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第六章 第二次戦役
二度目の一時帰還
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高靂六年三月、そろそろ一時帰還しなければならなかった。
銀河宇宙線の悪影響をさけるためだ。
帰還中に万が一敵がミサイル攻撃を再開すると無人になった衛星のコンピュータに地上から指令を出して対応することになっている。
やりにくくて出来ることがかなり制限される。
この少し前にC国で大洪水が起こり、事実上休戦状態になった。
このスキを利用してミヤコと二人で往還船にのって富士山麓の秘密の場所に着陸した。
彼女は終始上機嫌だった。
そのあとリハビリなどのため別れた。
精密検査では脳が減っていると言われた。
地上にいる間に家族にも会いたかったがうっかり秘密をしゃべってしまいそうだったので我慢した。
この間にC国のことを勉強した。
そしてハーンがどんな人物かを調べ、考えた。
いままで敵のことを全く知ろうともせず戦っていた。
地上に戻っている間にC国のある珍兵器の噂を聞いた。
内容からして戦争初期の話かもしれない。
▽ ▽ ▽
C国の新兵器開発の秘密会議で、ある軍人が提案した。
「往往航空優勢が勝敗を決する。ここでエアベースハッシャーとも呼ぶべきものを提案する。中身はポータブル・オートマチック・ミサイル要塞である。レーダーと多数の対空ミサイルをコンパクトに組み合わせたもので、全自動で航空機を発見と同時に撃墜するものである。そういうものが有れば敵国のどこにでも一基置けばレーダーの見通し距離(例えば標高五十メートルにあるレーダーから高度千メートルの航空機は百四十キロ先のものまで見える)が常時飛行不可能になる。空港または航空基地(エアベース)の近くならそれらは設置後瞬時に使えなくなる。我々は既に月裏面着陸で確立した技術、すなわち山の中など自然地形への無制御無人着陸技術を持っている。ポータブル要塞なら大型ロケットで送り込むことが可能だ。今まで大金を投じて来たのだ、早急にこの武器を造ってジパングの各所にある大規模なA国空軍基地を使えなくすべきである」
「民間機も撃ち落とすだろう。いいのか?」
「交戦中だ。何だろうと撃ち落とす。敵のミサイルでも砲弾でも」
それからしばらくして予告なく変に太いロケットがもったりと飛んできた。
南のA国軍基地に近い島の人里離れた場所に夜間、閃光とともに逆噴射しながら着陸した。
そこは国内では誰も買わない山の中のしょーもない土地なのに以前からC国企業が買い取っていた。
翌日いつもどおり近くを飛んだ飛行機が無警告で撃墜された。
A国軍の巨大基地はこの要塞の射程内にあるから使えなくなり、あわよくば放棄するだろうとC国軍人は思った。
ところがしばらくして対岸の長距離砲の巨弾一発でミサイル要塞は沈黙した。
弾一発で終わっちゃうの? 提案者のC国軍人は身内からも笑われた。
実はメタマテリアルで覆われた砲弾で、要塞レーダーで見えなかったのだ。
実はそれより前に彼の面目は潰れていた。
破壊されたとき煙の立ち昇る残骸の中から赤と黒のレオタード姿に仮面をつけた女がボロボロになって這い出てきた。
この珍兵器は珍ロケットごと女泥棒に盗まれていた。
△ △ △
これは単なる噂にすぎない。
だがハーンが奇想を好んだのは事実だ。
奇想と関連が有るのは文明批評だ、とはおれの思い込みかもしれない。
しかし文明の中にいる者はその文明の常識を疑わなければ文明批評はできない。
ハーンは昔から文明についてよく言及していることも判った。
敵の攻撃がたまたま静かになって遠のいた七月に再び二人は宇宙に戻った。
交代要員らしい話は全くなかった。
いつもと同じ秘密の発射基地からだった。
