子どもだった私が、その場しのぎの返事をしたあと、三食の温かなご馳走を食べ、洗い物も私たちにしなくていいと言われた。
なぜ?と問いかけでも、子どもはちゃんと食べて、お勉強をしたり、遊んだりするのが仕事よ、と私たちを世話してくれる公爵家の使用人たちが優しく笑っていた。
子どもは贅沢をしたらいけないんじゃないの?
木の実や食べれそうな野草、木を拾い集めたり、薪割りもしなくても良くなった。
私たちが使えない売るための綺麗な布などで、小物作りも作らなくていいの?なぜ?
温かでぬるま湯にいる様な、幸せな毎日が続き私も他の子も痩せ細っていたのがウソのように、身体も成長した。
料理人見習い、庭師見習い、それぞれの使用人見習い、私は冒険者を目指していたから子どもなりに身体を鍛える事に夢中になっていた。
この時、この私がウォード公爵の護衛、裏の顔を持つ自警団に入るとはこの時思っていなかった。
身体強化、身体にある魔力を全身に巡らす訓練を少しずつした。
何に頑張ればいいかもわからず、教えてもらった事をこっそり練習したら何度か魔力切れで倒れた事もあった。
何か失敗すれば、叩かれご飯を抜きにされると思った幼い頃の自分、公爵邸に来てからは本当に、何度も夢のよのようだと思ってしまった。
病気になれば、使用人なのに公爵様は医師を呼んでくれたり、酷い怪我をすれば国教とは違う教会の人を呼んでくれた。
剣術を習っている時に、未熟だった私が受け損ねた練習用の剣(刃を潰した本物と同等の剣)で、腕の骨にヒビが入ってしまった時がある。
私を教えてくれていた公爵邸の護衛の人は、謝ったり責任をとる!!とか何の責任なのかはわからない謝り方をしていたが、14歳で未成年だった私、さらに言えば公爵邸の護衛騎士の見習いにも満たない私に公爵様は、その護衛騎士と私に話してくれた。
大人になり、お互いの気持ちを確かめてそれでもいいと思えたなら2人でよく話し合いなさい。
そしてその結果どうなったかとか、また教えてくれたらうれしいよ。
サイラスはまだ未成年だから、強要はしたらダメだからな!!と、とある護衛騎士に言ってくれた。
こんな私を好きになるヤツは、余程目が悪いか悪趣味のヤツだと心の中で毒づいた。
この公爵邸に来たばかりの私の保護者的立場になった彼は、10歳になった私の希望通り冒険者ギルドで登録させてくれた。
そのあとも、あの教会にいたお兄ちゃんのように色々教えてくれた。
なぜかお小遣いまでくれたり、ほんっと変な人。
やっぱ目が悪いのか、私の事を可愛い♡とかサイラスちゃん♡サイラス君より、サイラスちゃんって呼びたいんだけどいい?と言ったり、発言も他の人たちより変わっている。
腕の骨は、国教とはちがう教会の人が回復魔法をかけ、ちゃんと治してくれた。
回復と治癒の違いもわからなかったが、その教会の人たちは、先生たちとはちがって、私の無知を怒ることもバカにする事もせず丁寧に教えてくれたのだった。
「治すという事には、治療と治癒があるんだよ。治癒は、病気や怪我が治ること。治療や療治は二つとも、病気や怪我を治すこと。"治る"か"治す"のかの、ちょっとした違いだけどね。その時の治す側の人の気持ちや魔力によって、傷や病気の治り方、治し方が違ってくるんだ。治してもらう側も、治りたいと強く思えば、案外早く治るもんだよ。難しい話しだっからわかるかな?」
「…わかりません」
「あはは、うん、わからない事をわからないって言う君はえらいね。まあ、僕もわからないけど、ちょっと偉い人のように"説法"してみたけど、やっぱわかんないよねぇ!」
気の抜けるような笑顔で、それなりに偉いらしい教会の人は、笑いながら色々教えてくれた。
「君には色々可能性が無限大にあるから、それを活かすも殺すも君次第。つまり、君の気持ち次第だよ!素敵で美しい日々をすごせますように!!ビューティフル ライフ…じゃないや、えーと、ビューティフル ラブ教をよろしく!!」
新しい教団らしい。
新しい考えをもつ変な人がもう1人増えた気がした。
その数年後、成人も済ませ正式に公爵家の護衛騎士、そして"影"としての役目もする事になった。
まさか、あのビューティフル ラブ教に堂々と潜入するとは思わなかった。
~~~~~~~~メモ~~~~~~~~
ビューティフル ラブ教の位階
Beautiful Love教(BL教)
神様 腐ェニックス神→会長又は経営者
教帝 教会トップ→社長(スコティー)
司教 地域の司祭をまとめ役→部長(ルーカス)
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