前回と違っておれは体に軽い違和感と消えない疲労感を感じていた。
それは任務終了まで続いた。
銀河宇宙線の悪影響をさけるためだ。
帰還中に万が一敵がミサイル攻撃を再開すると無人になった衛星のコンピュータに地上から指令を出して対応することになっている。
やりにくくて出来ることがかなり制限される。
この少し前にC国で大洪水が起こり、事実上休戦状態になった。
このスキを利用してミヤコと二人で往還船にのって富士山麓の秘密の場所に着陸した。
彼女は終始上機嫌だった。
そのあとリハビリなどのため別れた。
精密検査では脳が減っていると言われた。
地上にいる間に家族にも会いたかったがうっかり秘密をしゃべってしまいそうだったので我慢した。
この間にC国のことを勉強した。
そしてハーンがどんな人物かを調べ、考えた。
いままで敵のことを全く知ろうともせず戦っていた。
地上に戻っている間にC国のある珍兵器の噂を聞いた。
内容からして戦争初期の話かもしれない。
▽ ▽ ▽
C国の新兵器開発の秘密会議で、ある軍人が提案した。
「往往航空優勢が勝敗を決する。ここでエアベースハッシャーとも呼ぶべきものを提案する。中身はポータブル・オートマチック・ミサイル要塞である。レーダーと多数の対空ミサイルをコンパクトに組み合わせたもので、全自動で航空機を発見と同時に撃墜するものである。そういうものが有れば敵国のどこにでも一基置けばレーダーの見通し距離(例えば標高五十メートルにあるレーダーから高度千メートルの航空機は百四十キロ先のものまで見える)が常時飛行不可能になる。空港または航空基地(エアベース)の近くならそれらは設置後瞬時に使えなくなる。我々は既に月裏面着陸で確立した技術、すなわち山の中など自然地形への無制御無人着陸技術を持っている。ポータブル要塞なら大型ロケットで送り込むことが可能だ。今まで大金を投じて来たのだ、早急にこの武器を造ってジパングの各所にある大規模なA国空軍基地を使えなくすべきである」
「民間機も撃ち落とすだろう。いいのか?」
「交戦中だ。何だろうと撃ち落とす。敵のミサイルでも砲弾でも」
それからしばらくして予告なく変に太いロケットがもったりと飛んできた。
南のA国軍基地に近い島の人里離れた場所に夜間、閃光とともに逆噴射しながら着陸した。
そこは国内では誰も買わない山の中のしょーもない土地なのに以前からC国企業が買い取っていた。
翌日いつもどおり近くを飛んだ飛行機が無警告で撃墜された。
A国軍の巨大基地はこの要塞の射程内にあるから使えなくなり、あわよくば放棄するだろうとC国軍人は思った。
ところがしばらくして対岸の長距離砲の巨弾一発でミサイル要塞は沈黙した。
弾一発で終わっちゃうの? 提案者のC国軍人は身内からも笑われた。
実はメタマテリアルで覆われた砲弾で、要塞レーダーで見えなかったのだ。
実はそれより前に彼の面目は潰れていた。
破壊されたとき煙の立ち昇る残骸の中から赤と黒のレオタード姿に仮面をつけた女がボロボロになって這い出てきた。
この珍兵器は珍ロケットごと女泥棒に盗まれていた。
△ △ △
これは単なる噂にすぎない。
だがハーンが奇想を好んだのは事実だ。
奇想と関連が有るのは文明批評だ、とはおれの思い込みかもしれない。
しかし文明の中にいる者はその文明の常識を疑わなければ文明批評はできない。
ハーンは昔から文明についてよく言及していることも判った。
敵の攻撃がたまたま静かになって遠のいた七月に再び二人は宇宙に戻った。
交代要員らしい話は全くなかった。
いつもと同じ秘密の発射基地からだった。
前回と違っておれは体に軽い違和感と消えない疲労感を感じていた。
それは任務終了まで続いた。
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